【イベント】 |
開催地:台湾・台北市
主催:台北市コンピュータ同業協会
会期:6月2日~6日(現地時間)
台湾最大のコンピュータトレードショウ「COMPUTEX TAIPEI '98」が現地時間の2日に開幕した。会期は6日までの5日間。世界のパソコン生産拠点とも言われている台湾の各メーカーが最新製品を多数出品するCOMPUTEX TAIPEIは、PCの今後を占う意味でも重要なイベント。PC Watchでは、会場の模様なども含め、今年も現地からのリアルタイムレポートをお送りする。
●会場は今年も雑多、小さなブースが数多く並ぶ
もともとCOMPUTEX TAIPEIは「商交渉のためのイベント」という色あいが濃いため、「一般向けプレゼンテーション」が主な目的の日本のイベントとは様子が異なっている。そのため、会場では派手な展示はなく、各々のメーカーブースもずっと小振りだ。会場はそうした小振りなブースがひたすら続くという構造で、すべてを見るにはかなりの労力を要する。
今年のCOMPUTEX TAIPEI '98では、ざっと見ると、それほど新味のある展示はない。その反面、「イベント自体を盛り上げよう」とする動きが目立ち、主催者自らもキャンペーンガールを繰り出してのアピールを行っているほど。また、昨年までは「商売にならない」取材陣には邪険になりがちだった出展社側も、今年はやや印象が異なり、「どうぞ取材してください」と片言の日本語で話し掛けられることもあったほど。
今回、もっとも注目されるのがVIA Technologies(VIA)、Acer Laboratories (ALi)、Silicon Integrated Systems(SiS)といったチップセットメーカーによるPentium II用Slot 1対応チップセットの出品。Pentium II用のチップセットは、現在Intelの独占市場となっており、価格面や性能面で競争者となりうるIntel以外からのチップセットの登場が待たれていた。
これに対し、ALiのAladdin ProチップセットやSiSのSiS5600/5601チップセットを採用したマザーボードは出品が少ない。チップセットメーカー自身による展示を除くと、確認できた範囲では、展示されていたのはSUPERPOWER COMPUTERのAladdin Pro搭載マザーボード「SP-A1621A」と、RISE Computer(RISE)のSiS5600搭載マザーボード(名称未定)、同じくSiS5601搭載マザーボード(同)の3製品だけ。出荷時期はSP-A1621Aが7~8月頃、RISEの2製品が7月末頃とのことだが、いずれも「メーカーからのチップセット出荷が予定通り始まれば」との注釈付き。VIA、SiS、ALiともに「チップセットの出荷がいつから出来るか」が焦点になっているようだ。
なお、Aladdin Proに関しては、ALiのブースで数種類の採用製品が展示されていた。ただし、その展示は「マザーボードと型番のみ」の公開で、メーカー名は一切伏せるという異例のもの。これは、Intelや競合他社からの圧力などから「マザーボードメーカーを保護するため」だ、とALiでは説明している。
このAladdin Proは、当初「Aladdin Pro II」として発表されたチップセットだが、説明員によれば「当初“II”をつけたのは、Pentium II用ということを明確に表現したかっただけ」とのことで、どちらも同じ製品を指しているとのこと。現在は「Aladdin Pro」と呼ぶのが通例で、ブースのポスターもAladdin Proの名称で統一されていた。
●Cyrixの低価格PC向けMediaGXmが健闘
●「非Intel製」Pentium II用チップセット採用のマザーボードが多数出品
会場では、既に採用マザーボードの展示が始まっており、特にVIAのApollo Proチップセットを採用したマザーボードは複数のブースで展示を見ることができた。EPoX Computer(EPoX)、First International Computer(FIC)、FULL YES INDUSTRIAL(FYI)、SUPERPOWER COMPUTER、Universal Scientific Industrial(USI)といったメーカーでは、いずれも「基本的な設計は既に終了し、チップセットの量産出荷さえ始まれば、ほどなく製品を出荷できる」と口を揃える。また、SUPERPOWER COMPUTERでは製品の価格について「(440BXより格下の)Intel 440LXチップセット搭載マザーボードと同程度にしたい」と話しており、対抗となるIntel 440BXチップセットを搭載したマザーボードに対し、価格面で攻勢をかける考えだ。
今回確認した限りで製品の展示があったメーカーは、AVT Industrial、DATA EXPERT、ELITEGROUP COMPUTER SYSTEM(ECS)、GLOBAL Circuit Technology(GCT)、LuckyStar、MicroStar(MSI)、PROCOMPの7社。製品タイプもこれまでのBabyATフォームファクタの小型モデルだけではなく、拡張性を考慮してPCIスロットを4本搭載したタイプや、ATXフォームファクタを採用したタイプ、さらにはMediaGXmの内蔵ビデオ機能とは別にビデオチップとビデオメモリを搭載し、「他のMediaGXm対応マザーボードよりも高い性能を実現する」という高性能タイプまで揃っている。
7社といっても、無数にある台湾マザーボードメーカーの中では「たった7社」ともいえるわけで、今のところ「大きな流れ」とは言い難いが、これまでにない動きとして注目される。
●IDTはWinChip 2とWinChip 2 3Dをデモ
IDTでは、バスクロック100MHzに対応したSocket 7用新CPU「WinChip 2」及び「WinChip 2 3D」を搭載したマシンをデモしていた。
WinChip 2が240MHz版(60MHz×4)、WinChip 2 3Dが225MHz版(75MHz×3)で動作しており、確認した時点ではバスクロック100MHzでの動作は行われていなかった。なお、どういうわけかCPU単体での展示はなかった。
IDTでは、その理由を「表面はたいして変わらないので面白味に欠ける」からと説明した。
□COMPUTEX TAIPEI '98のホームページ
http://www.computextaipei.org/
('98/6/3)
[Reported by suzuki-k@impress.co.jp]