■年末特別企画■

Dreamcast発売記念! 購入・分解記

~買ってすぐ分解してみました~


遂に、遂にこの日が!!

Dreamcast  11月27日、晴れ。遂に、遂にこの日がやってきたのだ! そう、今日はDreamcastの発売日なのだぁ!

 5月21日に発表会に出席し、しかとその目で確かめたその日から幾星霜。指折り、指折り、指折り数え、数えまくり、食事をしては数え、原稿を書いては数え、寝れば夢の中に現われ、財布の中の現金を数え、この日に備えて備えて、備えまくったのだ。
 とはいえ、一時はその発売日もリセットされ、1週間延期……唖然、愕然、憔悴、号泣、絶望……そして再生。

 眠れぬ夜に目の下にクマを作りながらも待った甲斐があった。来た! 遂に来た来たドリキャス発売日ぃ。ついつい、この頭の悪そうな文章を書いてしまうほど、俺は今猛烈にカンドーしている! 確かに、同時発売タイトルにそれほど目を引くタイトルがないとか、セガ・エンタープライゼスも変わったとか言ってるけど、今更「バーチャファイター」でもないだろうとか、いろいろな雑音はこの耳に届けども、我は信じておりますればこそ、今日この日をお祝いしたいと思います。パチパチパチ。

 と、まぁ感情の高ぶりをダイレクトに文章にしたため、必要以上に長くなった前フリを後に、予約票を手にして俺は秋葉原に向かった。

 足取りもぉ~軽やかにぃ~Dreamcastを迎えに向かぅ~俺様ぁ~(音符記号)。

 鼻歌混じりにスキップ、スキップ。予約票を片手にスキップスキップ。予約開始当日の10月20日、11時に予約入れちゃったもんねー。っていうか、やっぱ予約でしょう、Dreamcast。って今更ここに書いても全然無駄だけどー。へっへっへ、当日に並んだって買えないよーだ。だって、2日間で予約締め切っちゃたんだよー。絶対無理……じゃん……あれ? あれあれ?? 「当日販売あります」……買えるって書いてある。なんでなんで。俺様のこの優越感はどこにぶつければいいの? 
 ちなみに当日100人ぐらいが並んだそうで、さらにさらに並べば湯川専務や入交社長と名刺交換できたんだそうで……チッ、俺も並べば良かった。

 ま、予約したんだし、絶対手に入るんだしヨシとするか。ってことで寄り道もソコソコに予約店に。「Dreamcastください。ソフトは『セガラリー2』を予約したんだけど、やっぱり発売延期になっちゃったから、仕方なく『バーチャファイター3tb』でいいです」。すると店員は「かしこまりました」と答えながら、カウンターの裏からうやうやしくDreamcast本体を運び出してきた。遂に、遂に念願のDreamcastがこの我が手に!

パッケージ パッケージ  しかし、このパッケージはなんとかならないものか? なんと、湯川専務のご尊顔がドアップでバーンと印刷されているではないか。これって発売記念でもなんでもなくて、Dreamcastのパッケージは永久に(と言っても商品寿命は4年程度だろうが)これで行くんだって。くぅ~恥ずかしいっす。色もドリキャスカラーでハデハデなんだよね。とにかくこの視認性はすごくて、雑踏にも関わらず100m離れていても「あ、あの人Dreamcast買ってる」ってわかっちゃう。たまらんな。

 で、実際の話、ぜんぜん当日販売オッケーだったんだよね。11時の段階で全然余っていたモンね。これは良いのか悪いのか? はてさて。  このあと、買ったDreamcastを持って会社にGO! もちろん会社に着いたらテレビにGO! ソク設置、ソク接続。ワラワラとゾンビのように群がるWatch編集部員。まずは起動。スイッチをポチッとな。すると坂本龍一氏の起動音が鳴り響く。「オォ~」全員の口からため息にも似た歓声が上がる。おまえら自分で買ってから感動しろ! とは言わないで、次に「バーチャファイター3tb」をセットし、再起動。またまた起動音、そしてWindows CEのロゴが……出ませんな。マイクロソフトの人は以前「起動後にWindows CEのロゴが出ます」とおっしゃっていたのに。実はWindows CEじゃないのか? と疑ったりしたが、取扱説明書には「Windows CEはMicrosoftの登録商標」とか書いてある(そりゃそうだ)。
 続いて画面上には「ビジュアルメモリを入れてください」の文字が。う~ん、メモリがないと遊べないのか。親切なんだか、面倒くさいのか。とりあえず買ってて良かったビジュアルメモリ、セットオン。ここで、Watch編集部一のゲーセン野郎“清野”が一歩前に。
「わたくしにお任せください」
「うむ、くるしゅうない、良きに計らえ」
 ということでバトルスタート。いやぁ、ゲームセンターに並んでいる100万円のマシンと同じ映像が眼前に展開されている。美しい、この美しい画像がご家庭でナイキのシューズより安い価格で手にはいるとは(と、大川会長が言ってたっけ)。
「清野よ、使用感はどうじゃ」
「はっ、ゲーセンとほぼ同じでございます。ただ、このパッドでは少々やりにくいかと存じますが」
 そりゃそうだ。でもこのゲームパッド、デザインはともかく、けっこう軽くて手にフィットする感じ。見た目がでかいので重いんじゃなかろうかとか思っちゃうけど、そんなことはない。

 と、まぁ一通り遊んで満足げにしているとWatch編集部一の異能集団PC Watch編集部員がよってきて「船津さん、やっぱ分解するんですよねぇ」「なぬっ!」「当然ですよねぇ」「なぬっ、ゲーム機は分解するものではなくゲームを遊ぶもの……」とか言ってる側から古川の手により解体作業が始まっていた。あぁ俺様がまだ遊んでないのにぃ。そ、そんなのやめてぇ。すると古川が「大丈夫だと思いますよ、たぶん」何じゃその“たぶん”っちゅうのは? すると「あっ……」何じゃ、なにがあったんじゃ、目をそらすなぁ。きさまぁ、歯をくいしばれぇ。

[Reported by funatsu@impress.co.jp]


とりあえず? 分解しました

■■ 注意 ■■

・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
・この記事を読んで行なった行為(分解など)によって、生じた損害はPC Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・PC Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。

 ということで、好奇心には勝てずドライバを握りしめてしまった。ごめんなさい…、船津さん。でも、コンシューマ用機器、特にゲーム専用機などにはトルクスネジといった、特殊ネジが使われていることが多く、一般的なドライバが使えない。しかし、Dreamcast本体を裏返してみると、一般的なプラスネジが使われていて、逆に驚いた。自分の目で確認したいことはたくさんあり、ネジも一般的なもの。となっては、分解するしかない(当然、自己責任のもとで)。

 Dreamcastは、CPUに日立の「SH4」、グラフィックエンジンにNECの「Power VR2 DC」を搭載しており、心臓部分に他メーカーの製品のカスタムバージョンを採用してていることが特徴になっている。そのほかでも、ソフトが容量約1GBのGD-ROMで供給されるなど、新技術が投入されている。

 分解しての第一印象は「良くまとまっているな」だった。メイン基板、GD-ROM部、電源部などが、完全に独立したユニットになっており、無理なくケースに収まっている。今回分解した製品は、各ユニットのほとんどが数本のネジで固定されており、現在の日本製品としては違和感を感じる。おそらく、将来的にはコストダウンのため、はめ込み式になる可能性が高いだろう。

 メイン基板は、ほとんど全てのユニットを取り外さなければ見ることもできない。やっとたどり着くと、ヒートシンクが接着された2つのチップが目を引く。このヒートシンクから伸びたパイプは、ファンに接続されていいるほか、温度センサも取り付けられており、家庭用ゲーム機としてはかなり本格的な冷却システムになっている。また、大きい方には謎の「FURUKAWA」の文字が刻印されていることも気になる。

追記【11月30日】: 複数の読者の方から「FURUKAWA」は、ヒートパイプメーカーの「古河電工」のことではないかという情報が寄せられました。商品名は「ヒートキッカー」とのことです。情報をお寄せていただいた方々には、お礼申し上げます。


上部のカーバーを取り外したところ ファン メイン基板
本体の上部のカーバーを取り外したところ。一番上方にあるのがコントローラの接続ユニット。その下方の左側にGD-ROMドライブユニット、右側に電源ユニットがある。 コントローラの接続ユニットの脇には、冷却用のファンがしっかりと設置されている。 上にのっているユニットを全て取り外し、シールドカバーを外すとメイン基板が現われる。ここまでたどりつくのは、結構大変だ。

全体像 ユニットを全部分解するとこんな感じになる。各場所に転がっているネジは、それぞれのユニットに使われていたもの。

上段右からメイン基板のシールドカバー、電源ユニットの絶縁用プラスチック板、上部カバー、モデムユニット。

中段右から電源ユニット、下部カバー、コントローラパネル、GD-ROMドライブユニット。

下段はメイン基板とコントローラの接続ユニット。

チップ 温度センサー
メイン基板にはヒートシンクが取り付けられた大きなチップが2つある。このヒートシンクはファンとパイプでつながれて廃熱される。

いずれのチップもしっかりとヒートシンクが接着されているため確認できないが、大きさから左側がCPU(SH-4)、右側がビデオチップ(Power VR2 DC)と考えられる。

なぜかビデオチップのヒートシンクには“FURUKAWA”と彫り込まれている。

ビデオチップのヒートシンクから出ているパイプに、温度センサーらしきものがテープでとめられれている。

おそらくこれによって温度監視して、ファンのコントロールなどを行なっていると思われる。

モデムチップ シルク印刷
モデムユニットにはRockwellのチップが搭載されている。 モデムユニットの基板には“MODEMARU”とシルク印刷されている。コードネームと思われる。

メイン基板裏側 メイン基板裏側
メイン基板の裏面。初期ロットにもかかわらず、確認できたジャンパ線はわずかに1本だった。基板の完成度はかなり高い。

メイン基板 コントローラ接続部 電源ユニット
右の写真からメイン基板、コントローラ接続ユニット、電源ユニット。それぞれ、“KATANA MAIN”、“KATANA SUB”、“KATANA AC POWER UNIT”と印刷されており、Dreamcastのコードネームが“KATANA”であることが確認できる。

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


□Dreamcastのオフィシャルサイト
http://www.dricas.com/main/index2.html

('98年11月27日)


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp