発表日:6月1日
Dreamcast用CDエクストラ“Mil CD”の説明を行なう入交昭一郎セガ・エンタープライゼス社長 |
さらっと「ビデオチャット」の構想を披露した大川功会長 |
発表会が始まり、すぐに壇上に立った入交昭一郎セガ・エンタープライゼス社長は「短期的には厳しいが、長期的には今回の事業展開が優れていると言える」とし、「Dreamcastの優位性は、単体のマシンとしてだけではなく、ソフト、コンテンツ、そして、インターネットのシステムも含めたプラットフォームの構築で一歩先んじていることだ」とゲーム機単体としてではなく、インターネット時代を視野に入れた総合力を強調した。
また、Dreamcastが5月に100万台を達成したことが発表され、ユーザープロフィールも公開された。このデータによると、中心となるユーザー層は25歳から30歳の男性で、既存ユーザー(これまでにもセガのマシンを使ったことがあるユーザー)が72.3%を占めている。インターネットへの接続率は常時30%以上を記録していると言い、ユーザーのインターネットへの関心が強いことを伺わせた。入交社長は「これからは10代の若年層と女性ユーザーの比率が上がっていくだろう」と発言。ゲームに留まらず、より幅広い層へアピールしていきたい意向だ。
このほかにも、すでに発表済みのDreamcast用CDエクストラ“Mil CD”の説明や、夏のキャンペーン「Dreamcast Operation 99」において本体価格の改定、初期タイトル(バーチャファイター3tb、ペンペントライアスロン、ソニックアドベンチャー、ゴジラ・ジェネレーションズ、ジュライ)の1,990円での販売(6/24~7/31)、発売が待たれる大作「莎木(シェンムー)」のキャンペーンなどの販売戦略も同時に発表された。
●全世界をインターネットで結んだグローバル展開
すでにE3などでも発表済みの“Dreamcast全世界戦略”だが、ネットワーク展開も含めた戦略を改めて発表した。これによると、北米での発売は9月9日で価格は199ドル。欧州での発売は、若干遅れて9月23日に199ポンドでの発売となる。
また、北米、欧州での発売を契機に全世界をネットワークでつなぐ新たなネットワーク戦略を展開すると発表した。現在PC用のゲームネットワークとして稼働中の「HEAT.net」で蓄積した技術を応用したインターネットベースの「Dreamcast HEAT」がそれで、200億円を投資し現在構築中であるという。同社によると、一定の通信量を保証しレイテンシーを感じさせないシステムとしており、全世界で同時にゲームを楽しむことができるとしている。稼働開始時期は欧米ではDreamcastの発売と同時を予定、日本でも来年の早い時期での実現に向けて現在開発中という。対応ソフトとしては、PC版ではすでに米国で大ヒットを記録しているネットワークRPG「Baldur's Gate(バルダーズ・ゲート)」が第1弾ソフトとなる。
このほかの通信関連の発表としては、セガのインターネット接続ソフトの最新版「DreamPassport2」が8月から無料配布される。会場で流されたビデオではよりグラフィカルになっており、数々の機能(Java、ムービーデータへの対応)が追加れているという。今回から有害なホームページを親が規制できる“ペアレンタルコントロール機能”が追加されていることも大きい。
●質疑応答で明らかになったセガの次の一手
発表会の最後に壇上に立った大川功会長は講演の中で、「現在、HEATのシステムを利用したビデオチャットを実験中で年末までには発売していく」と表明した。その後の質疑応答で入交社長は「ビデオチャットの開始には2つの条件がある。1つはカメラの開発でこれは年内に発売が可能だろう。もうひとつはDreamcast HEATの完成であり、これは前述の通り来年の早い時期となる」と発言。これまでからテレビ電話システムが開発中であることは公表されていたが、技術的に目処が立ちつつあることが今回公になった形だ。
このほかにも大川会長は「ビル・ゲイツと喧嘩したり手を握ったりしながらやってきたが、次はCATVや衛星をやらなければならない。色々と難航しているが、またそのうち発表できるだろう」と水面下でさらなる展開を現在計画中であることを匂わせた。
また、入交社長は日本の通信費が高いことに対するコメントとして「今回は発表できないが、現在、通信のインフラ会社と、インターネットに安く接続できるように話している最中だ」とし、インターネット接続業者や電話会社とシステム作りをしていることを明らかにした。
質疑応答では「次世代プレイステーション(仮称)やDOLPHINをどう考えているか?」との問いに「PS2とは狙っている層が違うと認識している。あれだけ巨大なCPUを搭載しており、一般に普及する2万円以下、200ドル以下は難しいだろう。この価格帯に来るまでは、違う商品だと思っている。DOLPHINに関してはCPUやグラフィックエンジンができあがってからゲーム機として完成するまでに2年はかかるので、登場時期は2001年から2002年になるだろう。以上の理由から一番普及するゲームコンソールはDreamcastだと思っている」とこれからの戦略に自信を持って望んでいく姿勢をみせた。
□セガ・エンタープライゼスのホームページ
http://www.sega.co.jp/
□「SEGA New Challenge Conferense '99」の内容
http://www.sega.co.jp/dreamcast/sncc_99.html
□HEAT.netのホームページ(英文)
http://www.heat.net/pub/cgi-bin/login/login.cgi?affiliate=avault
□関連記事
【'98年5月21日】セガ、Windows CEをベースとした新世代ゲーム機「Dreamcast」を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980521/sega.htm
('99年6月1日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]