プロカメラマン山田久美夫の

COMDEX/Fall '98 デジタルカメラレポート

COMDEX/Fall '98 COMDEX/Fall '98 会期:11月16日~11月20日
会場:Las Vegas Convention Center, Las Vegas Hilton,
    Sands Expo & Convention Center

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 今年も「COMDEX/Fall '98」が開幕した。今年も開催初日の朝から大賑わいで、入場するにも長蛇の列だ。

 毎年COMDEX/Fallでは、その冬のアメリカ市場向けデジタルカメラの新製品が一般にお披露目される。しかし、今年は各社とも発表や発売をやや前倒ししたうえ、日本国内での発表が先行していることもあって、主要メーカーはこのイベントでの発表はない。そのうえ、米国での出荷が始まっている新製品もあり、やや新鮮味に欠ける印象がある。

 まず、主要メーカーの新製品とブースの雰囲気をレポートしよう。


●オリンパス


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 この冬は米国でも、「D-620(C-1400XL)」「D-400ZOOM(C-900ZOOM)」といった新製品を続々発表し、シェア50%といわれるソニーの牙城を崩しつつあるオリンパス。

 ブースには、恒例の巨大なカメラのディスプレイが並び、その場での実写と昇華型プリンタでのプリントデモが行なわれていた。

 ここにきて、画質とコストのバランスが取れ始めたこともあって、デジタルカメラに関心のあるユーザーも以前より多く、細かな説明に熱心に聞き入ったり、質問責めにしている人もいた。

 また、ブース内のステージでいかにも米国らしい派手なパフォーマンスもあり、ブースは終始賑わいをみせていた。
オリンパスのブース 巨大なD-400 ZOOM
オリンパスのブース オリンパスのブース



●三洋電機

 三洋は今回、デジタルカメラ関係では、日本国内で既発表の「VPC-X350(DSC-X100)」と、同社初のメガピクセル機「VPC-Z400」(DSC-SX1Zのシルバーバージョン)を中心とした展開。もっとも、ブースの大半を液晶プロジェクターが占めているせいか、デジタルカメラを手に取って見ている人は意外に少なかったのが残念。

三洋電機のブース VPC-Z400 VPC-X350

 また、デバイス系の展示スペースもあり、CCDや各種処理チップなどがずらりと並べられていた。だが、先日大阪で開催されたエレクトロニクスショーで発表され、その後、フィリップスから供給を受けることが報道された2/3インチの200万画素CCDの現物はナシ。エレショーでは「COMDEX/Fall '98では現物を見せる」と聞いていただけに、大いに期待していたのだが。


●ミノルタ

Dimage EX Dimage RD3000
 ミノルタは、アメリカの主要イベントで初めて「Dimage EX」を出品。さらに、先のフォトキナで発表された270万画素のレンズ交換式デジタル一眼レフ「Dimage RD3000」もアクリル越しながら展示していた。

 Dimage EXはブースで自由に触れることができ、3倍ズームユニットはもちろん、年内発売といわれるワイド専用ユニットもすでに用意されていた。もっとも、人目を引くためか、米国人好みなのか、ケーブルによる延長撮影のデモが盛んに行なわれており、本機のコンセプトやシステム拡張性がきちんと理解されていないような印象を受けたのが残念だ。

 また、同ブースでは、同機が採用しているFlashPointのDigita OS関係者も積極的に同機をアピール。また、今回初公開という、Digita OS上で稼働する画像処理アプリケーションも見ることができた。

Dimage EX Dimage RD3000
 これはFlashPointが自社製品としてインターネット上で販売を計画しているもので、Digita OS搭載機にこのアプリケーションを読み込むことにより、カメラ内で画像調整や特殊効果フィルタ処理を行なうことができるもの。機能的には、トーン調整、明るさやコントラスト、色調調整、彩度調整など基本的な画像調整機能はすべて網羅しており、特殊効果フィルターもエンボスやモザイクなど主だったものが用意されている。これを使えば、パソコンを持っていなくても、簡単な画像処理がカメラ単体で楽しめるわけだ。

 気になる処理速度だが、デモを見る限り意外に速く、ほぼ5~10秒程度で済むため、さほどストレスを感じないレベルだった。調整関係を液晶モニタの表示に頼って行なうため、どの程度厳密な結果が期待できるのかはやや疑問ではあるが、方向性としてはなかなかユニークだ。なお、価格は1万円以下、発売時期は来春を予定しているという。


●ソニー

 昨年よりも、ブースを大幅に縮小し、場所もかなり奥まったところに移動していた。だが、米国で高い人気を誇る同社だけに、ブース内は歩くのが大変なほどの混雑ぶり。

 とくに今回はデジタルカメラをはじめとした映像系と、メモリースティックと正式発表されたHiFDが出品されており、内容的にもかなり楽しめるものだった。

ソニーのブース マビカプリンタ DSC-D700

 デジタルカメラ関係の中心は米国で圧倒的なシェアを誇るデジタルマビカ。今回は、フロッピーディスクから直接プリントできる「マビカプリンタ」が登場したこともあって、PC無しで撮ったその場でプリントするというデモが盛んに行なわれていた。今回のデモを見ると、ソニーにとってもデジタルカメラは、単なるPCの周辺機器ではなく、それ以上の広がりを備えた商品という位置づけなのがわかる。

 また、話題のDSC-D700(Cyber-shot PROのニックネームは日本国内のみ)も出品されており、デジタルマビカとは別のフューチャーとしてアピール。とくに、メモリースティック対応機が少ないことから、メモリースティックのデモで盛んに使われていた。

プロトタイプCyber-shot プロトタイプCyber-shot  さて、この写真を見て「いよいよメモリースティック搭載Cyber-shotの登場か!」と思われる人も多いだろうが、残念ながらこれはメモリースティックの将来性をアピールするためのプロトタイプ(なにしろ、このレイアウトではメモリースティックが液晶にかかってしまい、液晶が使えるわけがない!)。これ以外にもあらゆる分野のプロトタイプが出品されており、これだけ眺めていても十分に楽しめる。そのため、これらはまとめて明日以降にレポートすることにしよう。


●アグフア

 アグフアは、マイクロソフトブースに近い、なかなかいい場所にブースを構えており、賑わいを見せていた。メインは130万画素3倍ズーム機の「ePhoto1680」で、ブース上には同機の巨大なディスプレイが掲げられていた。

 また、本機を中心としたシステムについての提案がなされており、なかでも特殊アダプタによる360度のパノラマ撮影システムや、アダプタ経由によるPC用プリンタでのダイレクトプリントなどのデモも行なわれており人気を博していた。

アグフアのブース アグフアのブース
アグフアのブース アグフアのブース



●その他

MX-700 MX-700
 富士写真フイルムは今回、「PC MAGAZINE」の'98年EDITORS' CHOICEに選ばれた「MX-700」を全面にアピール。そろそろ米国で発売されてから半年を過ぎようとしているが、今でも高い人気を維持しているようだ。また、ブースには受賞記事も展示されていたが、紙面掲載時にはストリートプライスが799ドルだったものを、わざわざマジックで現在の実販価格である599ドルに訂正してあるところも面白かった。
QV-7000SX  カシオはQV-7000SXを中心とした出展。画質が良く、機能が豊富で楽しめるモデルだが、人気が今一つ盛り上がらないのが残念。ブース展開も、カシオペアFIVAなどのPC系を前面にアピールしており、QVシリーズはブースの奥まったところに追いやられつつある。


CP-700Z  エプソンはプリンタ中心の展開ながらも、新製品の「CP-700Z」を早くも持ち込み、ブース前面でのデモを繰り広げていた。もっとも、最近では各社とも力を入れているダイレクトプリント分野向けの「プリントン」は出品されておらず、アメリカでの販売予定はないという。



□COMDEX Fall '98のホームページ(英文)
http://www.comdex.com/comdex/owa/event_home?v_event_id=248

('98年11月17日)

[Reported by山田久美夫]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp