スタパ齋藤

おもしろそーなモン発見!! シャープNC-10



■ おもしろそーなモン発見!!

シャープ マルチメディアホンNC-10
標準価格 150,000円。64bit CPUを搭載し、電子メール、Webブラウザ、ディスプレイ留守番電話、ディスプレイFAXと機能満載の1台なんである
 俺がよく見に行くウェブサイトで、シャープの製品ばっかり扱っているページがある。シャープの販売店MYDOというページで、ザウルスからメビウスからファックスまで、いろんなモンを扱っている。まあ、いつもはソコで、ザウルスの周辺機器などを通販で買っているのだが、久々にそのページをじっくり見ていたら、マルチメディアホンNC-10なるものを発見。

 詳しく見ていくと、なんだかソレは、発売されてから既に半年以上経っているモノで、パソコン雑誌やパソコン系ウェブページなどではほとんど見かけないモノ。電子メールもインターネットも留守番電話もFAXもできるという、多機能複合端末であった。

 このNC-10、最初はナンかコレってもしかしたらインターネット冷蔵庫の類!? とか思っていたが、調べれば調べるほど興味深い端末だった。基本的には電話回線につなげてやることだったら何でもやってやろうじゃないかという雰囲気の装置で、さらに、どうせやるなら全部画面上だけで、しかもタッチだけでやってやろうという感じ。あまり知られてないわりには、ずいぶん意欲的かつ斬新な装置だったのである。詳しいことはシャープのサイトの液晶マルチメディアホンNC-10を見ていただきたい。

 で、俺にとって最もナイスな内容に映ったのは、完全にペーパーレスでFAXの送受信ができるという点。何と言ってもこのNC-10、普通のFAXと違って、紙なんか絶対に印刷しないという意気込みがあって、印刷機構を一切持たないのである。受信したFAXは全部、搭載した液晶ディスプレイ上で閲覧する。俺はこの歯切れ良さというか、突っ張ったスペックに惚れると同時に、一台の端末でいろんなコトができちゃうというおもしろそーな点に惹かれ、NC-10を注文した。



■ むっ、むむむっ、むむむむむっ!!

 NC-10が届き、速攻で使ってみた俺は、もちろんそのペーパーレスFAXの機能に納得したのだが、それ以上に、NC-10の多機能端末としての使いやすさとポテンシャルに驚いた。

 NC-10には、7.7型の液晶ディスプレイが内蔵されていて、各種情報はVGA(640×480ドット)の解像度で表示される。サイズと解像度のバランスは、どちらかと言うと文字がデカめというか、精細さはさほどない感じ。でも必要十分なサイズと解像度があるので、使っていて特に問題はない。イケてるのが、この液晶ディスプレイがタッチ対応だという点。何をするにしても、画面上をパッパッとタッチするだけで完了。また、インターフェースはパワーザウルスなどのそれに非常に良く似ていて、文字入力は手書き認識やソフトウェアキーボードなど、いろいろ使える。

 で、いきなり「ナイス!!」と思ったのが、電話機能の電話帳の部分。NC-10へは、光通信で、ザウルスのアドレス帳を、ズシャァァァッと転送できちまうのである!! パワーザウルスのアドレスデータには、自宅電話番号、会社電話番号、携帯電話番号など、1件のデータに対して複数の電話番号を入れられるが、それもそのまま転送され、当然、個々の電話番号データが発信の対象になるのである。すなわち!! 俺の愛と正義と友情と努力と血と汗と命のザウルス内アドレスデータを、そのままNC-10上で利用できちまいやがりまくるのだ!! すげえ!! こりゃすげえ!! 他の電話機にゃぁマネできない超時空超越機能だ!!

 留守番電話の機能もちょっとイイ。今時の留守番電話機は、まあだいたいテープなど使わないデジタル録音で、NC-10もデジタル録音だ。んで、普通の留守番電話機の残念なところは、録音されたメッセージを順繰りに聞いていかないと、メッセージの見当がまるでつかないこと。だがNC-10は、メッセージが一覧表で表示され、聞きたいメッセージだけを再生できる。まあ一覧表とは言え、普通は順繰りにメッセージを再生するわけだが、住所録データとナンバーディスプレイと液晶表示が組み合わさって働くので、誰からのメッセージなのかが一目瞭然でわかる。今までの留守番電話機は手探り(というか耳探り)でメッセージを得ていたのに対し、NC-10は非常にビジュアル指向な感じでメッセージを聞いていける。

 また、それぞれのメッセージは、ちょうど音声ファイルを扱うような感じで削除したり保存して残しておいたりできる。確認済のメッセージが未確認メッセージとは別の場所(階層)に移動したりするのは、メーラのような感じで便利だ。

 加えて、メッセージのスロー再生やスピード再生もできる。これはテープ録音の遅回しや早回しとは違い、録音された声の音程はそのままに、再生速度だけを変えるというもの。サンプラーなんかでやるタイムストレッチ機能と同じだ。ここまで突っ込んだ、というかこだわった留守番電話のメッセージ再生機構はちょっとない。

 FAX機能もしっかりしている。受けたFAXを画面上で表示してくれるのは、やはり便利。特に、読むだけで済むような内容のFAXなら、画面上で確認してオシマイ。いちいち紙に出して読んで即捨てちゃうような、なんつーか、無駄な感じがなくてスッキリしていい。また、受信したFAXをどうしても紙に印刷したい場合は、他のFAXをカスケード接続して併設すれば印刷できる。なお、併設できるFAXは、“ファクシミリ通信網(Fネット)の無鳴動着信がないFAXに関しては接続が可能ですが、FAXの種類によっては併設接続できない場合や一部機能が使用できないことがあります”ということらしい。

