元麻布春男の週刊PCホットライン

マイナーデバイスの悲しみ?



■ 一般的にはマイナーだが、筆者宅ではポピュラーなSuperDisk

 一般にはあまり普及していないにもかかわらず、筆者のところでは非常にポピュラーなデバイス、というものは結構ある。たとえば、筆者の自宅兼仕事場には全部で8台のデスクトップPC(借り物を除く)があるが、サーバーとCD-R焼き専用機を除く6台すべてにDVD-ROMドライブが装着されている。最近ではDVD-ROMドライブはそれほど珍しくなくなったとはいえ、昨年末の時点でほぼ今の状態になっていたことを考えれば、結構切り替え時期としては早かった方なのではないかと思う。

 もう1つ、筆者の自宅兼仕事場で普及しているデバイスにSuperDiskドライブ、それも第2世代のLKR-F934が挙げられる。こちらの装着率は8台中5台で、DVD-ROMドライブの装着率にわずかにおよばない(実験マシンのうちの1台を敢えてフロッピーディスクのままにしてある)ものの、世間の常識よりはるかに高い普及率となっている。

 この裏には専用メディアによる大容量化(メディア1枚に120MB)に加え、通常のフロッピーディスクの読み書きが格段に速い、ということがある(第2世代SuperDiskの場合。第1世代は別に速くない)。特に実験マシンの場合、正確なテストデータを得るには、プロジェクトごとに、あるいは被験デバイスを交換するごとに、OSをフレッシュインストールしなければならない、という事情がある。フロッピーからブートする機会が意外と多く、第2世代SuperDiskによるスピードアップが案外重要だったりする。




■ ちょっとしたトラブル

 ところが、しばらく前から、SuperDiskに関するちょっとした障害に遭遇していた(確実に回避する方法が分かっているのでシリアスではないのだが)。その障害とは、一定量以上のファイルをSuperDiskに書き込み、そのファイルを切り取って、ハードディスクやネットワークドライブに貼り付けても、SuperDiskメディアのFATやディレクトリエントリの更新が正常に行なわれない、というものだ(すべてWindows 98での結果、他のOSはWindows 95も含めテストしていない)。

 たとえば筆者の手元にあるマシンのうち、マザーボードにMicroStarのMS-6163を使ったシステムの場合、数10MBのファイルを切り取って、ハードディスク等に貼り付けた後、プロパティを見ると右画面のような状態になる。使用領域、空き容量、容量のすべてが0バイトという珍妙なメディアになってしまうのである。また、Micronics/Diamond MultimediaのC400ベースのシステムでは、ファイルを切り取ってハードディスク等に貼り付けても、プロパティを見ると貼り付ける状態のままだ。この時、デバイスを開いてみても、もはや貼り付けてしまったファイルはそこには見えない。見えないファイルに容量を占有され、空き領域が減ったメディアになってしまう(もちろん、減った空き領域分しか利用できず、メディア一杯に書きこもうとすると、ディスクフルのエラーとなる)。

 何とも奇怪な現象だが、上で述べたように確実にこの問題を防ぐ方法が存在する。SuperDisk用のデバイスドライバ(最近はバルク扱いのベアドライブにも添付されていることが多い)を組み込めば、この不思議な問題は解消する。そして、デバイスドライバの組み込みで問題が解決することから、てっきりOSの問題(Windows 98の問題)だと思っていた。

 実は、上で例に挙げたMS-6163を使ったシステムとは、今この原稿を書いている仕事マシンであり、C400ベースのシステムはリビングルームPCである。こうした固定的?な使い方をするPCの場合、1度デバイスドライバを組み込んでしまえば良いが、頻繁にOSのフレッシュインストールをする実験マシンの場合、ついデバイスドライバの組み込みをサボッたり、忘れたりしがちだ。




■ 原因はBIOSか?

 ある日、ひょんなことから、デバイスドライバを組み込んでいない実験マシンで、100MB近いファイルをSuperDiskからハードディスクへ貼り込むというオペレーションを行なったところ、問題が発生しないことに気づいた。アレッというわけで、手元にある他のシステムでも、同様なオペレーションを行なってみた。その結果が下表だ(“○”は問題なし)。

マザーボード同ベンダーチップセットBIOSベンダーVersion結果
MS-6117MicroStar440LXAMIVer 1.9
MS-6163MicroStar440BXAWARDVer 2.3×
C400DiamondMM440BXAWARDVer 1.04×
SE440BX2Intel440BXPhoenixP11
TsunamiATXTyan440BXAMIVer 1.16
注)いずれも第2世代のSuperDiskドライブをAドライブとして接続、通常のFDDは接続していない。OSはすべてWindows 98。

 この表から何が分かるか。問題発生の有無はマザーボードベンダにもチップセットにもよらない。この表から見る限り、AWARD BIOSのシステムで問題が発生しているようだ。もちろん、これはあくまでも推定であり、あまりにサンプル数が少ないため、間違いなくAWARD BIOSの責任と断言するだけの勇気はない。だが、少なくともWindows 98の問題でないことだけは断言しても良さそうだ。筆者の嫌疑は、Windows 98にとってぬれ衣だったわけである(そう思って、SuperDiskドライブに添付されたデバイスドライバを調べたところ、VxDであった)。

 それはともかく、問題があるシステムであっても、前述の通り、デバイスドライバさえ組み込めば解決する問題であり、おそらく実害はほとんどないものと思われる。悲しいのは、こうした問題が、誰にも発見されずに残っていることだ。いかに SuperDiskやそれに相当するデバイス(ATAPIのリムーバブル)が普及していないかわかろうというものである。

[Text by 元麻布春男]


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