会期:9月30日~10月3日
出展社数:646社(2,649小間)
今回のWORLD PC EXPOでは、デジタルカメラに関連した、さまざまな周辺環境の充実も大きな見所となった。そこで第二弾では、デジタルカメラ関連機器、なかでも記録媒体系についてレポートしよう。
【会場風景】 |
【QV-7000SX】 |
【IrDA対応プリンター】 |
今回のカシオブースの主役は「CASSIOPEIA FIVA」だったが、QV系のアピールにも力を注いでおり、基本性能を充実させた実力派モデル「QV-7000SX」と、同時発表となったIrDA(IrTran-P)対応プリンタを組み合わせてのデモを積極的に行なっていた。
同社初のズーム機である132万画素モデル「QV-7000SX」は今回のイベントが国内初登場。本機は従来のQVシリーズの弱点だった画質や測光、記録媒体といった基本部分を根本から改良した新鋭機であり、しかも最近のQVが備えている簡易動画やパノラマ再生、各種エフェクトといった楽しめる機能まで満載した、QVの完成形ともいえる意欲作だ。
さらに、今回のIrDA対応プリンタを使えば、カメラをプリンタのうえにセットするだけで、IrDA転送によるコードレスでのプリントができる。操作も簡単で、カメラの液晶でコマを選んで、プリントボタンを押すだけでOK。そのため、ブースの説明員もあまり説明することがなく、やや手持ちぶさたな感じすらあった。
IrDA(IrTran-P)も、登場した当初はいろいろな展開が提案されたが、具体的な製品やサービスで活用されているケースは意外なほど少ないのが現状。そんな中で、コードレス通信を簡単さという側面から活用したカシオのシステムは、なかなか説得力のある活用法に感じられた。
もっとも、同じモバイル系ツールである「CASSIOPEIA FIVA」などとQVデジタルが、まったく別々に展示されており、連携させた使い方が提案されていなかったのは、とても残念だった。
●コニカ:デジタル現場監督とインターネットフォトサービスをアピール
コニカは今回、デジタルカメラ系での目立った新製品はなく、異色の全天候型デジタルカメラ「デジタル現場監督DG-1」を並べてのアピールだったが、インパクトは今ひとつ。
また、同社のインターネット上でのデジタルフォトサービスである「ピクチャーボックス」のデモも行なわれていた。これはWeb上に写真をアップロードし、コメントとともに閲覧できるシステム。だが、普通のホームページと違い、アクセスには各ページ専用のIDが必要。また、その画像データからプリントをコニカに依頼することもできる。ブースではアンケートに答えると60日間有効のIDを獲得できるサービスも行われていた。
コダックブースも目立った新製品はなく、目新しいものといっても、先だって発表されたDC210、DC200用の水中ハウジングだけという状態。また、ブースではDC260が採用したDigitaというデジタルカメラ用OSのデモが定期的に行なわれていた。今回はDigita上で動くゲームアプリやスクリプトなどが紹介されていたが、いずれも配布や販売の予定は未定であり、その可能性をアピールする程度に留まっていた。
メモリメーカーとして有名なハギワラシスコムは、NINTENDO64上で、スマートメディアの画像データを楽しめる「マリオのふぉとぴー」を発表。
これはカートリッジ部分にスマートメディア用スロットが2つあり、デジタルカメラで撮影した画像データをスマートメディア経由で取り込んで、テレビ画面を見ながら、画像の合成や文字入れ、アルバム作成などができるソフトだ。デモを見る限り、操作も比較的簡単で、通常のゲームパットだけでデジタル画像を楽しめる。もちろん、単純にスマートメディアの画像をテレビでみるためのビューワーとしても機能するが、撮影した画像とスーパーマリオなど人気キャラクターを合成して楽しめる点が一番のウリといえる。
ただし、作成したデータは独自形式で、そのまま普通のPCなどでプリントすることはできず、プリントは同社やライセンスを獲得しているプリント業者に依頼することになる。これはスーパーマリオなどキャラクターの著作権の関係という。だが、子どもたちが自分で作った画像を、カンタンにプリントできないのでは、魅力半減。少なくともキャラクターが関係しないレイヤーだけでも、統合してJPEGなど一般形式で保存できる機能が欲しいところだ。
