会期:'99年1月5日~1月8日 開催(現地時間)
会場:サンフランシスコ Moscone Convention Center
年明けでもっとも早いパソコン関連イベントである「MACWORLD Expo San Francisco」。デジタルカメラは今年が勝負どころだけに、'99年一番乗りの新製品発表があるのでは……と、わずかな期待があった。だが、昨年同様、今回のイベントでは、デジタルカメラの新製品は、やはりなにも無かった。
また、iMacの大ヒットでイベント自体はかなり活気を取り戻しているものの、昨年、一昨年に比べると、デジタルカメラ系メーカーの出展が減っており、Mac離れの傾向が見受けられる。
とくに今回の場合、イベントでのデモ機は当然のことながらiMacが主体となるだけに、USBポートでダイレクトに接続できるモデルが現時点ではほとんどなく、USB対応のカードリーダーも数少ない点なども、デジタルカメラ系の出展を阻む要因といえる。
実際にiMacユーザーのなかには、デジタルカメラを使いたいが繋がらないという声が出始めているわけだが、今回のEXPOでは、サードパーティーからUSB対応の低価格なカードリーダーなどが続々登場しはじめている。
ここでは、デジタルカメラ系メーカーのブースと、デジタルカメラに関連した周辺機器について紹介しよう。
●オリンパス
デジタルカメラ関係でもっとも元気だったのが、アメリカでも急速にシェアを伸ばしているオリンパス。今回のメインは「D-620L」(C-1400XL)よりも、むしろコストパフォーマンスな「D-400ZOOM」(C-900ZOOM)だった。会場での注目度も高く、デモには立ち見の人がでるほど盛況だった。もっとも、iMacを使ったデモでは、USBからシリアルに変換するアダプタ(KeyspanのCamera Adapter for iMac)を介した転送が行なわれており、苦肉の策という感じだった。
富士フイルムは今回、「MX 700」(FinePix700)と「MX 500」(FInePix500)がメイン。残念ながら今回のイベントでは、ズーム機の「FinePix600Z」の姿はなかった。昨年はアメリカでも「MX 700」がいくつかの賞を獲得しているだけに、まだその人気は高く、手にする人も多かった。だが、iMacへの転送については、あまり明確な回答がなく、「フラッシュパス」もカタログ上はまだMacを正式にサポートしていないなど、やや中途半端な印象があった。
日本では、まず姿を見ることがないアグフアのデジタルカメラ。だが、アメリカでは大抵のPCショップで置いてあるほどの定番商品になりつつある。実際に会場内で持ち歩いている人も意外なほど多く、個性的なデザインと基本性能の高さ、そして、130万画素3倍ズームの「ePhoto1680」でも実販799ドルという割安感が評価がされているようだ。
ブースはきわめて小さく、スキャナがメインだったが、デジタルカメラの人気も高く、実写デモも行なわれており、なかなかの人気だった。
メイン会場の入り口正面にブースを構えたエプソン。ブースのメインは、シェアを伸ばしている写真画質のマッハジェットシリーズ。もちろん「PHOTOPC 750Z」(CP-700Z)や「PHOTOPC 700」(CP-600)も出展されているが、ほとんど目立たない感じだったのが残念。
キヤノンは今回、デジタルビデオとコピーなどの事務機系がメインで、デジタルスチルカメラの出展はナシ。Power-shotシリーズも現地のPCショップで見かけることはほとんどなく、アメリカでの展開が遅れているようだ。
日立は恒例のMPEGカメラを出展。そろそろ新型がでても良さそうな時期なので、ちょっと期待していたのだが……。
●USB系アダプタを多数出品した「Microtech International」
アメリカ市場では、有名なメモリーカードメーカーである「Microtech International」。同社は今回、USB対応のカードリーダーや変換アダプタを出展していた。
なかでも注目されるのは、USB対応のカードリーダーである「USB CameraMate Digital Film Reader」。この製品は89ドルと手頃な価格で、しかもコンパクトフラッシュとスマートメディアがアダプタなしで使えるというスグレモノ。さらに、今後登場するCF TypeIIや128MBまでのスマートメディアにも対応している点も安心だ。また、Macだけでなく、Windows 98にも対応しており、これひとつあれば、MacもWindows 98もOKという。
デザインもなかなかスマートで、iMacにも似合いそうな感じで好感が持てる。ぜひとも日本国内でも発売して欲しい製品だ。
また同社は、USBからSCSIへの変換アダプタである「USB XpressSCSI」も出展。こちらは昨秋のCOMDEXで発表されたものだが、価格も79ドルと安価で、こちらもiMacとWindows 98に両対応しているため、汎用性も高い。また、リムーバブルメディアだけでなく、フラットベットや35mmフィルムスキャナでも対応できる製品があるようなので、iMacでグラフィックを楽しみたい人には貴重な存在になりそうだ。なお、SCSI側の端子はDB25だ。USB変換アダプタなので、実際の転送速度がどの程度なのかわからないが、とにかく繋がるだけでも便利そうだ。同社はこれ以外にも、USBからパラレルへの変換アダプタも出品していた。
また、iMac用のUSBからSCSI変換アダプタは「Second Wave」からも「SCUSBee」という製品が発売されていた。こちらはWindowsでのサポートはないようだが、スループットが12Mbpsと明記されているあたりは、なんとなく安心感がある。こちらもストリートプライスは79ドルと手頃なレベルだった。
アメリカのパソコン系イベントでは恒例となったデジタルカメラ専門店「dc Pro」は、今回もブースを構えていた。ここはデジタルカメラと周辺アクセサリーを専門に扱うショップで、日本ではなかなか見られない、変わった製品を取り揃えているユニークなところ。
たとえば、エプソンCP-600やCP-700Z用のフロントコンバーター取り付けアダプタ、パノラマ撮影用の特殊雲台、ACアダプタ端子から電源を供給する充電式パワーパックなどもある。
今回もブースでは、メモリなどの即売が行なわれており、45MBのCFカードが190.95ドル(2枚目からは10%OFF)で売られていたのは、ちょっとショックだった。
なお、アクセラレータで有名なNewer Technologyも、CF専用の「uFlash-CF」(89ドル)、スマートメディア専用の「uFlash-SM」(99ドル)などのUSBドライブ(いずれもMac、Windows共用)、USB-SCSI変換アダプタの「uSCSI」(79ドル)などを発表した。
□MACWORLD Expo/San Franciscoホームページ
http://www.macworldexpo.com/mwsf99/
('99年1月7日)
[Reported by 山田久美夫]