【コラム】

Internet Explorer IME 4.0

Internet Explorer IME 4.0
使用レポート

Text by Kazuhisa Nishikawa


●とうとうこの日がやって来た!!

 以前、IE 3.0 International Extensionsの記事を書いた時に、「IMEがインターネット上に公開されるのも時間の問題だな!?」と思っていたが、遂にそれが現実のものとなった。Internet Explorer IME 4.0の登場である。現在、日本語版と韓国語版が公開され、Windows 95/NT 4.0とInternet Explorer 4.01 + Language Supportを組み合わせることにより、メール・ニュース、そしてブラウザ上でIMEを使うことができるのだ!!

●本論の前に……。

 「さっそくゲットして使おう!!」と、作動環境が”Windows 95/NT 4.0用”になっているにも関わらず、まず一番身近にある英語版Windows 98へインストール。しかし、セットアップでバージョンが違うと怒られ、仕方なく事務所の環境を眺めたところ今更、英語版Windows 95が入ったマシンなどどこにもない。その上英語版Internet Explorer 4.01もなく、泣く泣く作動環境を作るところから始まった。

 Windows 95は最近使わなくなったThinkPad 560へ日本語Windows 95を削除しセットアップ。ところがドライバ用FDを保存し忘れ、慌ててIBMのWebからディスプレイとサウンド・ドライバなどをゲット。Windows 95サービスパック1をインストールし、更にサービスパック1以降のUpdateモジュールを追加、Internet Explorer 4.01を入れ、やっと環境が整った。しかし、この市販版Windows 95から最新の環境にするには非常に手間暇かかる。Internet Explorerがやっているような自動アップデートの仕掛けか、すべて入ったサービスパック2が是非とも欲しい。NT 4.0に関しては筆者のプライベート・サーバーとして使っている英語版があったので、比較的簡単に環境整備できたものの、それでもサービスパック3を入れないと、Internet Explorer 4.01がセットアップできないなど、それなりの時間を費やした。まさかIMEのチェックだけでこんなに時間がかかるとは……。


●ベースはMS-IME95!?

Panel-1 Panel-2 Panel-3

 実際に動き出すと、タスクバーに見慣れたアイコンが増えている。早速、プロパティを開いてみると、覚えのあるパネルが表示された。通常のIMEと大きく違うところは”他社のIMEとキーアサインを同じにする部分が無いこと”だろう。IMEの起動は”Alt+~”。これもATキーボード配置と同じだ。いろいろ使った感じだと、エンジンはMS-IME95がそのまま使われているようで、変換に独特の癖がある。今やMS-IME98になっているので、もう少し最近のエンジンを搭載してほしかった。Helpによると、日本語IMEと韓国語IMEを切り替えて使えるように書いてあるが、このテストは行なっていない。(韓国語IMEを組込んでも、筆者には使えない ^^;)

●Windows 95とNT 4.0で動きが違うOutlook Express

Outlook Express-1
(1)From/Subjectの文字化け。
Windows NT 4.0上では発生しない。


Outlook Express-2
(2)Reply時のSubjectが見えない。
この現象もWindows 95だけに出る。
■中途半端なOutlook Express

 「他国語Windows 95やNT 4.0でIMEが使える!!」と、期待は高かったが、チェックするにつれ、それは非常に限られた条件下であることがわかってきた。

 正式に対応しているOutlook Expressの場合でさえ、実際にかな漢字入力できる場所は、Bodyの部分だけ。ここ以外にカーソルがあってもIMEはイネーブル(入力可能な状態)にならず、まったく機能しないのだ。また、Windows 95では図(1)や(2)のようにFrom/Subjectの部分に不都合が生じ、あまり使い勝手の良いものではない。

 Windows NT 4.0では、この表示上の不都合は発生しないものの、Address Bookなど他のモジュールやBody以外の場所ではIMEが機能せず、先と同様、入力ができない。試しに構造が似ている(?)Outlook 98をインストールしチェックしたが、表示に関してはOutlook Expressと同じ症状。入力に関してはIMEがまったくイネーブルにならないので、使用不可となった。これからわかるように

