先週行なわれたCESのリアルタイムレポートできなかったアイテムの拾遺編です。電子手帳から天体望遠鏡まで、広い分野から気になるアイテムを紹介します。
●アメリカ版ポケットボード!?
「シャープ TelMail」「JVC HC-E100」
シャープ TelMail |
JVC HC-E100 |
そして今回のCESで見つけたのが、昔懐かしい音響カプラーを一体化したE-Mail専用端末 「シャープ TelMail」と「JVC HC-E100」だ。これらは昨秋のCOMDEX/Fallでデビューした製品だが、シャープの製品は今回のCESで「INNOVATIONS 99」という賞を受賞しており、米国でも注目されている製品のようだ。
「シャープ TelMail」と「JVC HC-E100」は、「PocketMail」というサービスを活用した通信端末。日本の「ポケットボード」での「10円メール」と同じような感覚で捉えるとわかりやすいだろう。このサービスは、1カ月あたり9.95ドル(約1,000円)の固定料金を支払い、「1-800-POCKETM」というフリーダイヤルに電話をするだけでE-Mailの受信やFAX送信ができるというサービス。通信相手がフリーダイヤルなので、電話代は無料。しかも、完全固定料金という点も安心だ。
通信はモジュラー経由ではなく、一体型の音響カプラーを普通の受話器に押しつけて行うというアナログ的なもの。具体的には、公衆電話などからごく普通に「1-800-POCKETM」に電話をかけ、この端末を受話器に押しつけながら、背面の送受信ボタンを押すだけというシンプルさ。
この単純な構造で、実際にどれくらいの通信速度がでるのかわからないが、E-Mailに必要十分な速度は出るようだ。
端末側の機能は、E-Mail専用機だけに、よく整理されており、ボタン一つで「INBOX」(受信箱)、「OUTBOX」(送信箱)、「COMPOSE」(作成画面)に切り替えられる。もちろん、E-Mailのアドレス帳も作成できる。表示はいずれも反射式の2値のモノクロ液晶で、表示は粗いが英語圏ならば、これでも十分なレベルだろう。電源も単三型2本と入手しやすいものになっている。
なお、モジュラージャックなどはなく、あくまでも「PocketMail」専用機という位置づけのようだ。価格はシャープが149ドル、JVCはわずか99ドルととても手頃だ。
これらの製品は英語専用端末であり、「PocketMail」サービスも米国内のフリーダイヤルなので、日本では使えない。だが、日本国内でもモジュラージャック付き電話は探そうと思うと意外になく、携帯電話やPHSも通じない場所も結構多い。そう考えると、日本の携帯端末にもこのような機能があってもいいのではないだろうか。
TelMailの背面 |
TelMailを受話器に |
HC-E100の背面 |
●超小型GPS付き腕時計を出展したカシオ
カシオは今回、国内でも発表された腕時計スタイルの超小型GPSをアクリル越しながら展示した。腕時計の横にGPS用の受信部が出っ張った感じで、意外なほどコンパクトに仕上がっている。
これは、GPSから得られた緯度経度情報を表示する機能がメイン。地図データは内蔵されず、緯度経度情報を元に地図上で自分の位置を確認するため、緯度経度表示のある地図が別途必要だ。だが、本機にはあらかじめ目的地の緯度経度を登録しておくと、そこまでの方向や距離を簡単なイラストで表示出来る機能を持つ。
GPS単体がここまでコンパクトになると、あとは地図情報をROM化するか、必要な部分だけ外部からメモリに転送すれば、超小型のナビゲーションシステムができそうだ。なお、価格は未定だが500ドル前後になるという。
□ニュースリリース
http://www.casio.co.jp/productnews/gps.html
●Outlookとのシンクロ機能を備えた149ドル電子手帳「カシオ PV-200」
昨年はWindows CE搭載のPalm-size PCの発表でにぎわったカシオブース。同社は今回、日本でのカレイドシリーズのような電子手帳「PV-200」を発表した。PV-200は、基本機能としては普通の電子手帳という感じなのだが、「Microsoft Ooulook 97/98」とのシンクロ機能を前面にアピールしている点が大きな特徴。価格は149ドルと、Palm-size PCよりも遙かに安価に設定されている。
Palm-size PCのメリットはWindowsとの連携であり、文字入力が苦手である性格上、外出先で利用するデータのほとんどはOutlookとシンクロ出来れば事足りる。そんなシンプルで実用的なコンセプトのモデルがこのPV-200というわけだ。
今回のCESを見ると、Palm-size PC自体、昨年ほどの盛り上がりは感じられず、ときおりこの手のツールでメモを取っている来場者を見ても、その多くがPalm Pilotだったりする。昨年のCESで鳴り物入りで登場したPalm-size PCだが、やはりアメリカでは高機能よりも、シンプルで手頃なもののほうが好まれる傾向があるようだ。
●カシオ「プチコレ」も出品!
●PCやWebすべてをTV上で扱うシステムを発表した「松下」
松下は今回、50インチを越えるような大型テレビを発表し、ホームシアターの世界を積極的にアピールしていたが、その一方で、テレビやゲームはもちろん、PC画面までも普通のテレビで表示し管理する家庭用システムを発表していた。
このシステムは、「MicroCast」と呼ばれるもので、家庭内の映像情報を家庭用の大型ディスプレイ上で一括表示することで、ユーザーはテレビを見ながら、必要に応じてパソコン操作やネットサーフィンを楽しめるというもの。PC用ディスプレイに比べるとテレビは解像度が低いため、文字情報などを読みやすくする画像処理を施している。
また、テレビ上にPCの画面を表示しながらも、そのなかにテレビウインドウを重ねて表示することもできるので、ネットサーフィンしながらテレビ放送を楽しむこともできるという。
●大容量HDD内蔵のNetTV続々登場
今回のCESの大きな見所となったのがHDDドライブを内蔵したセット・トップ・ボックス。なかでも、「RePlay」と「TiVo」が双璧となっており、いずれも人気を博していた。
これらの機器は、数十GBのHDDドライブを内蔵することで、簡単にテレビ番組の録画やリプレイが見る事ができる。通常のモデルでも6時間程度の録画ができ、見たい番組をネット経由で送られてくる番組表から選んで、リモコンで予約しておくだけでOKと、インターフェイスも実にシンプルなもの。
大容量HDDを内蔵している割に、価格は500ドル程度と意外に手頃。しかも、将来的にはホームサーバー的な使い方ができる可能性もあることから、今後このような製品が続々登場する可能性が高い。
今後、より大容量のHDDディスクが安価に供給されるようになれば、1週間分の見たい番組を全部録画しておき、週末にまとめて楽しむといった使い方もできそう。しかも、HDDなのでテープメディアに比べて検索が容易な点も大きなメリットといえる。あと数年で大きな進化を遂げるであろう分野だけに、今後の動向が注目される。
●150ドルのコンピュータ対応望遠鏡を発表した「Meade」
□1999 International Consumer Electronics Show
http://www.cesweb.org/
('99年1月19日)
[Reported by 山田久美夫]