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今年で2回目を迎える「COMDEX/Japan」。さすがにアメリカのCOMDEXを見慣れていると、スケールとその充実度という点では、本家には遠く及ばない。
会場には、いかにも新入社員という感じの来場者が団体で行動しているシーンも見られ、商談中心の巨大なビジネスショーである本来のCOMDEXのイメージとはだいぶ異なる雰囲気のイベントとなっていた。
内容的にも低調。とくに、デジタルイメージング系の展示が意外なほど少なく、このところ立て続けに発表されたニューモデルの姿を見ることはほとんどできないのが実に残念だった。しかし、数こそ少ないものの、詳細に見てゆくと、見応えのあるモノもあった。
●フィリップス:35mmフィルムサイズの600万画素CCD
このCCDは実画面のサイズが24×36mm。つまり、ポピュラーな35mm版フィルムと同じサイズを実現したもの。画素数は600万画素で、ピクセル数では2000×3000ピクセルという巨大な画像が撮影できる、原色タイプの正方画素型エリアCCDだ。
写真で比べると、そのサイズの違いは一目瞭然。画面下に小さく見えているのは、現在ポピュラーな1/3インチと1/4インチタイプなのだから、その巨大さには愕然としてしまうほど。実は私自身、そのCCDを見ながら、うっとりとしてしまったほど、得も言われぬ魅力さえ感じさせるデバイスだった。
気になる価格だが、サンプル価格で30万円前後。実際にこれが製品に組み込まれ、量産されれば、かなりの低価格化が実現できる可能性もある。もしかすると、将来的には、最高級一眼レフレベルの本格派デジタルカメラの登場も、まんざら夢ではないレベルなのかもしれない。
もちろん、このサイズのCCDを使えば、従来からの交換レンズシステムがそのまま利用できるわけで、既存のカメラシステムをラインナップしている一眼レフカメラメーカーにとっても、カメラユーザーにとっても便利このうえない。
しかも、画素数が600万画素あり、原色系フィルターということもあって、その再現性もかなり期待できる。ブースの説明員の話では、すでに大手カメラメーカーには、実写サンプルデータなども持ち込まれており、画質面での評価もされているという。このペースだと、今世紀中にはこのようなCCDを搭載したパーソナル向けデジタル一眼レフが登場する可能性もでてきたわけで、大げさにいうと、本格派デジタルカメラの明るい未来を、この目で確かめられたような気がして、個人的にはこれを見ただけで幕張まで足を運んだ甲斐があったと思っている。
●フィリップス:VGAの参考出品モデルも出品
いずれも日本国内での展開は考えておらず、海外、とくにフィリップスが得意とするヨーロッパや東南アジア市場を中心とした展開を図ってゆくという。
●RATOC Systems:128MBまで対応のスマートメディアアダプタ
このアダプタは基本的にスマートメディアカードをPCカードドライブで読み込むためのアダプタだが、他社モデルのように、PCMCIAのATAカードに変換するわけではなく、カードアダプタ自身をドライブとしてPCに認識させて利用するタイプになっている。
そのため、スマートメディアの抜き差しで、いちいち、カードの再認識が行われるわけではなく、カードを挿したあとに、そのドライブにアクセスすればデータを簡単に読みとれるもの。とくに、頻繁にカードを抜き差しして利用するユーザーにはいちいち認識させる手間が省けるので便利だし、作業効率もいいわけだ。
ただし、ATAではないので、このアダプタ用のドライバーが、システム側にデバイスドライバーとしてプリインストールされているわけではないので、利用するマシンにはいちいちドライバーをFDなどから組み込んで使う必要がある点が若干不便ではある。だが、いずれにしろ、16MBカード以降ではスマートメディアのアダプタを新調する必要があることを考えれば、ひとつの選択肢になりうる製品といえそうだ。
●NEC:Windows CE 2.0の周辺
今回はWindowsCE2.0マシンである「Mobile Gear II」関係の展示に力を入れていたNEC。しかも、周辺アプリケーション系メーカーの展示も同ブースで盛んにおこなわれており、なかなか見応えのあるものだった。ここでは同ブースにあった画像系の展示を紹介しよう。