IBMは実に様々なハードやソフトを出展していたが、注目はCF Type2規格のHDDドライブである「microdrive」。今回はとくにデジタルカメラとの連携をアピールしていたわけではないが、期せずして同じHDD系メディアである「Clik!」の国内発表と同じイベントで一般初公開となっただけに、今後の展開に興味がわくところだ。
●iomega:来年発売のClik!に人気が集中
同社は今回、40MBのHDD型リムーバブルメディアである「Clik!」を国内イベントで初めて出品した。しかも、付属アダプタを装着することで、ドライブ単体で、CFカードやスマートメディアからClik!へのコピー機能を備えており、デジタルカメラユーザーにとってもなかなか魅力的な製品となっている。
この「Clik!」は米国では11月から発売され、日本国内でも'99年1月か2月には発売されるという。国内発売されるのはドライブ本体、充電式バッテリー、PC接続用キット(PCカード、パラレル転送両用)、メモリカード用アダプタまでのフルセットで、価格は4万円以下。メディアの価格は1,600~1,700円程度になるという。
【Clik!付属アダプタ】 | 【CF用アダプタ】 | 【PCカード接続用キット】 |
●SanDisk:MMCカードや280MBのPCカードを公開
今年春に自社ブランドでの国内市場参入を果たしたSanDisk。今回は、同社の超薄型メモリーカードである「MMC」を日本国内の大型イベントで初めて出品。まだ、国内ではこのカードを使ったハードウエアはあまり登場していないが、スマートメディアの対抗馬として今後の展開が注目される。
また、CFカードでは60MBカード、PCMCIA Type2では280MBという大容量カードも展示されていた。
【8MB MMC】 | 【230MB ATAカード】 | 【60MB CFカード】 |
●アイ・オー・データ:PCカードからダイレクトにMO記録できるドライブを出品
アイ・オー・データは、640MBのMOドライブとPCMCIA Type2カードアダプタを一体化した新型ドライブを出品。これは以前のレポートで紹介したオリンパスのカードリーダつきMOドライブと違い、PCカードドライブ部はリード、ライト両方に対応しており、通常のカードドライブとして利用できる。さらに、本ドライブ単体でもPCカードからMOへのコピー、各メディアのフォーマットといった機能を備えており、PC上でコピー操作をしなくても使える点が大きな特徴。コピー機能では、カードごとにMOメディア内にディレクトリが自動的に作成されるので、フォルダ名などが重なってオーバーライトしてしまうこともない。なお、インターフェースはSCSI-2を採用している。
もっとも、今回出品されたものは、単体で作動するといってもAC電源が必要なので、持ち歩いて屋外で使用することはできないが、将来的にはバッテリ駆動できるものも考えているという。
NTTドコモは携帯通信の新規格であるW-CDMAをアピール。この規格では通信速度が大幅に向上することもあって、メインの展示は画像通信系だった。今回は、今春ドイツのCeBITでも出品されたデジタルカメラ内蔵携帯電話はもちろん、ザウルスベースでのモバイルコミニュケーター、Librettoを使ってのMPEG4でのビデオホンなども出品されていた。今後、デジタルカメラを始めとしたデジタル映像は通信と密接に関わり合いながら発展してゆくことが予想されるわけだが、それを明確に打ち出した出展として、大いに注目される。
【会場風景】 | 【ザウルスベースのモバイルコミュニケーター】 | 【リブレット利用のビデオホン】 |
□WORLD PC EXPO98ホームページ
http://wpc98.nikkeibp.co.jp/
□関連記事
デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm
('98年10月6日)
[Reported by 山田久美夫]