COMDEX/Fall '98基調講演レポート4

　IntelのCraig R. Barrett社長兼CEOは、17日のCOMDEX/Fall '98基調講演で、隠れたジョークの才能を披露した。米ABC放送の人気TV番組「Politically Incorrect」をもじった「Technologycally Incorrect」ショーのパネリストとして登場した同氏は、気のきいたジョークで観客を笑わせた。毒舌のBill Maher氏が司会を務めるこの番組は、4人のパネリストを招いて話題の社会問題のタブーについて話し合う。Barrett氏の他、コンピュータ業界誌の編集者であるEsther Dyson氏、サイエンティストのBill Nye氏、コメディアンのPenn Jillette氏がパネリストとして登場し、「テクノロジー業界のタブー」に挑んだ。
　

●君たちが死に絶えるのを待っている

　討論のトピックは、PCの普及率、インターネットが社会に与える影響から法的規制や教育問題、またMicrosoftの訴訟問題にまで幅広くおよんだ。司会のMaher氏が、家庭でのPC普及率が伸び悩んでいることをトピックにあげると、Barrett氏は「PCの普及は、子供を持つ家庭に支えられている。我々は（年寄りの）君たちが死に絶えるのを待っているのだ」とジョークを放ち、会場を沸かせた。これに対してMaher氏「じゃあ僕は死ななければならないだろう」と応戦した。

　
●PCの役割はさらに重要に

　Maher氏はまた、Intelは半導体のトップメーカーとしての地位を確立しているが、将来Palm IIIや他の小型デバイス、またWebTVなどの情報家電の成長により、PCの必要性が薄れ、Intelは大規模な市場基盤を失うことになるのではないかとの意地の悪い質問をした。これに対してBarrett氏は「将来的にこれらのモバイルデバイスが普及することは確実だが、これらを統合するデバイスとして、またホームネットワークの中心プラットフォームとして、PCの役割はさらに重要度を増すだろう」と語った。

●「デジタルディバイド」は教育が解決する

　インターネットにアクセスできる層とできない層で社会的/経済的な格差が広がっているという「デジタルディバイド」問題に関しては、Barrett氏は教育の重要性をとくに強調した。同氏は、テクノロジーに関して誰でも平等にアクセスできる社会を構築することが必要であり、そのためには「まず学校の教育者がテクノロジーに関しての知識を高めることだ」と述べた。また、インターネットの発達により、人々の交流が少なくなるという問題に関しては、電子メールやその他のテクノロジーによりコミニュケーションは簡単になり、人々の交流は逆に活発になると語った。

●皆がBill Gatesのようになりたい？

　最後にBill Gates氏の訴訟問題がトピックにあがると、Dyson氏は「Gates氏は、一種のパーソナリティだ。皆がBill Gatesのようになりたいのだ」と述べた。Barrett氏は「Getes氏の基調講演は日曜日に終わっている」として、討論に消極的な姿勢を見せた。訴訟問題に関する直接的な意見は語らなかったものの、同社もFTCとの争いを抱える立場ゆえか「政府の介入は避けるべきだ」と強い調子で語った。

□COMDEX Fall'98のホームページ（英文）
http://www.comdex.com/comdex/owa/event_home?v_event_id=248
□関連URL
「Technologycally Incorrect」のホームページ（英文）
（RealVideoによる放映あり）
http://intel.broadcast.com/intel/comdex98/

('98年11月18日)

[Reported By Hiroko Nagano, NV]