まず、今回は単独ブースを構えなかったキヤノンが、CFカード対応機という関係から「PowerShot A5」を出品。実際にカラー版のMobile Gear IIを使って画像を表示するデモをおこなっていた。もっとも、256色表示であり、キヤノン純正でWidnowsCE用のビュワーを用意しているわけでもないので、Pocet IEでの表示となるので、ちょっと寂しい感じだった。もっとも、話題のA5が展示してあってもさほど目立たないため、カメラをじっくりと見るにはかえって好都合かも……。
また青林堂が、アプリケーションベンダーとしてWindowsCE2.0対応の画像ビュワーソフト「Palm KiD Viewre」を出品している。指定したディレクトリー下の画像ファイルのサムネール一覧や実画像表示ができる簡単なビュワーのデモを見ることもできた。対応しているのはBMPとJPEGなどで、画像の簡単なチェック程度なら十分使えそう。なお、このアプリケーションはMobile Gear IIに添付されているCD-ROMに体験版が収録されている。
●シャープ:反射液晶搭載のビジネスザウルス & PowerPIMM新版
注目の反射式カラー液晶だが、今回のイベントのように、特別に反射式液晶用に照明を用意していない場所で見ると、十分に明るい屋内にも関わらず、その見え味は今一つ精細さに欠ける感じだったのが残念。確かにきちんとカラー表示はなっているのだが、すぐ横に展示されている通常のTFT液晶採用機に比べると、かなり見劣りがした。もちろん、電池の寿命は通常モデルの約2倍になるというが、それでも屋外での利用がメインでなければ、バックライト付きの透過式液晶モデルがオススメかも ……。個人的にはデジタルカメラの液晶ファインダー用として、反射式カラー液晶に大いに期待していたのだが、屋内でこの見え味なら電池を食っても、従来タイプの方がいいと感じた。
また、ザウルスとデータの連携がとれるシャープ純正のPC用PIMMソフト「PowerPIMM」のデジタルカメラ対応版のデモもおこなわれていた。今回のバージョンでは、インターフェイスがかなり進化しており、簡単な操作で予定表を見渡せる機能が追加されたうえ、従来は大きなウィンドウ上に配置されていたスケジュールやカレンダーなどが、別々のウィンドウになっているので、必要な機能だけを開いておけばデスクトップを圧迫しない点もうれしい。また、画像の取り込みも簡単で、IrTran-P対応モデルならザウルス以外のデジタルカメラ専用機でもOKな点もいい。なお、まだ参考出品段階で、発売は2~3ヶ月後になるという。
●富士写真フイルム:HiFDとMPEG変換アダプタ
今回同ブースで目に付いたのは、FinePix700と同時発表された同機ベースの業務用モデル「BIG JOB」。ブースではかなりの台数を用意して、具体的な使用例などをあげながらのアピールを繰り広げていた。
また、ソニーと共同開発した話題の200MBフロッピーである「HiFD」も展示やデモをしており、今回は同社ブランドの外付け式ドライブ装置も披露されていた。もちろん、デスクトップ型のVAIOにHiFDドライブを組み込んでの動画再生デモもおこなわれており、この方面に興味のある人は必見だ。
価格は6万円前後とやや高価だが、デモを見る限り、画質も上々。なかなか魅力的なアダプタだった。
●エプソン:反射式カラー液晶を出品
□COMDEX Japan '98のホームページ
('98/4/7)
[Reported by 山田久美夫]
エプソンブース自身は、いつものようにプリンターを中心とした展開。一方では、マイクロソフトブースの一角でWindows CEマシンへの応用が容易な640×240ピクセル表示の6.5インチ反射式液晶パネルの展示もおこなっていた。これはD-TFT型と呼ばれるもので、デモを見る限り、表示も携帯端末用としては実用レベルのもの。比較的暗めの展示スペースだったが、結構コントラストが高く、色も比較的明瞭な反射式液晶パネルとして注目される。
http://www.sbforums.co.jp/comdex98/comdex.htm
□参考記事
【'97/4/14】COMDEX Japan '97レポートインデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970414/comdexj.htm
【PC Watchホームページ】
ウォッチ編集部内PC Watch担当
pc-watch-info@impress.co.jp