PC Watchでお馴染みのスタパ齋藤氏、西川和久氏、法林岳之氏に、それぞれの1998年ベストPCを選んでいただきました。
スタパ齋藤:松下 Let's note ace/A44迷う!! 嫌になるほど迷う!! どれがベストだと聞かれても、今年のパーソナルコンピュータは超豊作だったゆえ、答えが出ない!!特に各メーカーが“銀パソ”をドドドッと出した頃からは、どのマシンもナイス!! しかし「みんなよかったです」なんてヒヨった見解は、この怒濤のパソコン業界では通じねえ!! 絞らなきゃおもしろくねえ!! だから絞ってみたい!! 絞った結果は、カシオのCASSIOPEIA FIVAとソニーのVAIO PCG-505RXおよびVAIO PCG-C1と松下のLet's note ace/A44の4機種!! この4機種に特に強く感じるのは、西欧的合理主義をうち砕くほどの技術主義!! いやあのそんなに緻密に凝縮しなくても……いやっ我々はするんです!! という技術者たちの熱い想いを感じる!! これだから日本の技術者はイイ!! 感動する!! 日本に神が存在するとしたらそれはテクノロジーです、と渋谷駅前で声を大にして訴えて白い目で見られそうになるほど、日本の技術は素敵だ!! が、ここは心を鬼にして1機種のベストを決めなければならない!! だったら俺が選ぶのは、松下のLet's note ace/A44だァっ!!
このマシンはたまらねえ!! 基本性能の高さ、サイズ、液晶の解像度、そして内蔵CD-ROMドライブ!! ソニーのVAIO505RXに誰もがクラクラきてるところへ、さらにCD-ROMドライブを詰め込んだ感じ!! CD-ROMドライブのかわりに拡張バッテリを詰めれば、最長9時間以上の長時間駆動!! こんなマシン世界中探してもコレしかねえ!! 非常にたまらん!! ていうか正直、ここまでやるとは思わなかった。結局はCD-ROMドライブとバッテリを挿し替えて使える超薄型B5ノートで世界最小軽量ということなのだが、冷静に考えてみてその特徴の全てが凄いのだ。そしてその凄さの向こうから、技術者たちの血走った眼差しと不眠不休の努力が見えてくる。そんな意味で、コレは今年最も賞賛すべき1台だと思える。
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西川和久:日本IBM ThinkPad 600編集部から「“俺のPC of The Year”の原稿を……」との連絡があり、その時いろいろ相談した結果、筆者の“俺のPC of The Year”はIBM ThinkPad 600(以降TP600)に決定した。メーカー製のデスクトップPCは最後の潰しがきかない(つまり改造しづらい)ので、どうしても自作できないノートPCに目が行ってしまうのは仕方がないところだろう。また、一般的に考えると今年一番のPCと言えば当然iMacになるだろうし、読者投票でも圧倒的な強さを誇っている。筆者もiMacはこの年末(か年始)に購入する予定であるものの、自宅も事務所も既にPCがいっぱい。置き場がなく、大掃除してからにしようと思っている半面、ディスプレイの品質がどうも気に入らず「ディスプレイ無しのiMacがあればいいのに……」と、少し躊躇しているという話もある(笑)。さて、このTP600、筆者が所有するのは初代のModel 2645-41J。現在は、Model 2645-46J/86Jと2645-53Jを経てDVD-ROMドライブ搭載のThinkPad 600Eが最新機種だ。初代TP600は出荷が5月の関係からプリインストールOSはWindows 95。ただし、Windows 98にアップグレードするのは面倒&必要もなくそのまま使っている。
このマシン、「何が気に入ったか!?」という理由は単純明解。『何時もカバンに入れ持ち運べるギリギリの範囲で最強』だからである。フォトレタッチさえしなければ、筆者が日頃行なっている業務はこれ一台で全て片付いてしまう上に、当時メインで使っていたPentium Pro 200MHzマシンよりもグラフィックを除く全ての面でスペック的に上だったのだ。 いずれにしてもTP600やThinkPad iシリーズなど、「流行に流される事なく我が道を行く」的なThinkPadシリーズは筆者が最も好き&信用しているPCブランドである。来年も期待しています!! >IBM *1 ただし、最近歳のせいか17インチディスプレイでは、1,152×864ドットで使っている。この解像度も対応希望(笑)。さらに、Photoshop 5.0に付属する“Adobe Gammaユーティリティ”やEIZOのカラーキャリブレータ“ErgoColor 20W”などが必要とする“ガンマ補正機能”をディスプレイ・ドライバに組み込むのを忘れないで欲しい。
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法林岳之:東芝 Libretto 100魅力的な製品が数多く登場した'98年。筆者なりのPC of the Yearを選んでみよう。ただし、独断と偏見に満ちた選択なので、一般的な解釈と異なる点はご理解いただきたい。まず、デザインや話題性で見た場合、iMacの右に出る製品はない。市場に与えたインパクトも大きく、'98年を代表する製品と言っても過言ではない。しかし、PC of the Year'98に選ぶつもりはない。その理由は、購入後もユーザーを喜ばせる何かが足りないからだ。誇大表現とも言えるテレビCMや、ここ数年間、Mac OSの戦略が度々変更されていることなども気になる点だ。筆者自身も発売日に喜んで購入したが、すでに飽きてしまったというのが正直な感想だ。せっかくの魅力的な製品なのだから、アップルコンピュータにはもっとユーザーを大事にする姿勢を持っていただきたい。 その点、VAIO PCG-C1はユーザーを継続して楽しませる何かを持っている。ただ、ノートPCとして見た場合の完成度は今ひとつで(特にキーボード)、モデムが内蔵されている点など、仕様的に思い切れてない部分も残る。B5薄型ノートも各社なりの工夫は見られたものの、インパクトに欠ける面があった。デスクトップPCでは液晶ディスプレイ搭載モデルが人気を集め、特にNECのValueStar NXのVCシリーズは中山美穂のテレビCMで女性ユーザー獲得に貢献した。しかし、基本コンセプトは省スペースPCの発展形でしかない。 そんな思案の結果、筆者が最終的に選んだのは、東芝の『Libretto 100』だ。従来のLibrettoシリーズを進化させたものと言ってしまえば、それまでだが、液晶ディスプレイのワイド化、PCカードスロットの2基搭載など、ミニノートの新しい形を生み出そうとした。しかし、後継のLibrettoSS 1000シリーズではこれらの新コンセプトが失われてしまい、Windows 98でサポートされたACPIに対応したため、ハイバネーションやレジュームなどが確実に動作しなくなっている。省電力機能については、DynaBookSS 3000シリーズも同様だ。筆者が'98年にPC Watchに掲載した海外レポートの多くは、Libretto 100によって生み出されている。ラスベガスで「Are you a Wrestler?」と聞かれてしまうほどの体格の筆者でも、慣れてしまえば、あの小さいキーボードでのタッチタイプが可能だった点も見逃せない。 ノートPCのトレンドはB5薄型ノートに移行し、Librettoも後継のLibrettoSS 1000シリーズに主流が置き換えられているが、もう一度、ミニノートPCの存在意義を問う意味から、筆者は敢えてPC of the Year'98に『Libretto 100』を選びたい。
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