DirectX5は現在のDirectX3の後継にあたるバージョンである。DirectXはWindows上でDOSクオリティのゲームを実現するためのドライバやAPIセットで構成されているものだが、今回リリースされたDirectX5は、ユーザインターフェース、ソフトウェア(ソフトベンダ向け)、ハードウェア(ハードベンダ向け)、パフォーマンスなどの強化。さらに、より広範囲のハードウェアのサポートが特徴だ。
おもな変更点としては、ユーザーインターフェイス面では、セットアップ時にハードウェア情報のデータベースを利用することによるセットアップの簡便化と最適化、新しいDirectInputコントロールパネルなどが挙げられる。ソフトウェア面ではドキュメントの強化、ローレベルAPIのサポートなど、ハードウェア面では、WDMによるドライバモデルのサポートなど。パフォーマンス面ではDrawPrimitive APIのサポート、新しいLowResモード、コードの最適化などが強化されている。より広範囲のハードウェアのサポートでは、Force Feedbackジョイスティックや3Dサウンドアクセラレーション、DirectDrawのMMXオプティマイズ、Talisman、AGP(Accelerated Graphics Port)などについての解説がなされた。ちなみに、DirectX5はMemphisやNT5で標準にサポートされることもアナウンスされた。
3Dレンダリングに関してのトピックでは、Direct3DとOpenGL双方のパフォーマンスがそれほど変わらないのを強調し、Microsoftでは今後も継続してDirect3D、OpenGLの双方をサポートしてゆくことがアナウンスされた。ただし、現状の情勢を考え(OpenGLはアミューズメント分野ではほとんど利用されていない)、今後の機能強化はDirect3Dが中心になるということだ。
OpenGLとDirect3Dの説明の際に、Id Softwareのゲーム「Quake」のエンジン部分をOpenGLからDirect3Dに変更したもののデモンストレーションがあったが、Direct3Dを利用したエンジンでも遜色なく動作していた。ちなみに、Quakeのエンジン部分のDirect3Dへの移植にかかった期間は3週間程度だということだ。
引き続き、DirectX6のプランニングに関しての説明があったが、DirectX6では、さらにパフォーマンスを向上させ、より多くの機能を取り込む予定があることが明らかにされた。その機能としては、たとえば以下のようなものが挙げられている。
なお、DirectX6は早ければ来年4月にリリースされる予定だという。
デモンストレーションの際はβ版のゲームがフリーズしたり、うまくゲームが動作しないなどのトラブルがあり、また実際にDirectX5やDirect3Dがサポートされているゲームはデモンストレーションの一部だった。しかしそれでも、DirectX5やDirect3D、とりわけハードウェアアクセラレーションの実力の一端は伺えるデモだったことは明記しておく。
Precisionは現在のSideWinder 3D Proの後継にあたるジョイスティックで、グリップデザインとスロットル形状の変更、ボタンの位置が変更されていることなどが特徴。さらに、シフトボタンによる操作性の向上、新しいゲームデバイスプロファイラによるカスタマイズが可能になる。
一方のForce Feedbackはフォースフィードバック機能を持つジョイスティック。つまり、ジョイスティックを入力としてだけではなく、出力(ジョイスティック部分がDCモータによって可動する)をも実現するデバイスだ。たとえば、銃や砲撃の反動、着地やジャンプなどの衝撃をジョイスティックを通して伝えることができるようになる。これによって、より臨場感のあるゲームプレイが可能になるハズだ。
('97/7/23)
[Reported by 広野忠敏]