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Microsoft Meltdown Tokyo 1997 記者技術セミナーレポート

TEXT:広野忠敏

 7月23日に渋谷フォーラム8で行なわれた、マイクロソフト株式会社による「Microsoft Meltdown Tokyo 1997 記者技術セミナーレポート」(以下Meltdown)のレポートをお届けする。Meltdownでは先ごろ正式にリリースされたDirectX5のレビュー、DirectXの次期バージョンであるDirectX6のプランニングについて、Microsoftから発売される新しいゲームデバイス「SideWinder Precision Pro」、「SideWinder Force Feedback Pro」の紹介ならびにDirectXを利用したゲームのデモンストレーションが行われた。なお、「SideWinder Precision Pro」、「SideWinder Force Feedback Pro」については「本田雅一の早耳ニュース」も合わせてご覧頂きたい。


DirectX Foundation

 DirectX FoundationではDirectX5のレビューやOpenGLとDirect3D、DirectX6についてのトピックについて講演が、マイクロソフトのDirectX グループプログラムマネージャ Mark Kenworthy氏によってなされた。

 DirectX5は現在のDirectX3の後継にあたるバージョンである。DirectXはWindows上でDOSクオリティのゲームを実現するためのドライバやAPIセットで構成されているものだが、今回リリースされたDirectX5は、ユーザインターフェース、ソフトウェア(ソフトベンダ向け)、ハードウェア(ハードベンダ向け)、パフォーマンスなどの強化。さらに、より広範囲のハードウェアのサポートが特徴だ。

 おもな変更点としては、ユーザーインターフェイス面では、セットアップ時にハードウェア情報のデータベースを利用することによるセットアップの簡便化と最適化、新しいDirectInputコントロールパネルなどが挙げられる。ソフトウェア面ではドキュメントの強化、ローレベルAPIのサポートなど、ハードウェア面では、WDMによるドライバモデルのサポートなど。パフォーマンス面ではDrawPrimitive APIのサポート、新しいLowResモード、コードの最適化などが強化されている。より広範囲のハードウェアのサポートでは、Force Feedbackジョイスティックや3Dサウンドアクセラレーション、DirectDrawのMMXオプティマイズ、Talisman、AGP(Accelerated Graphics Port)などについての解説がなされた。ちなみに、DirectX5はMemphisやNT5で標準にサポートされることもアナウンスされた。

 3Dレンダリングに関してのトピックでは、Direct3DとOpenGL双方のパフォーマンスがそれほど変わらないのを強調し、Microsoftでは今後も継続してDirect3D、OpenGLの双方をサポートしてゆくことがアナウンスされた。ただし、現状の情勢を考え(OpenGLはアミューズメント分野ではほとんど利用されていない)、今後の機能強化はDirect3Dが中心になるということだ。

 OpenGLとDirect3Dの説明の際に、Id Softwareのゲーム「Quake」のエンジン部分をOpenGLからDirect3Dに変更したもののデモンストレーションがあったが、Direct3Dを利用したエンジンでも遜色なく動作していた。ちなみに、Quakeのエンジン部分のDirect3Dへの移植にかかった期間は3週間程度だということだ。

 引き続き、DirectX6のプランニングに関しての説明があったが、DirectX6では、さらにパフォーマンスを向上させ、より多くの機能を取り込む予定があることが明らかにされた。その機能としては、たとえば以下のようなものが挙げられている。

 また、DirectX6では新しいコンポーネントDirectMusicが登場する。DirectMusicはMIDIのためのオブジェクトモデルで、ソフトウェアシンセサイザやハードウェアMIDI、ダイナミックな音色のダウンロードなどが予定されている。

 なお、DirectX6は早ければ来年4月にリリースされる予定だという。


DirectX対応アプリケーションデモ

 DirectX対応アプリケーションのデモでは、Delphine SoftwareのMotoRace、PsygnosisのG Police、セガ・エンタープライゼスのバーチャファイター2、バーチャコップ2、セガラリーチャンピオンシップに加え、コナミゲームバンクなどから発売予定のゲームのデモが行われた。ちなみに、セガエンタープライゼズのバーチャコップ2はマウスでプレイするものだが、DirectX6で光線銃デバイスがサポートされるのを契機に、こうしたデバイスも積極的にサポートするということだ。

 デモンストレーションの際はβ版のゲームがフリーズしたり、うまくゲームが動作しないなどのトラブルがあり、また実際にDirectX5やDirect3Dがサポートされているゲームはデモンストレーションの一部だった。しかしそれでも、DirectX5やDirect3D、とりわけハードウェアアクセラレーションの実力の一端は伺えるデモだったことは明記しておく。


SideWinderシリーズ新製品の紹介

 今回のセッションではDirectX5に加えて、SideWinderシリーズの新製品の紹介があった。新しく発売されるのは「SideWinder Precision Pro(以下Precision)」と「SideWinder Force Feedback Pro(以下Force Feedback)」の2つ。

 Precisionは現在のSideWinder 3D Proの後継にあたるジョイスティックで、グリップデザインとスロットル形状の変更、ボタンの位置が変更されていることなどが特徴。さらに、シフトボタンによる操作性の向上、新しいゲームデバイスプロファイラによるカスタマイズが可能になる。

 一方のForce Feedbackはフォースフィードバック機能を持つジョイスティック。つまり、ジョイスティックを入力としてだけではなく、出力(ジョイスティック部分がDCモータによって可動する)をも実現するデバイスだ。たとえば、銃や砲撃の反動、着地やジャンプなどの衝撃をジョイスティックを通して伝えることができるようになる。これによって、より臨場感のあるゲームプレイが可能になるハズだ。

('97/7/23)

[Reported by 広野忠敏]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp