サンプル価格:LQ020A8FR23 9,000円
連絡先:TFT液晶事業本部 液晶推進センター 企画推進部
Tel.0743-65-1321
シャープ株式会社は、反射型/透過型のどちらとしても使用できるTFTカラー液晶パネル「アドバンストTFT -マルチシーンディスプレイ-」を開発した。2インチの「LQ020A8FR23」(サンプル価格9,000円)を4月から量産出荷を開始し、その後に7インチの製品を順次量産出荷していくとしている。
【透過型TFTと反射型TFTの構造図】 | 【アドバンストTFTの構造図】 |
ただし、同じ面積の中に反射電極と透過電極を配置しているため、透過型液晶に比べると透過率が、反射型液晶に比べると反射率がそれぞれ悪くなる。しかし、透過型として使用する場合でも、反射電極が外光を反射することで、補助照明の役割を果たすという。今回展示された試作品に関しては、電極の面積がそれぞれの50対50になっており、その場合周囲の明るさが3,000ルクス以上(オフィスでの机の照度が約1,300ルクス)あれば透過型より明るくなるとしている。
製造工程的には従来のものがそのまま使えるので、液晶モジュールのみであれば反射型液晶と同じ価格で提供できるとしている。同社では、透過型は主に室内用、反射型はローパワーの屋外用としており、アドバンストTFTはその間を埋める製品と位置付けている。
具体的な搭載製品の予定は明らかにされなかったが、AV機器、情報携帯端末、車載用での使用が考えられている。また、パネルサイズに制限は無く、10インチを超えるノートPC用のものも十分製造可能としている。
発表会場内では、実際に画面を表示した2インチと、7インチのパネルが展示された。2インチのパネルは動画再生を考慮したフルカラー表示の設計となっており、ビデオ画像を流してデモを行なった。バックライト点灯時には、透過型と同等の画質を実現しており、バックライト消灯時でも、強いライトが当てられているとはいえ鮮やかで、従来の反射型にあった彩度の低さはあまり感じられなかった。7インチの方は26万色表示となっており、主にカーナビゲーションでの使用が想定されている。実際の表示をみると、バックライト点灯時には一般的な透過型液晶と同じレベルの画質だったが、バックライトを消灯時には画面の明るさにムラが出ていた。このサイズになると青天時の屋外でないと、画面全体を明るくするのに必要な光量を得るのは難しそうだ。
【2インチのバックライト オン時】 | 【2インチのバックライト オフ時】 | 【7インチのバックライト オフ時】 |
これまで、反射型カラーTFT液晶はPDAなどでは採用されているが、彩度の低さや、周囲が暗い場合の見難さもあってノートPCでは採用されてこなかった。しかし、アドバンストTFTは屋内ではバックライトを点灯し透過型として、屋外ではバックライトを消灯して反射型として使用でき、彩度も透過型並みを実現してる。シャープはこの液晶の具体的な採用予定を明らかにしていないが、PDAやノートPCに搭載されれば面白い存在になるだろう。
透過モード | 反射モード | |
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コントラスト比 | 100:1以上 | 5:1 |
応答速度 (立ち上がり+立り下り時間) | 50ms | 50ms |
視野角 | 上下90度/左右90度(Co≧5) | 上下70度/左右80度(Co≧2) |
LQ020A8FR23 | 7インチワイド | |
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画面サイズ | 2型(対角5cm) | 7型(対角18cm) |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 52.1×2.2×42.9mm | 173.0×14.7×106.0mm |
ドット構成 | 560×220ドット (デルタ配列) | 480×3(RGB)×234ドット (ストライプ配列) |
ドットピッチ | 0.073×0.139mm | 0.108×0.375mm |
重量 (バックライトユニット含まず) | 15g | 185g |
消費電力 | ・反射モード時 0.08W ・透過モード時(150cd/平方m) 0.98W | ・反射モード時 0.45W ・透過モード時(200cd/平方m) 5.45W |
□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/news/990331.html
('99年3月31日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]