まず、「現状のインターネットの隆盛は“インターネット津波”というべき状況にあり、来年以降もこの波はもっと高くなるだろう」と語った。
「PCの“視聴時間”はますます増加しており、ゴールデンタイムのTV放送に影響がでるほどのものとなっている。すでにオンラインTVとPCは、出版、ラジオ、TVなどに続く次期マスメディアとなりつつある。Windowsとそのインターネット関連技術はそのなかで確固とした地位を占めている」と述べた。
さらにWindows最新の話題として、TCO、NetPC、NT 5.0などを19日に行なわれたTCOサミットのビデオとともに紹介した。つづいて本日公開のWindows CE日本語版について紹介を行なった。
その中で、「Windows CEの提供する基盤は、高度な情報通信機器から家電製品までをカバーする。WebTVもその中に含まれる」とし、Windows CEが単なる携帯端末用のOSではないことを強調した。
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そしてその重要な用途としてデジタルTVをあげ、「一般消費者がデジタルTVに期待するものは、良質の画面、日常購読しているデータが簡単に入手できる、拡張されたWeb情報と放送番組の融合の3つである。単なる高画質だけではユーザーがついてこないことはハイビジョンの1%という普及率が証明している」と述べ、Webと放送の融合例として米国のTV番組「Moesha」のデモビデオを上演し、画面の右上のビデオ部分とその周囲のデータリンクの部分の融合ぶりとその魅力を訴えた。
さらにこの春にMicrosoft、Compaq、Intelの3社が提案したデジタルTV規格について話を進め「拡張性を重視して、階層的フォーマットを採用した。また、現状のTV放送とは異なるプログレッシブ(順次走査)方式となっている。プログレッシブ方式のメリットは、画像圧縮、映像の送出、再生表示など容易であることだ」と述べた。
「番組制作は、映像、音声、ホームページの作成が必要となり、放送の送出経路は、地上波、衛星、ケーブル、インターネットなどから選択できる。番組はTVでもPCでも視聴できるようになる。西暦2000年には、4,000万台のPCがデジタルTVを受信可能になり、居間に適した形状と使いやすいリモコンを備えたものとなるだろう。」
「また、MenphisやNT 5.0ではブロードキャストに適したアーキテクチャーが用意されているが、ハードウェア的にも、TVチューナ/デジタル放送/ケーブルモデムのサポート、デジタルディスプレイのPC98規格による標準化、DVDやIEEE 1394などの家庭用機器とのインタフェースの強化などが行なわれる。」
「具体的には、今年のクリスマスシーズンに登場する'97年型のPC/TVは、デジタル衛星放送受信のためのアドインカード、800×600×50/60Hzプログレッシブスキャンディスプレイ、DVD-Video対応などの仕様を持つ。さらに、'98年型PC/TVは、MPEGデコーダがPCの一部となり、ワイドスクリーンPCモニター対応、コンシューマ用PCもデジタルTVを受信できるようになる」とPCのTVとの融合を積極的に進めていく姿勢を見せた。
「われわれの目標は、2000年に出荷される年間1億台のPCすべてをデジタルTV対応にすることであり、PCとTVの双方に対応する互換性を持ったデジタルTVサービスの開始である。これにより、放送事業者にとってのビジネスチャンスが生まれる」と放送事業、家電事業などの分野への強い意欲を見せた。さらに、Windows NT 5.0、Hydraなどのサーバー系もこの方向へ連動することも講演中で明らかにされており、Microsoftが放送分野を次のフロンティアとしてとらえていることが強く感じられた。
このところデジタルTV規格の標準化を呼びかけ、WebTV、ケーブルTV業者の買収など放送分野への興味を見せていたMicrosoftの動きに、PCのデジタルTVへの進出・融合という道筋がつけられたという点できわめて有意義な講演であった。
('97/6/25)
[Reported by date@impress.co.jp]