PC うおっち実験室 報告書

MINOLTA X-700 Advanced Digital Photo System Prototype #1
実る田 え七百式 先進数値化撮影系 試作一号機


●目的

 本計画は、非自動焦点の旧光学系利用の撮影装置と電子式数値化静止画像撮影装置の融合を行うものである。


●方法

 予算の都合により、都内にて2万円以下の電子式数値化静止画像撮影装置(樫尾社製QV-70)を入手し、それと「実る田 え七百式 旧型」(自動露出固定機能なし。以下七百式と略す)と融合させ、同機に電子式数値化静止画像撮影機能を付加することである。なお、この機能の付加方法は、銀塩写真の撮影に支障がでるようなものであってはならない。


●改造計画

 七百式は背面板の交換が可能(日時記録装置装着のため)であり、その着脱は簡単に行えるため、背面板を新たに入手し、それを改良する。光学系については、銀塩写真撮影機能保存のため、そのまま利用する。

1.開閉器問題

 七百号では、横幕式の光学的開閉器が組み込まれており、また、目視窓にて撮影映像を確認するために、さらに反射鏡が組み込まれている。このため、本体上部にある釦を押すことで、反射鏡が上がり、横幕が開くことになる。この瞬間のみ撮影が可能であり、正確にこの瞬間を電子部分に伝達する必要がある。これには、調光装置の連動端子を利用する。この連動端子は、60分の1秒以下の場合、横幕が全開した時点で接点が閉じるようになっており、これを電子部分の起動釦と接続して撮影を行わせる。

2.撮影範囲

 35粍銀塩帯に比べ、電子式数値化静止画像撮影装置の電荷結合素子の大きさは小さく。通常では、目視窓から見える範囲のごく一部のみが撮影範囲となる。このため、目視窓に拡大鏡を取り付け、視野を狭めるとともに、焦点調整をより正確に行えるようにする。なお、今回の試作では、電子部分を背面板上に配置しなければならず、目視窓が通常状態だと利用に問題を来すが、この拡大鏡によりその問題も同時に解決された。

3.電荷結合素子の配置について

 安価な電子部を入手したため、各種基板配置と電荷結合素子の配置に問題があった。電荷結合素子は、銀塩帯と同じ位置に配置せねばならないが、各基板の位置関係をこのままでは変えることができなかったため、やむなく電荷結合素子の載った小基板を他の基板と電線で接続することにした。

4.巻き上げ

 七百式は、手動巻き上げであるため、一回の撮影終了後、巻き上げ梃子にて巻き上げ動作を行い、開閉器横幕を元の位置に戻す必要がある。しかし、電子部分にはこの動作は必要なく、このままでは連続撮影が行えないという問題があったが、自動巻き上げ器を利用することで、この動作を自動化することが可能になった。


●試作機概観

試作機の映像を撮影した。

試作機を上方から見た場合の写真である。背面にある透明匡体の中に電子部分が格納されている。 背面板部分。前述のように七百式は背面板の分離が可能である。背面板中央に見えるのが電荷結合素子である。同期配線を外すことで完全に本体との分離が可能である。 試作機側面。七百式下部にあるのは、自動巻き上げ装置である。

取り外した背面部分。電子部分側からの撮影。中央に黒く見えているのは液晶表示装置である。 写真4の部分拡大。液晶表示部の上にあるのは、釦の接点用基板である。

本体を左後方上から見た部分。撮影時に本体をしっかりと保持できるように右手のかかる部分は、そのままにしてある。 同期配線は、接続部分が光学部分脇にあり、配線が背面からまわりこむ。取り外しを考え、配線長には余裕を持たせてある。


●試作経過

試作途中の段階で、電子部分に異状が見られ、電源が入らなくなるという事態か頻発した。最終組立を行う前に、電子部分は反応がなくなり、最終的な焦点調整や開閉器時間調整などが行えなかった。予算の関係もあり、電子部分の再購入は不可能であり、本計画はここで断念せざるを得なくなった。予算があれば、より高解像度の電子部分(百万画素以上も可能である)や、国産高級機種や独国製撮影装置などとの融合も行える。京都瀬戸物や日本光学の撮影装置なんかに思いっきり穴を空けてみたいのだが……。

[Reported by 塩田博士]


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