今回のMACWORLD Expo/Tokyo '99は、通信機器の出展が非常に少なく、あまり大きなトピックはなかったが、NECのAtermITシリーズがiMac及びPower Macintosh G3のUSBポートへの対応をアナウンスし、注目を集めていた。
NECのAtermITシリーズと言えば、国内最大のシェアを持つISDNターミナルアダプタの定番商品だ。一昨年に発売したAtermIT65シリーズではいち早くUSBポートを採用し、昨年末に発表されたAtermIT75シリーズではデュアルUSBポートを搭載するなど、USB接続に関しては熱心に取り組んできた製品だ。
しかし、iMacのUSBポートへの対応については、なかなか正式にアナウンスされていなかった。USBポートしか持たないiMacにしてみれば、ぜひとも欲しい周辺機器のひとつであり、対応を望むユーザーの声も数多く聞かれていた。今回のMACWORLD Expo/Tokyo '99ではこうした声に応え、iMac及びPower Macintosh G3への対応を明らかにしている。しかも、実際に動作する製品のデモを行なっている。
まず、Mac OS 8.5上でのUSBポートの扱い方だが、「Atermポート」というポートを設定し、その先にISDNターミナルアダプタが接続するという形式を取っている。つまり、モデムポートやプリンタポートと同じように、ひとつのポートとしてAtermポートを設定している。Windowsで、USBポートを仮想COMポートとして扱っているのと、ほぼ同じ形式でUSBポートを取り扱っている。
この手法を採用したメリットは、既存のソフトウェアをそのまま活かせること、PPP/MPによる64/128kbps同期、V.110による57.6kbps非同期通など、幅広い通信モードを利用できる点などが挙げられる。iMacではリモートアクセスを開いたとき、内蔵モデムの他に「Atermポート」が選べるようになり、設定ユーティリティなどもこのAtermポートを通じて、接続される仕組みだ。
今回のドライバで対象となっているのは、昨年末に発売されたAtermIT75、AtermIT75/D、AtermIT60/Dの3機種のみだ。従来販売していたAtermIT65シリーズは内部的な構造が異なるため、今回の対応からは見送られている。しかし、市場のニーズがあれば、十分対応する可能性は残されているだろう。現在は、USBポート接続で通信ができるのみだが、当然、Windows版で実現されている「フレックスBOD for USB」や「着信履歴 for USB」などの機能のサポートも検討されている。AtermIT75シリーズのデュアルUSBによる内線ネットワーク接続も検討項目に入っている。特に、64/128kbps接続をクライアント側から制御できるフレックスBODは非常に有用なので、できるだけ早くサポートしてもらいたい。
気になるドライバの配布時期だが、トラブルなく進めば、3月末にはAterm Stationを通じて配布される予定で、それ以降に出荷されるパッケージにも同梱されることになる。ただ、他のUSB機器との同時接続など、まだまだクリアしなければならない問題も残されているため、ドライバ配布が3月末以降にずれ込む可能性も残されている。
実際のパフォーマンスはテストをしてみなければ何とも言えないが、iMac及びPower Macintosh G3のユーザーにとっては、かなり気になる存在であることは確かだ。ドライバの正式なリリースに期待したい。
□MACWORLD Expo/Tokyoホームページ
http://www.idgexpo.com/MACW/99/index.html
□AtermIT75/IT60シリーズのiMac対応について
http://aterm.cplaza.ne.jp/info/1999/info0216.htm
('99年2月18日)
[Reported by 法林岳之]