山田久美夫のエレクトロニクスショー '98レポート

ついに姿を見せたオーバー200万画素CCD


会期:10月6日~10月10日
会場:インテックス大阪


 「エレクトロニクスショー '98」が、大阪・インテックス大阪で6日から10日まで開催されている。このイベントは、製品として販売されるモデルよりも、むしろ各種デバイス系の出展が多く、'99年の技術的な展望を占う上で、大きな指標となる注目すべきイベントといえる。



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 初日は、午前中のプレス取材向けのプレミアムタイムから盛況で、午後になり招待者の入場が始まるころには、会場内を歩くのがやっとという混雑ぶりだった。

 今年の展示目玉は、'99年のパーソナル系ハイエンド・デジタルカメラで主流になると目されるオーバー200万画素クラスCCDだ。各社がいっせいに正式発表したことで、いよいよこの世界も現実のものになってきた。ここでは、この話題に絞ってレポートする。

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●ソニー:有効202万画素1/2インチCCDを一般公開


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 ソニーは他社に先駆けて8月に発表した、1/2インチで有効画素数202万画素(総画素数211万)のCCD「ICX224シリーズ」を国内の一般向けイベントで初公開。このユニットは、原色系、補色系の両方タイプが用意されているもの。サイズは1/2インチで、有効画素数は202万画素(1,636×1,236ピクセル)で、縦横比はPCのディスプレイと同じ4:3を採用している。1画素あたりのサイズは3.9ミクロンと小さい、カラーフィルタの集光レンズの効率アップなどにより、高い感度を得ているが、現行の1/2インチ150万画素タイプより感度が低くなっているという。

 また、高速ドラフトモードと呼ばれる読み出し方式を採用することで、秒間30フレームの高速読み出しを実現しており、AFやAEも軽快に作動するという。

 同ブースにはすでに実写サンプル(プリント)も展示されており、画質は十分に良好。量産は'99年3月を予定しているが、他社の動向もあって前倒しになる可能性もあるという。

有効画素数202万画素CCD
「ICX224シリーズ」


●松下電器産業:231万画素1/2インチCCDを出品

 松下は、現時点でパーソナル向けCCDでは最多となる231万画素CCDを発表。こちらも1/2インチタイプで、カラーフィルタは現時点では原色系のみ。読み出し方式はインターレース式を採用している。こちらもすでに実写可能なレベルであり、年内から年明けにサンプル出荷、量産は3月頃になりそう。

 このCCDは縦横比が2:3と、35mmフィルムと同じ比率になっている点も大きな特徴で、この比率にこだわりのあるカメラメーカー、フィルムメーカーを意識したものといえる。
 有効画素数は216万画素(1,800×1,200ピクセル)と、ソニーやシャープよりもやや大きめになっている。また、モニター表示用の1/5の間引き読み出しモードを採用しており、ファインダー出力やAE、AF時の使い勝手も十分に考慮したものとなっている。

□ニュースリリース
http://www.mec.panasonic.co.jp/news/news025.html

有効画素数231万画素CCD


●シャープ:214万画素1/2インチCCDは現物ナシ!

 シャープは本イベントの直前に、1/2インチの214万画素CCDを発表。だが、ブースには現物も、きちんとした資料もなく、説明用パネルの一部に簡単なスペックが掲載されている程度。それを要約すると、カラーフィルタは、原色系(LZ21N3V)と補色(LZ21N3)の2タイプが用意されており、読み出し方式はインターライン式。
 1ピクセルあたりの画素サイズは3.95ミクロンと小さいが、感度は現行の1/3インチ131万画素タイプに比べて、約1.5倍も向上しているという。そのため、高画素・高密度化で懸念される、実効感度の低下もそれほど多くないようだ。

 サンプル出荷は'98年10月から、量産は'99年1月を予定しており、サンプル価格は2万円。現時点でのアナウンスでは、このCCDが200万画素クラスでは一番乗りになる可能性が高く、その実力が期待される。

□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/news/981002.htm

1/2インチ214万画素CCD


●三洋電機:200万画素CCDを計画中。超期待の反射式低温ポリシリコンTFTも必見!

 三洋電機のデバイス系分野のブースでは、デジタルカメラを中心とした各種デバイスと、液晶パネルがメイン。

 なかでも注目は、三洋自社開発の2/3インチ200万画素CCD。これは他社が1/2インチサイズであるのに対して、CCDサイズがワンサイズ大きいのが最大の特徴。当然、1画素あたりのサイズも5.1ミクロンと大きく、感度的にも、画質的にも有利だ。カラーフィルタは原色系で、読み出しはプログレッシブ方式を採用しているという。

 といっても、まだ開発中であり、現物はないが、来月のCOMDEX/FALLには出品できる可能性があるという。サンプル出荷時期は'99年の第一四半期。量産は第三四半期を予定している。やや登場時期は遅めだが、画質や感度面で有利な2/3インチタイプだけに、その実力が大いに期待される。

2/3インチ200万画素CCD

「反射式低温ポリシリコンTFT」

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 さらに同社は、人気の低温ポリシリコンTFTをベースにした「反射式低温ポリシリコンTFT」を参考出品。今回は多くのメーカーが反射式カラー液晶を出品していたが、ざっと見た限りでは、この液晶パネルがダントツにきれい。なにしろ、周囲の照明が明るいときの画像の鮮やかさも魅力だが、照明が暗くなったときでも、まるでバックライトがついているのかと思うほど、きれいで視認性の良さにビックリ。反射式液晶もここまでくれば実用十分なレベルといえる。
 もっとも、この魅力的なデバイスも、すぐに登場するわけではなく、サンプル出荷は'99年に入ってからになり、量産は'99年の中頃になるという。そのため、実際に製品に組み込まれて登場するのは、約1年先になりそうだ。


●フィリップス:35mmサイズ600万画素を出品。巨大実写パネルも!

 フィリップスは今回も、35mmサイズの600万画素CCDを出品。さすがに、このサイズになると大迫力で、見ているだけで惚れ惚れする。しかも、今回はこのCCDを使って撮影された実写画像も出展されている。CCDと一緒に展示されているプリントはA4版程度だが、実は巨大なプリントも用意されている。残念ながら、ブースの関係で展示できなかったそうだが、係員にいえば、その巨大なプリントを見せてくれるという。興味のある人は、これを見に会場に足を運んでもいいのではと思えるほど。

 写真でわかるように、このサイズにプリントしても、十分に耐えるだけのポテンシャルを秘めており、画質的には文句ないレベル。このようなCCDが将来はパーソナル機のハイエンドクラスに搭載される可能性もあるわけだが、その時期はたぶん2000年以降になりそうだ。

35mm600万画素CCD

巨大なサンプル画像
サンプル画像の目の周辺部


●東芝:157万画素1/2インチCCDを出品

 ここ数年、CMOSに熱心だった東芝だが、今回はすでに発売の1/2インチ157万画素CCDなどを出品した程度で、以前、技術展に出品された高画素のCMOSモジュールは登場しなかった。


□エレクトロニクスショー'98のホームページ
http://www.jesa.or.jp/jes98/top/top_j.html
□関連記事
デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

('98年10月6日)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp