【業界動向】 |
【主に活動していた場所】 |
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は28日、警視庁生活経済課と万世橋署が同日、東京・秋葉原の路上で海賊版ソフトを販売していた中国籍の会社員ら5人を逮捕したと発表した。この「露店商」らは、千代田区外神田3丁目付近の路上でAdobe Illustratorなど高価な人気ソフトの海賊版が多数収められたCD-Rメディアを1万円前後で販売していたもので、容疑は著作権法違反。告訴会社はAdobe Systems Incorporated(アドビシステムズ株式会社)。以前から捜査機関による排除や任意取り調べを再三受けていながら販売を続けていたという。
ACCSでは昨年夏頃から会員会社や一般からの情報提供を受け、独自に録音やビデオ撮影で記録をとるなどして調査を開始、今年1月にも万世橋署と協力して一斉排除の実施に協力していた。ACCSは独自の調査で関係者十数人を特定しているが、今回は現場で販売を取りしきっていた5人が逮捕された。
この露店商らは、秋葉原でほぼ毎日のように現れ、週末ともなると数人単位のグループがそれぞれ複数の場所で活動していた。販売方法は独特で、路上にダンボール箱など簡易な台を設置して海賊版ソフトの収録リストを置いたり、人が立って海賊版リストを胸の位置で開くなどして目を引き、その場で注文をとっていた。商品の受け渡しはその場で行われず、携帯電話で別のメンバーと連絡を取ってから別の場所に客を誘導し、金銭と商品を引き換えていた。こうした方法は、現行犯逮捕をまぬがれるためにとられた方法とみられる。
大阪・日本橋の電気街でも同様のグループが活動しているという指摘もあり、ACCSでは海賊版製造の元締めがいるものとみて、今後も警察と協力していく考え。ACCSは今回の摘発が「知的財産の適切な保護について積極的に取り組む日本の姿勢を広く内外にアピールするものである」としている。
編集部が確認しているところでは、露店商らは昨年4月頃から活発に活動をはじめており、秋葉原ではすでに有名な存在。その違法性もすぐに周囲から指摘されていた。露店商の摘発までにこれほど長い時間がかかったことに関しては、「マンパワー不足などが原因」とACCSでは話している。
('98/4/28)
[Reported by fumitake@impress.co.jp]