ソニー株式会社は、「VAIO L」を始めとするメモリースティック関連商品を発表するとともに、メモリースティックの著作権対応機構の詳細と、将来のロードマップなどを明らかにした
●著作権対応機構の概要を公開、MP3は採用されず
メモリースティックは発表当初から、著作物の保護のための機構を将来的には備えるとされていたが、その内容が明らかにされた。
著作権保護機構は「Magic Gate(仮称)」と呼ばれるものが基本で、メモリースティックと機器の相互認証とコンテンツの暗号化を行なう。具体的には機器とメモリースティックがお互いに違法な機器でないことを認証しあうとともに、コンテンツのセキュア情報(再生回数、期限の制限、コピー数の制限)付きでデータを交換する。メモリースティックは個別のキーを持っており、著作権保護機構つきのメモリースティックにのみ制限付きでコピーが許される。
また、PC上で「Magic Gate」と同等のセキュアを保つための「OpenMG」も用意され、ハードウェアモジュールとソフトウェアの組み合わせで実現される。一例としては、PCのHDDから携帯用プレーヤーへのコンテンツのデータを移動の際にセキュア情報を維持して転送を行なう。
メモリースティック用のオーディオデータ圧縮技術「ATRAC3(アトラックスリー、仮称)」も公開された。MD用の圧縮技術を発展させ圧縮率を約2倍に上げたもので、サンプリング周波数は44.1kHz。64MBのメモリースティックで1時間以上の高品質録音が可能としている。MP3のような汎用技術ではなく、ソニーの独自技術となった。会場ではATRAC3圧縮によるデモンストーレションも行なわれたが、限られた試聴で音質については判断できなかった。
なお、著作権保護機構付きのメモリースティックは、表面と裏面が別色のツートンカラーとなり外観からも一般のメモリースティックと区別される。
●ロードマップを公開、2001年には256MBまで
現状では16MBまでのメモリースティックだが、将来的には256MBまで製品化されるとしている。時期的には32MBと64MBが'99年中、この2つについては通常のものが先行発売され、著作権保護機構付きのものはやや遅れて登場する。その後、128MBは2000年、256MBが2001年に登場予定。 また、他社によるメモリースティックおよび対応機器のライセンス生産については、有償でライセンスを公開予定で、交渉も開始しているという。またメモリースティックの、色については制約されずVAIOカラー以外のものも登場する見込み。
●メモリースティック対応フォトスタンド「PHD-A55」
以前から参考出品されていたメモリースティック対応のフォトスタンドが商品化された。これはメモリースティックをスロットに差すだけで5.5インチTFT液晶に画像を表示し、スライドショーや音声の再生もできる。しかし、価格は99,800円ときわめて高額で、会場でもマーケティング方針について質問が出るほどだった。ソニーでは「低価格で販売できるようになるのを待つよりも、高額なのは覚悟のうえで製品化したかった」としていた。
●デジタルフォトプリンター「DPP-MS300」
・標準価格:64,800円
・4月20日発売
メモリーカードスロットと、Type2のPCカードスロットを備え、JPEG、BMP、TIFFフォーマットの画像がプリントできる。はがきサイズの印刷が主目的で、解像度は306dpi×306dpi。Windowsマシンとの接続や、ビデオ入力からのプリントも可能。
なお、パラレルポート用のPCカードアダプタ「MSAC-PR1」(11,000円)も同日発売となる。Type2スロットのみで、メモリースティックスロットは備えておらず、別売のメモリースティック用のアダプタを併用する。 会場では昨年の「COMDEX/Fall '98」などで展示されたメモリースティック関連の試作機、モックアップも展示された。
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース(著作権保護機構など)
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199902/99-021/index.html
□ニュースリリース(デジタルフォトフレーム)
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199902/99-023/index.html
□ニュースリリース(デジタルフォトプリンタ)
http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199902/99-024/index.html
('99年2月18日)
[Reported by date@impress.co.jp]