記者会見で披露された、携帯電話に接続して使うタイプの電子メール専用端末の例(モックアップ)。ポケットボードの発展形で、ビジネスマンがターゲット
NTTドコモと英Symbianは27日記者会見を開催。NTTドコモがSymbianの携帯機器用OSであるEPOC OSを採用し、1年後の2000年5月にはEPOC OSを搭載した電子メール専用端末を発売する、との見通しを明らかにした。
Symbian社はPDAを開発しているPsionのソフトウェア部門が分離独立してできたベンチャー企業で、Psion、Ericsson、Motorola、Nokia、松下が共同出資している。Symbianからはマーケティング担当副社長のクリステンセン氏が出席、EPOC OSはワイヤレスコミュニケーションに特化したリアルタイムOSで、すべてのワイヤレスプロトコルスタックを提供すると述べた。また、機器によって違うスクリーンの大きさなどの部分を除き、コードの90%はどの携帯機器でも共通で利用できるという。
EPOC OSの動くプロセッサとしては、ARM(Advanced Risc Machines)社の技術を採用したRISCチップが現在までのところ、メインとなっているという。EPOC OSはグラフィックエンジンなども含めてワンチップで提供されるため、小型軽量化、消費電力の面などでメリットがあるが、クリステンセン氏がEPOC OSのメリットとして最も強調したのは「使い勝手の良さ」。専用OSならではの使いやすさが一番の特徴であるとした。
また、日本語など2バイト言語への対応については、EPOC OSはUnicodeに対応しており、2バイト言語に標準で対応している、と述べた。
NTTドコモからはモバイルコンピューティング担当部長の前田正明氏が出席。「EPOC OSの枠組みで実現すべきは、カラー画像を含むマルチメディアメール環境」、「3月の提携発表以来、Symbianと意見の交換をしてきたが、今後も両社でさらに議論を深めていきたい」と述べた。
前田氏は、「2000年の発売を予定しているメール専用端末はPDCになるが、時期からいってWAPへの対応は当然。W-CDMA対応端末も考えているし、将来的にはそちらがメインになる」との考えを明らかにした。また、64kbps対応のPHSを利用する可能性もあるという。
また、「今後ドコモが発売する携帯端末はすべてEPOC OS搭載になるのか」という質問に対しては、「EPOC OSだけを出す、ということではない。Windows CEも考えられるし、米国で最も売れているPDAのOSなども採用する可能性がある」として、EPOC OSのほか、Windows CEやPalm OSなども、ターゲットや用途によって採用していく可能性があることを示唆した。
発表会で披露されたのはまだモックアップの段階で、製品の仕様や価格の見込みなどは明らかにされなかった。ただし前田氏は、「価格については“10万円では高すぎる”という認識はある」と述べており、高くても10万円は切る製品づくりを考えているようだ。
□NTTドコモのホームページ
http://www.nttdocomo.co.jp/
□Symbianとの協力関係推進のニュースリリース(3月15日発表)
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/98/whatnew115.html
□Symbianのホームページ(英文)
http://www.symbian.com/
('99年5月27日)
[Reported by hiroe@impress.co.jp]