会場:NewYork Jacob K. Javits Center
昨日に引き続きPC EXPOの会場の模様をお伝えしていく。来場者の多くがバイヤーというCOMDEXとは異なり、来場者の多くが一般消費者という性格を反映してか、PC EXPOはどちらかといえば完成されたPCをお披露目する場という印象が強い。展示されている内容も自ずとそうした性格を反映したものになっている。
■やっぱりPalm系が強い米国のモバイル市場
PC EXPOで最も人気が集まっていたモバイル端末と言えば、文句無くPalmシリーズだということができるだろう。Palmに関連するベンダーが集まっているブースは連日人だかりで、ほかのブースへ進むのも一苦労と言った状況だ。既にPalm V、Palm VIIなど最新のPalmシリーズが発売済みであったこともあり、3Com自身が何か新しい発表をした訳ではないのだが、周辺のベンダはいくつか新しいソフトなどの展示を行なっており、拡大し続けるPalmのソリューションには注目が集まっていた。
最も注目が集まっていたのはPalmシリーズで利用できる携帯電話内蔵のモデムで、Novatel Wirelessという会社などが出展していた。もちろん、日本と米国では携帯電話の形式が異なっているので、これらの端末を購入しても日本で利用できる訳ではない。日本人の我々としては遠巻きに眺めるだけだったが、ぜひとも日本向けの端末を発売して欲しいものだ。
このほか、発売されたばかりのPalm VII(無線モデムを内蔵した最新版Palm)向けのソフトもいくつか展示されていた。例えば、Etak,Inc.はTrafficTouchという交通状況などをリアルタイムに受信してPalmで閲覧するというソフトを展示していた。このように、無線で常にインターネットに接続できるPalm VIIならではの特徴を活かしたソフトも今後は増えそうだ。さらに、Symantecは同社のFAXソフトであるWinFaxのPalmシリーズ版である、「Mobile WinFax」を出展していた。これはPalmシリーズでファックスを送信するためのソフトで、こちらはPalm IIIやPalm Vの有線モデムで利用する。こちらは日本でも使える可能性があり、是非とも日本語版の発売を期待したいところだ。
大盛況を博していた3ComのPalm関連メーカーを集めたブース。アメリカではPC業界に勤めている人に会うと、たいていの人がPalmを持っている | Novatel Wireless社が出展していた、Palm III用のワイヤレスモデム。19.2kbpsの通信速度で、重量はバッテリー込みで155gとやや重め | Symantecが展示していたPalm用ファックス送受信ソフトのMobile WinFax |
■Windows CEやPSIONの最新モデルも展示
2週間前に「Microsoft Windows CE Developer's Conference」が行なわれた影響もあってか、今回展示されていたWindows CE端末はいずれも既に発表済みの製品で、特に新しい製品は無かったが、こうした公衆の面前には初登場という製品もあった。
Compaq ComputerはDeveloper's Conferenceで発表したH/PC ProマシンであるAero 8000を展示(既に日本でも発表されているので詳細は省略)。このほか、Philipsが3月のCeBITなどでも展示していたPalm-size PCのNino500/200などを展示していた。ただ、Palmシリーズに比べると来場者の注目はいまいちで、Windows CEマシンはコーポレートユース向けという姿勢のメーカーが多かったのは事実だ。コンシューマ向けとしてもそれなりに売れている日本に比べると、温度差が感じられたことを付け加えておきたい。
初お目見えという意味ではPSIONの3製品も注目だ。今回新しく製品発表されたのがPSIONのSeries 5mxで、従来のSeries 5をバージョンアップした携帯端末だ。最も大きな特徴はJavaに対応したことで、それ以外のスペックなどはほぼ従来のSeries 5とほぼ同等になっている。また、PSIONはH/PC Pro相当のA5サイズとスマートフォンライク(ただし電話機能はない)な携帯端末を出展していた。もちろん、両方ともEPOC OSを採用した端末で、機能は基本的にSeries 5mxと同等ということだった。ただ、両製品とも企業向けで、コンシューマ市場向けには投入されないとのことで、入手は少々難しいかもしれない。なお、スマートフォンライクな端末はまだモックアップだった。
コンパックが展示していたWindows CEマシンAero 8000 | PSIONの新しいSeries 5mx。従来モデルと大きな違いはないが、標準でJavaに対応している | PSIONのブースに展示されていたH/PC Proライクな携帯端末 |
PSIONのH/PCライクな携帯端末のディスプレイを閉じたところ | スマートフォンのようなPSION。ただし、この時点ではモックアップで、実際に動作している訳ではなかった |
□関連記事
【6/24】コンパック、スマートカードスロットも備えたB5サイズのCE機
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990624/compaq.htm
■ヤマハのYMF-724後継チップも出荷間近
周辺機器系ではもはや主役といっていい台湾ベンダーの姿がほとんど無かったため、話題はあまり多くなかった。その中でも筆者が注目したのはヤマハの新しいサウンドチップだ。ヤマハが出展していたのは秋葉原で一時一世を風靡したYMF-724の後継チップで、今年の春に発表されたYMF-744B-Vを搭載した製品。YMF-744B-Vは4チャネルの出力に対応しており、A3D/EAX/DirectSound 3Dなどの3Dポジショナルオーディオに対応している点が目新しい。前モデルと同じようにSPDI/Fのデジタルアウト、デジタルインにも対応している。なお、4チャネルの出力を本体側で2チャンネル、ドッキング側で2チャンネルというような使い方も可能であるため、ノートブックPCでの利用にも適している。
YMF-744B-Vを搭載した製品は2製品展示されており、1つはYMF-744B-Vだけを搭載したXG-QUADで、もう1つがYMF-744B-VとヤマハのAC3/DTSデコーダチップも一緒に搭載したXG-Movie 5.1 Sound Card。米国でのストリートプライスはそれぞれ89ドル(約11,000円)、199ドル(約24,000円)となっている。なお、XG-QUADに関しては台湾ベンダーにOEM供給される予定になっており、また秋葉原で安価に販売される可能性がありそうだ。これまで3Dポジショナルオーディオをサポートしたサウンドカードは割と高価で、安価なカードは音質がいまいちという現状が続いていたため、YMF-744-Vを搭載したサウンドカードが登場するとまた秋葉原で人気がでそうだ。なお、製品の出荷は8月ぐらいになりそうだという。
■1GHzのAlphaプロセッサのデモも行われる
Alpha Processorの1GHzのAlphaプロセッサのデモ。ディスプレイの1001.209の表示に注目 |
代わりにといっては何だが、初日のレポートでも紹介したAlpha Processorでは、Slot Bの1GHzで動作するAlphaプロセッサのデモを行なっていた。こうしたデモは2月のIDFでもインテルがPentium IIIを1GHzで動作させるデモを行なったことがあるが、その時は特殊な冷却装置を利用したものだった。しかし、今回のAlpha Processorのデモは通常のケースに入れた状態でのデモで、Alpha Processorの説明員によると、常温での1GHz動作のCPUは世界初ということだった。いよいよ、CPUも1GHzという世界が現実のものになろうとしている。
□関連記事
【2/24】後藤弘茂のWeekly海外ニュース
IDFレポート 1:オーバー1GHzのPentium IIIをデモ、CPUロードマップを一新
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990224/kaigai01.htm
□PC EXPOのホームページ(英文)
http://www.pcexpo.com/
('99年6月25日)
[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]