【イベント】


山田久美夫の
「MACWORLD Expo/San Francisco」フォトレポート(2日目)

記憶媒体編+α

'98/1/6~1/9 開催(現地時間)

開催地:サンフランシスコ

会場風景1 会場風景2 会場風景3



■記憶媒体編■


●あらゆる手で攻める「Iomega」

Iomegaブース Jaz 2GB_2 Jaz 2GB ディスクアレイ


 このところ実に元気なIomega。今回も予想通り、従来の2倍の容量を備えた「Jaz」の2GBバージョンを発表。容量の拡大とともに、速度も従来よりやや高速化されている。ドライブの外観は従来の1GB版とほぼ同じで、従来の1GBカートリッジも利用できる。会場では、グラフィック系を中心にあらゆるシーンでの優位性をアピール。一番面白かったのは、2GBのJazを4台重ねてRAIDソフトと組み合わせることで、高速で安全性の高いディスクアレイシステムとして利用しようというデモで、このシステムでの動画再生ができることを実証していた。

 また、Jaz用のアクセサリーもかなり豊富に揃っており、今回はJazドライブと重ねて一体化(といってもベロクロテープで巻くだけ)して、2時間ものバッテリー駆動ができるという充電式の携帯用バッテリーパック「Jaz Unleashed!」を発表。充電時間も2時間でOKというが、手にしてみると、さすがにズッシリとくるが、なかなかユニークな製品といえる。

Clik!_1 Clik!_2 Clik! on DC120


 また、昨秋のCOMDEX/Fallで発表された「Clik!」のMacintosh対応版によるデモも行なわれていた。発売は今年の第2四半期というが、すでにパッケージもできており、予定通りに出荷されそうだ。もちろん、Macintoshへの対応も万全だ。40MBでメディアが9.99ドルという価格は魅力だが、単位容量あたりのコストでは同社のZipのほうが有利であり、容量も中途半端。また、ドライブ側のサイズが大きく、メモリーカードに比べて振動に弱いこともあって、小型軽量で長時間駆動をウリとする携帯情報機器への採用も難しそう。

 ブースではコダック「DC120」を改造して、Clik!のドライブを載せたデモを行なっていたが、どう考えても無理があり、実用的ではないのは明らか。パーソナル向けのデジタルカメラへの採用は難しそうで、なかなか前途多難な感じがした。

buz_1 buz_2 buz_3


 大容量メディアを得意とする同社にとって、その容量をどうやって使わせるか?という点は大きな問題だ。そして、それを自ら解決しようという試みとして、199ドルという超破格の動画録再システム「buz」を発表した。価格は手頃だが、内容はなかなか本格的。解像度は最大720×480ピクセルで、秒間30フレームのフルカラーキャプチャーが可能。記録方式はハードウエア圧縮によるモーションJPEGでレートも秒間6MB。もちろん、NTSCやPALでの動画・音声出力も可能だし、静止画キャプチャーもできる。インターフェイスは付属のUltra SCSIカードで最新のG3 Macintoshに対応できるよう、PCI 2.1準拠となっている。

 やはり、同社の戦略を考えると、秒間6MBも消費してくれる動画の世界は大いに魅力的な存在なので、199ドルでも最終的な採算はとれるのだろう。


●Syjetで対抗する老舗「SYQUEST」、ORBで対抗する「Castlewood」

Syjet_1 Syjet_2 Syjet_3


 iomegaのライバルメーカーも、それぞれの特徴をアピールした展示を行なっている。まず、数年前までは大容量交換メディアの代名詞だった「SYQUEST」は、1.5GBタイプながらもメディアの価格が安い「Syjet」をアピール。Jazに比べると、ドライブ本体はJazの1GB仕様とほぼ同じ299ドルだが、メディアはJazが124ドルで、Syjetは容量が大きいにも関わらず79ドルと安価なのがウリといえる。

Syjet_1 Syjet_2


 また、徐々に人気が高まりつつあるのがCastlewoodの「ORB」ドライブ。こちらは容量が2.16GBと大きい上、速度も12.2MB/秒と高速(JazとSyjetはいずれも6MB/秒台)。ドライブ本体が199ドルで、メディアも29.95ドルと安価なのが魅力だ。もっとも、このような大容量メディアを本当に一般的なユーザーが消費するのかどうかは、大いに疑問が残るところ。おそらく今後は、これらに「DVD-RAM」などが絡みながら、ますます熾烈な競争を繰り広げることだろう。


■+α編■


●「Intel用BeOS」登場

BeOS_1 BeOS_2 BeOS_3


 7日のレポートでも紹介した「BeOS」だが、今回のMACWORLD Expo/San Franciscoでは従来からのPowerMacintosh用と同時に、今年の早い時期にプレリリースされる「Intel用BeOS」のデモンストレーションも行なわれていた。もちろん、基本的には同じBeOSなので、画面の作りや各種インターフェイスはもちろん、そのパフォーマンスもPowerMacintosh版と同等であり、Widnowsユーザーにとってもかなり魅力的なOSになりそうだ。

 さすがにMedia OSを名乗るだけあって、CPUがPentium IIでもそのパフォーマンスには圧倒される。今回のデモ用のマシンはUMAXのPentium II 266MHzのデュアルプロセッサータイプ(もともと、BeOSは専用機であるBeBoxの時代からマルチプロセッサー対応だった)とハイスペックなものだった。

QuickTime Movie CPUモニター


 さて、そのパフォーマンスは一目瞭然。写真のように画面内に10以上のQuickTime Movieを表示しても、それぞれがほぼフルモーションで動いているし、3Dグラフィックスも超高速で軽快そのもの。画面上部にあるCPUモニターを見ると、さすがにフルパワーになっているが、シングルCPUのデモでもその高速さは十分に体感できるレベルだった。

 もちろん、PowerMacintosh版でもまだ日本語をサポートしていない(サポートは予定されているという)が、英語版のアプリケーションならば、グラフィック系、動画やサウンド編集はもちろん、ワープロや表計算といったソフトも用意されているので、英語圏ならばそろそろ実用になりそうだ。

 もともとMacintosh用として登場したことから、Windows系のイベントでのデモはまだ行なわれていないが、近い将来、Intel版が登場した際には、ぜひとも日本国内のPCイベントでデモを実施して欲しいものだ。


●ハイパフォーマンスをアピールする「UMAX」

Macintosh互換機


 Intel版BeOSのデモは、UMAXブースでも「UMAX & Be on Intel」というキャッチフレーズで行なわれている。BeOSが同社のMacintosh互換機にバンドルされているように、将来はUMAXのPC/AT互換機にバンドルされる可能性もありそうだ。また、ハイパワー指向の強いUMAXはこのほかにもCPUやメモリー、グラフィックカードなどを強化したPhotoshop用Macintosh互換機(もちろん専用機ではない)や、7日にレポートしたNewer「MAXPowrPRO+」(PowerPC 750搭載アップグレードカード)のUMAX版によるアップグレードなどをアピール。ハイパフォーマンスを武器に互換機市場に参入したUMAXらしい展開を見せていた。

UMAXブース_1 UMAXブース_2



●“Mac Friendly”なWidnows NTベースのPentiumマシンを展開する「INTERGRAPH」

INTERGRAPHブース_1 INTERGRAPHブース_2

 昨年までは考えられなかったほど、今回のMACWORLD Expo/San FranciscoではWindows系マシンの姿を会場のあちらこちらで見かける。なかでも、“Mac Friendly”なWindows NT 4.0ベースのワークステーションを大々的にアピールしていたのが「INTERGRAPH COMPUTER SYSTEM」だ。

 このマシンは「Extreme Z 2D Graphics Workstation」と呼ばれるもので、内容的にはPentium II 300MHz(オプションでデュアルプロセッサーにできる)搭載のNTマシン。グラフィックカードはMillennium II AGP 2Dを採用し、メモリも標準で64MB、最大512MBまで搭載でき、HDDはもちろんUltra Wide SCSIという、なかなか本格的なもの。さらに、10BASE-T/100BASE-TXを標準搭載しており、これにMACLANというMacintosh互換のLANソフトを標準でインストールすることで、手持ちのMacintoshとネットワークしデータ互換や外部デバイスとの連携を図ろうというもの。


 まあ、ここまでならある程度の知識があれば、カスタムメイドで作ることもできる(とはいってもMacintoshユーザーにはカスタムでマシンを作るという感覚はないが)。だが、このマシンはGraphics Workstationを名乗るだけあって、本格的なカラーマネージメントシステムを組み合わせることで、モニター表示までもMacintoshにあわせることができる点が凄いところ。ここまでやれば、“Mac Friendly”という登録商標もダテじゃない。

 もちろん、PhotoshopやIllustrater、QuarkXPressといったプリプレス系のアプリケーションは、Macintosh版もWindows版もほぼ同じインターフェイスを実現しているので、OSがどちらでもさほど違和感なく利用できることを考えると、このようなシステムが登場してもおかしくはない。もっとも、“なぜこんなマシンが必要なの?”という素朴な疑問が残る人も多いと思うが、Macintoshをベースに高価なシステムをすでに構築した人や会社では、結構現実的な選択なのかもしれない。

Mac Friendly Exteme Z 2D Graphics Workstation



●CD-ROMによるイメージライブラリーを展開する「Adobe Systems」

写真_2  アメリカでは、CD-ROMによるビジュアル素材集の需要が日本では想像できないほど高い。また、Web上でのイメージライブラリーも展開されているわけだが、今回、Adobeは大手のフォトライブラリーと提携することで、独自のイメージライブラリーの展開を開始した。しかも、CD-ROMで供給されるデータは、単なるリストではなく、十分に商業印刷に耐えるデータ量(CMYKデータで1枚展開時42MBのJPEGで、300dpiでほぼA4版がカバーできる)の実画像であり、使用時のロイヤリティーもフリー(CD-ROMの価格に含まれている)というもの。もちろん、これ以外にも900KBと2MB、34MBのRGBデータも収録されている。


 写真とイラストがあり、タイトル数も多く、種類も実に豊富。似たコンテンツの100枚の画像が収録されたもので299ドル。しかも、19.99ドルのカタログ(印刷物)を購入すれば、ライブラリーすべての写真を一覧できるので、必要なCD-ROMだけを購入すればいい。また、必要に応じてWeb上で1枚だけを99ドルでダウンロードすることもできるなど、なかなか現実に即したものになっている。もっとも、一般ユーザーにはあまり関係のない世界ではあるが、デザインやプリプレス系のビジネスをしている人にとっては、なかなか魅力的なシステムといえる。

Adobeブース パッケージ_1 写真_1


□MACWORLD Expo/San Franciscoホームページ
http://www.macworldexpo.com/mwsf98/index.html
□Macworld/Pro Conference情報ページ
http://www.macworldexpo.com/macworldpro/frame.html
□関連記事
【1/8】MACWORLD Expo/San Francisco現地レポート インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980107/macw_i.htm

('98/1/9)


[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp