IBM、コンパクトフラッシュType2に対応した超小型HDD

microdrive '99年中盤 出荷予定


 日本アイ・ビー・エム株式会社は10日、米IBMが9日(現地時間)に発表したコンパクトフラッシュ Type2規格の小型HDD「microdrive(マイクロドライブ)」の発表会を開催した。発表されたのは、容量340MBと容量170MBの2製品で、'99年半ばに量産出荷を開始する。価格に関しては、「今後の反応を見て決定するが、同容量のコンパクトフラッシュなどよりは大幅に安くなる」という。

キヤノン デジタルカメラ
【キヤノン PowerShot Pro70】
 デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、PDAなどの携帯情報機器向けの製品で、対応機器ではコンパクトフラッシュカードと同等に使用できる。また、PCカードアダプタを使ったPCカード経由での使用や、一般的なIDE接続HDDとしての使用も可能。発表会場では、対応機器の例としてキヤノン PowerShot Pro70が展示されていたほか、実際にWindows 95をインストールしたHDDを使っての動作デモも行なわれていた。なお、このmicrodriveの評価作業は現在、キヤノン、ヒューレットパッカード、日立、ミノルタで行なわれており、IBMも含めて将来の製品で対応する可能性があるという。

 フラッシュメモリに対する利点としては、容量面でのコストパフォーマンスのほか、「一般的なフラッシュメモリより高速で、メディアレベルでは32~49Mbit/秒での読み書きができる」という速度面でのパフォーマンスの良さも挙げられている。また、携帯用途向けHDDで問題となる耐衝撃性については、「2.5インチHDDの数倍程度の耐衝撃性を持つ見込み」という。消費電力に関しては、「現段階の試作品でもコンパクトフラッシュ Type2の規格範囲内になっているが、発売までにさらに改善する」としている。

 今後は、製品の大容量化などを検討しており「記録密度(現在3.0Gbit/平方インチ以上)の向上により、1年半で容量が2倍となるペースでの大容量化ができるだろう」という。

 2インチ以下の小型HDDを開発するメーカーはこれまでもあったが、いずれも広く普及するにはいたっていない。これらの失敗に関して日本IBMでは「サイズが2.5インチHDDに近く、新たな用途を生み出せなかった上、独自のフォームファクタを採用していたため普及しづらかった」と分析している。これに対し、microdriveでは「デジタルカメラや携帯端末などの使用用途が整いつつある上、コンパクトフラッシュ Type2を採用したことで広範な利用が見込める」とし、さらに「カーナビゲーションシステムや携帯電話にも使用されるようになれば、現在のHDDとは比較にならないほどに普及することもありえる」という。このほか、Iomegaが提唱している容量40MBの小型ディスクメディア「clik!」について「容量などが異なるため、直接の競争相手にはならない」との考えを示した。

 この製品は16日から幕張で開催される「IBM総合フェア'98」や同じく16日からドイツで行なわれる「Photokina」などで展示される。

【主な仕様】

□日本IBMのホームページ
(9月10日現在、この製品のニュースは掲載されていない)
http://www.ibm.co.jp/
□米IBMのホームページ(英文)
http://www.ibm.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.ibm.com/News/1998/09/09.phtml
□製品情報(英文)
http://www.storage.ibm.com/hardsoft/diskdrdl/micro/

('98年9月10日)

[Reported by suzuki-k@impress.co.jp]


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