プロカメラマン山田久美夫の

エレクトロニクスショー '98 レポート AV編


会場
会期:10月6日~10月10日

会場:インテックス大阪

出展社数:462社(1,807小間)




●ソニー:勢揃いしたデジタルカメラとIEEE 1394ベースの動画編集システム

 このところ次々に魅力的な新製品を投入しているソニー。家庭向け機器エリアの同社ブースでは、「Cyber-shot PRO」「MVC-FD91」「TRV-900」といったこの秋の新製品が勢揃い。しかも、ブースでは本場のバイオリン職人や演奏家を呼んでの製作実演や演奏まで楽しめ、それを撮影しながらのデモなど、なかなか凝った演出を行なっていた。
【Cyber-shot PRO】
【MVC-FD91】
【TRV-900の分解モデル】


【MPEG画像】
本物の演奏家を呼んだ
デモも行なわれていた
 
メモリースティックも
アピール

【編集部注】MPEG画像を再生する場合は、画像をクリックしてください。あらかじめMPEG再生環境がインストールされている必要があります。

 また、DV系の出展も多く、IEEE 1394対応のDVデッキやVAIOを使った動画編集システムを積極的にアピール。なかでも、IEEE 1394端子付きでデジタルtoデジタルでの動画編集ができるDV(miniDVではない)テープとS-VHSのダブルデッキを使った簡易編集システムなどに人気が集まっていた。
 このほか、平面ブラウン管採用のテレビ「WEGA」シリーズでは、テレビ内部で走査線情報を補完し、水平・垂直方向ともに従来の2倍の疑似解像度を実現することで、画面のちらつきをなくした「DRC(デジタル・リアリティー・クリエーション)機能」を搭載した新シリーズを発表。すべての走査線画像での表示を可能にするプログレッシブ画像ならではの高画質ぶりをアピールしていた。

【DVとS-VHSのダブルデッキ】
DRC機能を搭載した
WEGAシリーズ


●松下:ホームサーバーシステムとプログレッシブDVDデッキ

 松下は今回、各方面でユニークなチャレンジを展開。なかでも、14GBクラスの大容量HDDドライブを使った動画編集システムはなかなかユニーク。これはDVで撮影したデジタル映像を、一度HDD上にコピーして編集するもので、HDDを利用することでテープメディアでは難しい、高速なランダムアクセスや微妙な編集作業を軽快にこなそうというアプローチだ。14GBクラスのHDDがあれば、2時間程度のデジタル動画をそのままコピーすることができるため、従来のテープベースの編集機器よりも作業効率がアップするという。

【大容量HDDを使った画像編集システム】

 また、家電への応用例として、HDD上に一週間分の見たい番組を記録しておき、即座に呼び出して楽しむといった使い方も提案されていた。DVDといえども、容量的には片面でたかだか2.6GB程度しかなく、むしろ大容量で安価で、高速アクセスができるHDDをベースにした機器の方がより現実的。そのため、近い将来はテレビ番組を一度内蔵HDDに保存し、そのなかから必要な部分だけをあとからDVD-RAMで保存するといった方法が一般化する可能性もあり、今後の展開が注目される。

【プログレッシブDVDを展示】
 また、同社もソニー同様、テレビ再生の高画質化の手段として「プログレッシブDVDデッキ」を出品。こちらは技術展示のみだった。
 このほか、同社のデバイスブースでは、パーソナル向け機器ではほとんどお目にかかれない「スモールPCカード」も出展されていた。これはCFカードより若干長さ方向があるPCカードで、こちらはフラッシュメモリーだけでなく、SRAMやマスクROMにも対応しているのが大きな特徴。現在は64MBのATA互換カードまで製品化されており、80MBタイプも開発中という。
 また、64MBのCFカードや320MBのPCMCIA Type2カードなども出展されており、後者は来年には640MB、近い将来は1GBクラスのものも予定しているという。

【スモールPCカード】
【64MのCFカードを開発中】
【320MBのATAカード】


●アルプス:カメラ内蔵可能な超小型プリンターユニット

 小型精密ユニットを得意とするアルプス電気は今回、デジタルカメラにも内蔵可能なバッテリー駆動式の超小型フォトラベルプリンタを出品。プリント方式は昇華型で、解像度は288dpi。プリントサイズは25×44mmの標準サイズと25×72mmのパノラマサイズの2種類があり、いわゆるプリクラシール1枚分のサイズのプリントが可能だ。もちろん、ユニット自体もなかなかコンパクトに仕上がっている。
 実機はどことなくオリンパスのC-800Lに似たデザインだが、さすがにサイズは結構大柄。これだけボディが大きくなっても、プリクラシール大のプリントしかできないため、あまり実用的とはいえないが、アイデア次第では面白いアイテムになりそうな可能性を秘めた注目ユニットといえる。
【プリント可能な実機】
【プリクラサイズの写真】
【プリンタユニット】
【プリントサンプル】

□エレクトロニクスショー'98のホームページ
http://www.jesa.or.jp/jes98/top/top_j.html
□関連記事
エレクトロニクスショー '98 レポート インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981008/ele_i.htm

('98年10月13日)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp