会場:Chicago、 McCormick Place
コンピュータとコンシューマーエレクトロニクスの展示会「COMDEX/Spring '99 and Windows World」が、現地時間の4月19日から22日まで開催されている。今年もMicrosoftのBill Gates会長兼CEOが初日の基調講演を務め、「将来的には、いつでもどこでも、どのデバイスからでもインターネットに接続できるようになり、『Universal Plug & Play』でパームトップPC、IPベースの電話、またデジタルTVなど様々なデバイスがつながるようになる」という展望を語った。また、注目の「Windows 2000 Beta 3」のデモや、新たなオプティカル認識技術を使用したコンピュータマウス「IntelliMouse Explorer」の発表も行なわれた。
●Windowsで、いつでも、どこでもインターネットへ接続
Gates会長は「ユーザーは、家庭や学校、オフィス、また移動中でもインターネットへのアクセスを求めている。我々の使命は、使いやすく、しかも強力な接続機能を持つデバイスをユーザーに提供するため、優れたソフトウエアツールの開発を行なっていくことだ」と語った。
同氏は、1人に1台のコンピュータというMicrosoftのビジョンは、それをはるかに超えた形で進行しているという。同氏は、「いつでもどこでもインターネットに接続できる」状態を確立するためには、多数のデバイスをつなぐ中心的なシステムが必要になるとも語った。また、「DSLやケーブルモデム、衛星通信サービスにより、帯域幅のボトルネックが解消されるのは当初の予測よりもかなり早い時期になるだろう。スクリーンを持つあらゆるデバイスはインターネットにつながることになるだろう」と語った。
Microsoftは同日、DSLプロバイダのNorthPoint Communicationsに3,000万ドルの投資を行なうことを発表している。同社は先月、NorthPointのライバル企業であるRhythms NetConnectionsへも投資しており、この2社はMSNのISPパートナーに対して広帯域サービスを提供することになる。
●30年ぶりのマウス革命? 「IntelliMouse」
Gates会長はまた、同社の新しいオプティカル認識技術「IntelliEye」を使用したマウス「IntelliMouse Explorer」を発表した。このマウスには、従来のマウスのパッド接触部にあるボールが存在しない。その代わり、オプティカルセンサーとデジタル信号プロセッサがマウスの動作を認識し、従来のマウスに内蔵されているボール型のポインティングデバイスよりも、マウスの動きを正確に認識できるという。また、マウスについている2つのボタンはプログラム可能で、Webサイトのブラウジングをより簡単に行なうことができる。
●「Windows 2000」の3回目のベータ版を公開
次に、Gates会長は「Windows 2000」のベータ版第3弾「Beta 3」のデモを行なった。同氏は「Windows 2000はトランザクション機能、ナレッジ管理機能、パーソナリゼーション機能が強化されており、E-Commerceを含めたインターネットの強力なプラットフォームになる」と語った。サーバーコンポーネントのWindows 2000 Serverを使用したデモでは、企業の特定部門の帯域幅を拡大し、トラフィックが集中する部分のボトルネックを解消するというデモを行なった。また、Windows CEをベースにしたデバイス「Windows Terminal」からのワイヤレスデータ転送も行なった。
Gates氏は「ユーザーはWindows 2000に対して、Windows 95以来の大きな期待を寄せている。Windows 2000は現在、20社のOEM、1,000社のISV、10万人の流通パートナー、14万人のデベロッパ、50万人のカスタマーを持っている」と語った。Microsoftは同日、「Corporate Preview Program (CPP)」を発表した。これは、Windows 2000のBeta 3に関して必要な情報やツールを提供し、企業がテストや評価を簡単に行なえるようにするプログラム。会場では、ビジネス管理やカスタマープランなどに関してのセッション「Road Map to Business 2000」が行なわれ、Windows 2000プラットフォームをベースにしたWindows Distributed interNet Applications (Windows DNA) 、ナレッジ管理、E-Commerceソリューションなどが語られることになるという。
●一方、Linux勢力が「Windows World」で躍進
一方、Gates会長の基調講演の直後、Linuxを開発したLinus Torvalds氏の講演が異なる会場で行なわれた。Gates会長が講演を行なった6,000人を収容する大ホールに比べると、Torvalds氏講演の会場は600人ほどを収容する小ホールとなったが、押しかけたLinuxファンは会場を埋めつくし、立ち見客も多数出た。
Torvalds氏は「Linuxを開発した理由は、現存するOSが十分でないと思ったからだ。コンピュータを購入しようと思った際、少なくともコンシューマは、デフォルトではなくどのOSを購入するかを選ぶ権利がある」と語り、会場から大きな拍手を受けた。会場の前席にはLinuxの熱狂的な支持者が座っており、Torvalds氏がMicrosoftを批判する発言を行なうたびに大きな拍手を送っていた。
□COMDEX/Spring '99ホームページ(英文)
http://www.comdex.com/comdex/owa/event_home?v_event_id=309
□関連URL
「Bill Gates Kicks Off Windows World/Spring COMDEX 」(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/features/1999/04-19comdex.htm
('99年4月20日)
[Reported by HIROKO NAGANO, Chicago]