 (a)Windows 95とNT 4.0で表示のロジックが違う
 (b)IMEがイネーブルになる部分は限られる

と、二通りの問題が発生している。(a)に関してはUnicodeの扱いが2つのOSで違い、アプリケーション側の対応が必要なので*1仕方がないと思われる。(b)に関しては期待していただけに、少しショックだ。

*1IE 3.0 International Extensionsを参照

■気になるエンコーディング

 IME 4.0とは直接関係ないが、Outlook ExpressのDBSCエンコーディングについてはかなり疑問。Format → Languageを選択すると、

 Japanese(ShiftJIS)
 Japanese(JIS-Allow 1 byte Kana)
 Japanese(JIS)
 Japanese(EUC)

の四択が表示される。少なくとも”ShiftJIS”と”JIS-Allow 1 byte Kana”はインターネットのルール上、好ましくない。

●Internet Explorer 4.01/Browser上は快適

Web Browser
(3)Mail/Newsだけでなく、Web上のフォームからも入力できる

Help-1
(4)あくまでも他のアプリケーションでは動かないことを強調しているHelp
■まるで日本語Winodws 95のようだ

 かたやInternet Explorerでは常にIMEがイネーブルとなり、URL入力などIMEが必要ない場所では自動的にOFFとなる。実際に使っていると、日本語Windowsと間違うほど完成度は高く、正に望んでいた環境だ。ブラウザ上ではフォーム入力がIMEを使う対象となるだろう。もちろんここに関しては文字化けも無く、快適に使用できる。特に最近では図(3)のようなアンケート集計だけでなく、Web上のBBSやChat、NIFTYSERVEやPeopleなど大手BBSもWebからログインできるなど、その用途は非常に広い。

 IMEの表示・変換速度は日本語環境とまったく同等で、Pentium 133MHz/40MB程度のマシンでも十分実用になった。

 余談になるが、Windows NT 4.0ではかなりのアプリケーションで日本語表示できるため、例えば、ローカルのハードディスクにフォーム入力だけの簡単なhtmlファイルを置き、Internet Explorerで表示、そこで日本語入力し、カット&ペーストで他のアプリケーションへ取り込むことはできる。お世辞にもスマートな方法とは言えないものの、緊急時にはできないよりマシであろう。 

■仕掛けはActive X

 どのような仕掛けでこのIME 4.0が動いているのか!? 詳しく調べていないので、いろいろなアプリケーションを試した結果でしか書けないが、他のアプリケーションではまったくIMEがイネーブルにならず、どうすることもできなかった。あくまでもInternet Explorer 4.01専用と考えた方がいいだろう。

 ただHelpには「Active Xを利用したIMEだ」と書かれている。これがキーワードだとすると、COMインターフェイスを使用していると思われ、将来的にIMEがCOMへ移行する際の予行演習的なモジュール = IME 4.0と仮定できる。こう考えると、Windows NT 5.0β1では従来の方式でIMEを動かしていたが、最終的にはCOMインターフェイス方式を採用する可能性も否定できない。

●総評

 期待が大きかっただけに、その完成度には少し疑問もあるが、それでもLanguage Supportによる、”見るだけ”の世界から、アプリケーションが限定されるとは言え”読み書き可能”になっただけでも格段の進歩である。またWindows NTは5.0になればMulti Language対応になるのでもう暫くの(?)辛抱であるものの、Windows 95(Windows 98も出荷すれば対応するだろう)に、この機能が追加されたのは嬉しい限りだ。ただ、他のアプリケーションでも使えるように、Microsoftは仕様を公開すべきであるし、Outlook 98やFrontPage(Express)などインターネットを中心とした自社製品の対応も、もう少し増やして頂きたいと思う。

[Text by 西川和久]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp