【イベント】

日本でもAppleStoreを実施

MACWORLD Expo/Tokyo '98基調講演レポート

展示会場 会場:幕張メッセ
開催期間:2月18日~21日

連絡先:MACWORLD Expo/Tokyo '98展示会事務局
Tel.043-296-4455



 2月18日、第8回目を迎えるMACWORLD Expo/Tokyo '98が開幕した。
 展示会場では、アップルのMac OS互換機戦略の変更のため互換機メーカーの出展もなく、出展社数は203社と昨年の3分の2に減った。会場も第4~第6ホールまでの3ホールと従来より狭くなっている。不況感が強い時でもあり、イベント会場に華をそえるコンパニオンの数も少なめで、全体的に例年に比べ地味な印象。会場内に「互換機通り」が設けられ賑わった昨年と比べ、かなり寂しい感じは否めない。しかし、主催者による来場予定者数は18万人と、昨年並みの入場者が見込まれている。

 初日の基調講演は、Steve Jobs氏が来日するかどうかが注目されていたが、来日は結局見送りとなった。代役として米Appleのワールドワイドセールス&サポート担当上級副社長のMitch Mandich氏が基調講演を行なった。

●米国で成功した「Apple Store」を、日本でも開始

Jobs  基調講演ではまず、来日できなくなったJobs氏のビデオメッセージを紹介。「残念ながら新製品の準備などで来日できなくなった」というJobs氏は、「これからも素晴らしい製品をお届けしたい」としたが、とくに新しい話はなかった。

 Mandich氏は、新役員の紹介、黒字転換の報告、Mac OS 8とG3 Macの成功などについて述べたあと、米国で成功を収めたBTO(Build To Order)システムによるWeb通販「Apple Store」を、「今年から、日本やアジア、ヨーロッパにおいても展開しようと考えている」と発表、会場の喝采を浴びた。また、「QuickTime」がISO(国際標準化機構)により、マルチメディアフォーマット「MPEG 4」開発のベースとして採用されたことを紹介した。

 ただしBTOについては、日本法人の原田社長はこれまで、千葉の最終組み立て拠点をシンガポール拠点に統合・整理する方針を明らかにしていた。BTOシステムを導入する場合には通常国内最終組み立て拠点が必要となるが、既定の方針を変更し国内拠点を置くのか、また国内代理店との関係はどうなるのか、など詳細については触れなかった。


●全体としては新味のない内容

 基調講演のテーマは「アップルの今後の展開」だったが、「Apple Store」国内展開とMPEG 4の話を除けば、内容はおおむね1月に行なわれたMACWORLD Expo/San Franciscoと同じ。全体としてはサプライズの少ない講演だった。

 Mandich氏に続き、ソフトウェア技術担当の上級副社長Avie Tevanian氏が壇上に立った。Tevanian氏はNeXT社買収に伴ってAppleに入社、OPENSTEPベースのRhapsody開発などを手掛けてきており、今後のOS技術などについて新しい発表があるかと会場の期待は高まったが、「Appleの伝統にならって新技術について述べたいところだが、時間も限られているので、今日はわれわれがすでに持っている技術についてお話したい」として、Mac OS 8.1、QuickTime 3.0のセールスポイントについて述べるにとどまった。

Mandich氏 Tevanian氏 CFmovie
1月のJobs氏の基調講演の内容をなぞる形でMitch Mandich氏の基調講演は行なわれた。 アップルほか6社が共同でQuickTimeをMPEG 4のベースとして推す共同案を提出、ISOにより採択されたことを紹介するAvie Tevanian氏。OS新技術や、最近聞かれなくなったRhapsodyについて聞けるかと思われたが、既定路線の解説のみで残念。 1カ月ほど前から米国でオンエアされているCMを披露した。Pentium IIがカタツムリに乗ってゆっくり移動、「G3はPentium IIの2倍速い」とのアナウンス。比較広告があまり好まれない日本では放映しないそうなので、見たい方はこちらのWebサイトでQTムービーをどうぞ。

 QuickTime 3.0のデモは、QuickTime担当のPeter Hoddie氏によって行なわれた。QuickTimeのデモでは新しくサポートされるストリーミング機能や、ビデオで撮影した画像をQuickTime 3.0で編集する機能などが紹介され、Hoddie氏は「QuickTime 3.0は英語版リリースの7日後には日本語版をリリースする」と宣言した。

 続いて米Microsoft社のMacintosh製品担当のBen Waldman氏によるOffice 98のデモが行なわれた。Waldman氏は日本語と日本式のおじぎで挨拶し、日本語環境を考慮したWordでの縦書きや罫線機能の強化、Excelでの人名リストのルビによるソートなど、新機能を披露し会場の拍手を浴びた。日本語の挨拶をわざわざ覚えてくるなど、プレゼンテーションの巧みさもさることながら、Office 98へのMacユーザーの期待はかなり大きいようだ。

 この後、マクロメディア社長の手嶋氏による、HTMLデザインツールDreamWeaverのデモが行なわれ、手嶋氏は米MacroMedia社上級副社長Brian J. Allum氏を紹介。Allum氏は「Appleはわが社にとって大切なパートナー」であり、また「Macromedia社の売上の20%を日本の売上が占めており、日本市場はMacromediaにとって大切な市場」であるとして、日本のMacユーザーを今後もサポートしていく意向を表明した。

 最後に、1月のMACWORLD Expo/San Franciscoでの基調講演でも上映された、ソフトウェアデベロッパー各社のビデオクリップを紹介、基調講演を終えた。

Mandich氏 Tevanian氏
Waldman氏はWordで、ワンクリックで横書き文書を縦書きにできる機能など、日本語環境を考慮した機能を披露。 デベロッパー各社のビデオクリップにはGates氏も登場。「MSはMac上で革新を続けてきた」と述べた(ときどき止まっていたようにも思うが)。Appleとの技術提携により、MSは少なくとも5年間はMac用ソフトを提供し続ける。

【お詫びと訂正】  18日付けの本記事において、Web通販「Apple Store」を、「今年5月から、日本やアジア、ヨーロッパにおいても展開しようと考えている」との記載がございましたが、これは同時通訳の誤りによるもので、実際は「今年中に展開」が正しい内容となります。

□MACWORLD Expo/Tokyoのホームページ
http://www.idgexpo.com/MACW/macindex.html
□ISOがQuickTimeをMPEG 4のベースとして採用したというアップルのリリース(英文)
http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1998/q2/980211.pr.rel.iso.html

('98/2/18)


[Reported by hiroe@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp