【業界動向】

K7ではSlot 1とコネクタ互換の「Slot A」を採用

　AMDは15日、都内で記者会見を開き、K6+ 3DやK7を含む今後の新プロセッサのロードマップを発表した。ここでの内容は、米国で開催中のMicroprocessor Forum 97における発表と同じもので、実質的に日米同時発表というかたちになる。

　ロードマップでは、現行のK6のライナップ追加のほか、従来のSocket 7を拡張したプラットフォーム「Super 7」に対応したK6 3DとK6+ 3Dがアナウンスされ、さらにSlot1とコネクタ形状が互換の「Slot A」に対応したK7、そしてK8についても触れられた。

●'98半ばまでに.25ミクロン製造技術へ移行

　まずはAMDの生産能力について、現行の.35ミクロンから.25ミクロン製造技術への移行を'98半ばまでに完了する計画を明らかにした。計画通りに移行した場合、'98年中に製造されるAMD製プロセッサは80%がこの.25ミクロン製造技術によるものになるいう。工場が.25ミクロン製造技術に移行することにより、プロセッサの高集積化、小型化、低消費電力化、低コスト化が実現し、生産能力も飛躍的に上昇するという。

●現行「K6」は.25ミクロンによってPR 266とモバイル用を追加

　現行のK6については、すでに.25ミクロン製造によるPR266（266MHz動作）のサンプル出荷を開始していることを明らかにした（現在量産出荷されているのはPR233まで）。PR266は'97第4四半期から量産される見込み。また、.25ミクロン製造によるノートパソコンなどモバイル用のK6も出荷する計画で、各種パッケージでの供給に対応することで、様々なサイズの要求に応えるという。

●「K6 3D」はMMX命令を強化したAMD 3Dテクノロジ、100MHzバスクロックに対応

　'98前半には、Socket 7による100MHzバスクロック（現状は66MHz）とMMX命令を拡張した独自のAMD 3Dテクノロジを搭載した「K6 3D」を出荷する。開発コードネーム「Chompers」と呼ばれるこのプロセッサは、内蔵するMMXユニットもデュアル・デコード・パイプラインやデュアル実行・パイプラインなどを搭載することで、完全なスーパースケーラ化がはかられている。動作クロックは当初300MHzで、追って350MHzが投入される計画。すでに開発パートナー各社に向けてはサンプル出荷が開始されているという。

　AMD 3Dテクノロジは現状のMMX命令をもとに新たに24個の新命令を追加したもので、とくに浮動小数点演算処理に重点が置かれたものになっている。これにより、3Dグラフィックスの処理が高速化され、MPEG-2の動画フルデコードのほか、オーディオについてもDVDなどで利用されるAC-3レベルの処理が可能になるという。今後はSDKやMicrosoft MASM（アセンブラ言語）による開発環境のサポート、最適化されたDirectXやOpenGLのAPIおよびライブラリが提供される予定という。AMDではアプリケーションメーカーへの対応を訴えかけていくほか、AMD 3Dテクノロジ自体も他社にライセンスしていく方針。

●「K6+ 3D」は256KByteのL2キャッシュをプロセッサに内蔵

　'98後半に出荷されるのは、K6 3Dをベースに拡張した「K6+ 3D」。256Kbyte L2キャッシュをプロセッサに内蔵し、外部L3キャッシュにも対応している。135mmのダイサイズに2,130万トランジスタを集積、同社によれば「歴史上もっともトランジスタ数の多いプロセッサ」だという。動作クロックは350MHzから400MHzまで対応する。

●Slot 1とコネクタ形状互換のSlot A対応「K7」

　'99以降には、第7世代のプロセッサ「K7」を出荷する。K7はマザーボードとの接続形態が変更され、従来のK6シリーズで採用されていたSocket 7から「Slot A」に変更される。Slot Aは、信号レベルではDECのAlpha EV-6バスプロトコルを採用しながら、コネクタ形状はIntel Pentium IIが採用しているSlot 1と互換性を持つ。これはハードウェアインフラを最大限に利用し、マザーボード側の製造コストを下げる意味があるという。海外では、IntelがAlphaテクノロジを買収するとの観測が流れていることから、記者側からは「買収された場合はどうするのか？」といった質問が出たが、AMD側は「それについては答えられません」と述べるにとどまった。

　K7は来年のMicroprocessor Forumで詳細が明らかにされ、米国で開催されるコンピューターショーのCOMDEX/Fall '98でデモを行う予定という。また、K7と並行してK8を開発中であることも明らかにされた。

□米AMDのホームページ
http://www.amd.com/
□ニュースリリース
http://www.amd.com/news/corppr/9771.html
http://www.amd.com/news/corppr/52583a.html

('97/10/15)

[Reported by fumitake@impress.co.jp]