【業界動向】 |
米Apple社はWWDC(Worldwide Developers Conference)初日にあたる11日(現地時間)、OSの戦略発表を行ない、'99年秋にはPower PC G3向けの新OS、「Mac OS X (ten)」を発売すると発表した。
Appleの今後のOSロードマップとしては、年内にMac OSの次バージョン「Mac OS 8.5(コード名:Allegro)」と、サーバー用として位置づけられた「Rhapsody」を出荷。'99年秋にはMac OS Xを出荷する。
Mac OS Xでは、これまでずっとMacのOS戦略において課題だったメモリのプロテクト、プリエンプティブなマルチタスク、マルチスレッドなどの機能を実現。また、Mac OS Xは、PowerPC G3に最適化したOSとなる。年内にリリースされるRhapsodyでは、マイクロカーネルの採用や、さらに進んだソフト開発環境を提供するなど、Mac OS Xのキーテクノロジーが盛り込まれるという。
Appleの発表によれば、Mac OS XはMacintosh API(Application Programming Interface)群のサブセットをベースとしたものとなるため、これまでのMac用ソフトは数週間の作業でMac OS X用にチューンナップ可能という。さらに、Mac OS Xへのスムーズな移行をデベロッパーとユーザー双方に保証するため、先述のチューンナップなしの従来のアプリケーションがそのままMac OS Xで動くようにしたい、と述べている。
AppleのOS戦略は、これまで二転三転してきた。これで決まりかと思われたRhapsodyの戦略も、Mac OSからRhapsodyへのソフトランディングを目指す当初の方針から、Rhapsodyでは従来のアプリケーションの互換性が保てないなどの問題から、Rhapsodyはサーバー用、Mac OSはMac OSで進化していくと発表されるなどの変更があった。プリエンプティブマルチタスクやメモリのプロテクトなどは、何年にもわたって実現への道を探ってきており、すでにお馴染みの古い話題と言ってもよい。
肝心なのは、約束どおりのスケジュールと仕様で製品が実際に発売されるかどうかで、今後のAppleの動向が注目されるところだ。
□米Appleのホームページ
http://www.apple.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/1998/may/11strategy.html
('98/5/12)
[Reported by hiroe@impress.co.jp]