旧型マシンの救世主となるか?
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Pentium IIIだK6-IIIだと、どんどん高性能なCPUが登場しているが、そう簡単に新しいマシンに買い換えられるわけではない。IDTのWinChip 2は、単一電源で動作するので、Dual Voltageに対応していないClassic Pentium搭載マシンでも、そのまま装着して使える可能性が高く、古いマシンのアップグレードパスとして、根強い人気を持っている。WinChip 2の最新リビジョンであるWinChip 2 Rev.Aが登場したので、その実力を探ってみたい。
WinChip 2-200の表面。電源電圧や動作クロックが書かれている |
1. x.5倍のクロック倍率を新たにサポートした
2. 2.33倍および2.66倍という独自のクロック倍率をサポートした
3. 正式にFSB100MHzに対応した
という違いがある。また、FSB100MHzをサポートしたことで、新たにスピードグレードという性能指標を導入したことも特徴だ。スピードグレードは、CyrixやRiseが採用しているPR(パフォーマンスレート)とほぼ同じ概念の指標である。例えば、スピードグレードが266なら、他社の266MHzクラスのCPUと同等の性能を持っていることを示す。
当初、WinChip 2Aは、WinChip 2-200(66MHz×3)、WinChip 2-233(66MHz×3.5)、WinChip 2-266(100MHz×2.33)、WinChip 2-300(100MHz×2.66)という4種類の製品が登場するとアナウンスされていた。FSB66MHz版では、実動作クロックとスピードグレードは一致し、FSB100MHz対応の製品のみ、実動作クロックよりもスピードグレードの値が高くなっている。しかし、最近になってロードマップが変更され、WinChip 2-300という製品は登場しないことになった。スピードグレード300を超える製品は、後継のWinChip 3で実現されるようだ。
ただし、WinChip 2Aは、単一電圧で動作するといっても、電源電圧の違いによって、3.3V動作版と3.52V動作版の2種類のシリーズが存在する。価格は、3.3V版のほうがやや高いようだ。Classic Pentiumの載せ換え用としてなら、3.3V版のほうが無難であろう(マザーボードによっては3.52Vを供給できるものもあり、その場合は3.52V版でも問題はない)。動作電圧は、CPU表面に記載されているので、簡単に知ることができる。
まず、WinChip 2を正式サポートしている最新マザーボードを使って、他のCPUとの性能比較をおこなってみた。ベンチマークプログラムには、Ziff-Davis,Inc.のWinBench 99 Ver.1.1に含まれるCPUmark99とFPUWinMark、Business Graphics WinMark 99を用い、1,024×768ドット65,536色モードでテストした。比較のために、WinChip C6とAMD-K6-2、Cyrix M IIを同じクロック(66MHz×3)で動作するように設定して、同様にベンチマークテストを行なった。
CPUmark 99は、CPUの整数演算能力を測定するテストである。WinChip 2は、他のCPUに比べてかなり低い値しか出ていない。他のCPUとは違って命令実行パイプラインを1本しか持っていない(シングルスケーラ)ためであろう。
FPUWinMarkは、CPUの浮動小数点演算性能を測定するテストである。WinChip 2は、AMD-K6-2には及ばないものの、なかなか好成績をおさめている。また、WinChip C6に比べて、浮動小数点演算性能が強化されたことがよくわかる。
Business Graphics WinMark 99は、WordやExcelといったビジネスアプリケーション上での、総合的な2D描画性能を測定するテストだ。Cyrix M IIには及ばないものの(M IIの場合、PR値は実クロックより常に高いので、クロックを揃えるとM IIに有利になるのだが)、AMD-K6-2よりも高い数値が出ている。WinChip 2Aは、命令実行パイプラインを1本しか持たない代わりに、実際のアプリケーションで頻繁に使われる命令を高速に実行できるように設計されている。その特徴が、テスト結果にも反映されているといえるだろう。
【テスト条件】
・マザーボード:Soltek SL-56F1(L2キャッシュ:1MB)
・チップセット:VIA MVP4
・メモリ:128MB(PC-100 SDRAM)
・ハードディスク:Quantum Fireball EX6.4
・OS:Windows 98
WinChip 2 200MHz | WinChip C6 200MHz | AMD-K6-2/200 | Cyrix M II 200MHz | |
---|---|---|---|---|
CPUmark 99 | 12.7 | 11.7 | 16.8 | 19.2 |
FPUWinMark | 590 | 323 | 652 | 450 |
Business Graphics WinMark 99 | 64.7 | 59.3 | 58.6 | 77.8 |
FMV-DESKPOWER SEのマザーボード。3.52Vを供給する設定がある |
最初に電源を入れると、起動途中で「CPU Clock Mismatch」というエラーメッセージが出るが、そこでCTRL+ALT+ESCキーを押してBIOSセットアップ画面を呼び出し、そのままESCキーを押して保存終了すれば、次からは問題なく起動する。BIOSでは、Pentium 200MHzと表示されるが、動作も問題はないようだ。
ベンチマークテストをおこなってみたところ、ノーマル状態(Pentium 133MHz)に比べて、CPUmark 99の値は約1.67倍、FPUWinMarkの値は約1.25倍に向上した。実際にアプリケーションを使っていても、確実に速くなったと体感できるほどの違いがあった。WinChip 2-200は5,000円程度で購入できるので、アップグレード方法としては、非常にコストパフォーマンスが高い。Classic Pentium搭載マシンを使っていて、あまりお金をかけずにマシンをパワーアップしたいと考えているユーザーには、特にお薦めだ。もちろん、全てのClassic Pentium搭載マシンでWinChip 2Aが動作する保証はないが、他のCPUに載せ換える場合に比べると動作する可能性はかなり高い。FSB66MHzの3.5倍で動作するWinChip 2-233もまもなく登場する予定なので、そちらを利用するのもいいだろう。
Pentium 133MHz | WinChip 2 200MHz | |
---|---|---|
CPUmark99 | 4.86 | 8.12 |
FPUWinMark | 489 | 613 |
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【6月5日号】WinChip 2のRev.Aが登場、FSB 100MHz対応も間近
第一弾は66MHz×3=200MHzのWinChip 2-200
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/990605/winchip2a.html
[Text by 石井英男@ユービック・コンピューティング]
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