 NC-10にはスキャナの機構がないため、紙の原稿は送信できない。なので、「あらこのチラシのお総菜激安だからあの奥様にも知らせなきゃ」と思ったりした奥様は、付属のタッチペン等でタッチ対応液晶にリアルなチラシ模写絵を描くか、付属のタッチペン等でタッチ対応液晶にチラシを克明に描写した文字を入力するかして、あの奥様に知らせなければならないので、少々不便かも知れない。ていうかそういう情報は電話すればいいのか。

 ちなみに俺の場合、誰かにFAXを送信するようなことはほとんどない。俺が持ち得る情報などは、だいたいにおいてどっかでそのコピーや原本が公開されていたりするからだ。製品のカタログ、リリース、表など。相手にそのありかを知らせれば済むので、ほとんどFAX送信はしないのであった。なので、NC-10で紙の原稿が送れないということは、俺にとって大したデメリットではないのであった。

 それから、NC-10は、フラッシュメモリカード(Type2のPCカード)でメモリを増設することができる。メモリを増設すると、登録できる電話帳の件数や、受信可能FAX枚数が増えたりする。フラッシュメモリカードが使えるってことは、例えば受信したFAXデータをメモリカード経由でパソコンに転送して閲覧できるのかも~とか思ったが、そーゆーコトはできないらしい。NC-10で扱うデータは特殊なフォーマットで、PCで閲覧する方法はないとのこと。これが、“まだない”のか“これからもずっとない”のかはわからないが、ここまでいろいろできる端末なんだから、ぜひPCとの連携も実現して欲しいと思う俺であった。



■ これで十分かも、のネット機能

 俺の場合、NC-10のペーパーレスFAX機能と超イケてる留守番電話および電話機能で大満足なのだが、コイツはさらに電子メールもウェブページ閲覧もできるのであった。

 で、実際試してみたが、実にカンタンにできていて良い。画面がVGA、GUIっぽいインターフェースなのにマウスが使えない、モデムがデータ通信時最高33.6kbps(FAX通信時最高14.4kbps)ということで、率直な話、パソコン+ISDNの方がずっと快適だ。が、それはパソコンでネットを使ったことがあるから言える話。もし俺がパソコンにさほど興味がないけどネットしたぁ~いと思っているフツーの人だったら、NC-10のネット系機能で十分満足しているだろう。カンタンだし、わかりやすいし、電話回線に接続するだけなのもいい。

 ていうか実は、そうだコレでいいじゃん、このシンプルさだよこれからは、と思って、俺はマジでNC-10を常用のメール・ウェブ端末としようとした。最初のウチは、多少快適でない部分(画面の広さとスピードですな)があったが、しばらくすると慣れ、ホントにコレでイケるなぁと思い始めた。そしてマジメにNC-10を常用し始めようとしたその時、ちょっとした問題が起きた。

 どういうわけだが、NC-10、マスターネットだけにはつながらないのであった。いくら設定を変えても絶対につながらない。いや、正確には、つながりはする。マスターネットにログインはしているようなのだ。が、マスターネットのメールサーバに入れない。どうやっても入れないのであった。ちなみに、マスターネット側にもシャープ側にもこの件を問い合わせたが、どうにも解決しなかった。現在でもどうしてつなげられないのか不明である。でもまあ、IIJには接続できてメールもウェブもできたからいいのだが……。

 ともあれ、メールとウェブができるだけでいいという(マスターネット非使用の)ユーザーには非常に便利な端末なので、「パソコンとかそーゆームツカシソーなモン使わないでメールとインターネットしたぁ~い」と言う人であれば、オススメしたい。



■ メインの電話にしようかな!?

 最初、NC-10をFAXとして使おうと思って買ったのだが、現在はどうしようか考え中である。俺は通話用の番号とFAX専用番号を持っていて、最初はNC-10をFAX専用番号の回線に接続しようとしていたのである。

 でも、NC-10はフツーの電話としてずいぶんナイスな機能を持っている。前述のように、ザウルスのアドレス帳をそのまま全部そっくり転送できる利便、そこから来るナンバーディスプレイの威力、さらに高度な留守番電話機能。それから、電話機としてはやたらデカくて見やすくて使いやすい、7.7型のタッチ対応カラー液晶画面。俺が知る中では最も凄まじい留守番電話機だ。が、これを通話用の回線に接続してしまうと、FAXが受けられない。FAX専用の回線に接続すると、これはこれでペーパーレスFAXとしてすげえ便利なのだが魅惑の留守番電話機能をイマイチ有用に使えない。

 まあ、普通の家庭では電話とFAXは同じ番号だったりすることが多いから、NC-10でもまったく問題ないのだが、さてどうするべきか。どちらに接続するべきか? とか悩む俺のようなユーザーのために、ぜひ、ふたつの回線を同時に接続できるようなNC-10を作って欲しいなどと思った。ぜひ、よろしくお願いします、シャープさん。え? そんなら2台買えって!? 実売約10万円×2台は、衝動買い野郎の俺でもちょっとキツいのであった。

□マルチメディアホンNC-10製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/nc10/text/index.html

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp