1999 International CES

矢作 晃の1999 International CES 展示会場レポート

会期:'99年1月7日~1月10日 開催(現地時間)
会場:ラスベガス LasVegas Convention Centerほか

 家電に代表されるコンシューマ向けエレクトロニクス製品のトレードショウ『CES (Consumer Electronics Show)』が、今年もネバダ州ラスベガスで開幕した。コンシューマ向けエレクトロニクス製品のショウとしては最大規模のものとあって、数多くの来場者が、カンファレンスと展示会が開催されるLasVegas Convention Center、Sands Expoをはじめとした計4会場に足を運んでいる。

 展示会場レポートでは、ここ数年、家電業界が積極的に取り組んでいる家電とデジタル機器との融合の進捗状況や、最近の製品トレンドなど、会場内で見つけた製品情報を中心に紹介しよう。


■普及はまだだが、注目度は高いDTV & HDTV

 昨秋より放送が開始されたデジタルTV(以下、DTV)だが、残念ながら米国でも本格的な普及はまだまだといった状況。しかし、それでもデモンストレーションに使われているHDTV(High Difinition TV)の高精細な映像に見入る来場者は多い。また、会期中の9日、10日は週末にあたり、フットボールのプレイオフがHDTVで会場内に生中継されており(これが日本だったら、相撲か野球のところだ)、製品そっちのけの来場者も。写真で紹介したPanasonic、SONY以外にも、Toshiba、Pioneer、Philips、Sharp、JVC、SAMSUNGなど10数社が関連製品を出展している。

展示会場の一等地ともいえるエリアで、HDTV対応製品をプレゼンテーションするPanasonic。中心に据えられているのは56インチのリアプロジェクションタイプ こちらは、チューナーボードとデコーダボードが別々の構成。PCのディスプレイへはグラフィックカードを経由して480ラインのプログレッシブモードで表示。オプションを追加することでHD対応のディスプレイに1,080ラインのインターレースや、720ラインのプログレッシブモードで映像の表示が可能となる


いっぽうのSONYは、ホールではなくコンコース横の一室を利用して製品を展示。参考出展となる65インチのリアプロジェクションモデルをはじめ、おなじみのWEGAシリーズなども。横にあるのが、DTVのデコーダ

Panasonicが参考出展するPC99規格のPCを対象にした、DTVボード。DTVチューナーとMPEG-2デコーダを一枚のボードにまとめている。他にATI REGE 128を積んだビデオカードが必要。Windows 2000上のDirectShowを使って映像を表示する


□米PanasonicのTVホームページ(英文)
http://www.panasonic.com/consumer_electronics/tv/index.htm
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/index-j.html


■見たい番組が自由自在になるパーソナルテレビサービス

 パーソナルテレビサービスとして、注目を集めているのが以下に紹介する2社の製品。ビデオデッキサイズの本体にはCPU、MPEG-2カード、そしてハードディスクが収められている。ユーザーは電話回線経由で入手するEPG(電子プログラムガイド)を使って見たい番組を選んだり、録画の予約をすることで、その番組が放映時にハードディスクに記録される。あとは好きな時間にそれらの番組を楽しむという仕組みだ。見ている映像は、ハードディスク上に記録されているものなので、スロー再生や一時停止、リプレイなども自在にできる。こうした操作はリアルタイムの番組を見ているときも可能。'98年秋に大阪で開催されたエレクトロニクスショーでも、同一コンセプトの製品を松下電器が参考出展していたが、米国では一気に製品化されている。

Replay Networks社の「ReplayTV」。記録可能な時間はハードディスクの容量によって決まるので、6時間対応から20時間超の製品までラインナップされている。バックパネルにはIEEE-1394のポートが2つ搭載され、将来的なストレージの増設も考慮されている

こちらはTiVo社の「TiVo」。EPGはユーザーの好みに合わせてカスタマイズすることができる。地上波やケーブルテレビ、衛星放送などのEPGは電話回線経由で入手するが、月々にかかるコストはゼロ。ローカルエリアの電話料金が安い米国ならではのサービス

□Replay Networks(英文)
http://www.replaynetworks.com/
□TiVo(英文)
http://www.tivo.com/


■既存のプロダクトが中心のMicrosoftブース

 CESにあわせて、家庭での情報家電およびパーソナルコンピュータの接続を容易にし、それらの機器の共有を実現する規格である、ユニバーサル プラグ アンド プレイ(Universal Plug and Play)を発表したMicrosoftだが、展示会場内の同社ブースでは、関連する展示をほとんど見ることができなかった。展示の中心はWeb TVやWindows CEなど、同社がこれまでに展開してきたコンシューマ向けの路線を継続するもの。

Auctor社が開発したPalm-Sized PC「Pocket Pro M」。バックライト付きのカラーLCD表示ができる上、33.6kbpsのモデムも内蔵している。リチャージャブルバッテリを使って8時間の駆動が可能で、中国語表示もサポートする 「WebTV Plus for Sattelite」は、衛星放送に対応したWeb TV。インターネットと衛星放送を統合。EPGを使ったプランニングができたり、スイッチひとつでウィンドウ内の映像を前画面に表示したり、よりインタラクティブに放送を楽しむことができる


いかにもラスベガスらしく、Auto PCやHandheld PCが当たる抽選会はスロットマシンを使う。まぁ、たいていはハズレてTシャツが一枚もらえる


■会場内いたるところにその姿がある「Microdrive」

 昨年、IBMがウェアラブルコンピュータの技術説明会を行なった際に公開された超小型のハードディスク「Microdrive」が会場内のいたるところで展示されている。

スケルトンモデルで実際の動作状況などもデモされるIBM製の「Microdrive」。CF Type2のインターフェイスをもつ340MBと170MBの製品がラインナップされている Clarionは、Auto PCへのMicrodrive採用を決めて技術協力を発表。インターネットから地図データをダウンロードしてナビゲーションに利用したり、他の携帯端末やデジタルカメラ、PC機器間でデータ交換が可能になるなど機能性が拡大する


Microsoftブース内にあるCE PartnersパビリオンのNECブースにもMicrodriveを紹介。同社のH/PC Pro搭載機「Mobile pro 770」への応用などをデモ

□IBM Storageホームページ(英文)
http://www.ibm.com/storage/


■多種多様な家庭内ネットワークへの試み

 ホームネットワーキングは、家電のデジタル化とあわせて大いに市場の伸びが期待されるジャンルだが、スタンダードへの模索は続いている。本命はもちろんIEEE-1394を利用するネットワークなのだが、現状ではまだ絵に描いたモチ状態。現実的な無線LANや、既存の屋内配線を利用するものなど多種多様な内容となっている。

展示会場内に設置されたIEEE-1394パビリオン。Audio & Visualを中心に各社の対応製品を相互に接続してデモンストレーションを行なっている

AC電源コンセントという、ちょっと怖い屋内配線を利用して各部屋間でPCのネットワークを構築する製品。Intelogis社の「PassPort」


□Intelogisのホームページ(英文)
http://www.intelogis.com/

□1999 International Consumer Electronics Show
http://www.cesweb.org/

('99年1月11日)

[Reported by 矢作 晃]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp