【イベント】

幕張メッセで
4日から6日まで開催
展示はインフラ系とイントラネット関連が中心

「NetWorld+Interop 97 Tokyo」レポート

 インターネットウォッチで4日から連日お伝えしている通り、最先端ネットワーク技術の展示会「NetWorld+Interop '97 Tokyo」が、6月4日~6日の3日間、幕張メッセにて開催された。
 展示はギガビット・イーサネット、ATM、IP Switching、IPV6対応製品のほか、イントラネット関連製品が主となっている。これらの製品のレポートはインターネットウォッチを見ていただくとして、ここでは、個人ユーザーの立場から目についた製品をレポートしたい。

 なお、56kbpsモデムとルータも複数出展されていたが、モデムとルータについては、6月9日に法林氏にレポートしていただく予定なので、ここでは紹介していない。


U.S.ロボティクスなどでADSLモデムを参考出品
(U.S.ロボティクス、ビクター(販売元はソネット株式会社)、住友電工、ソリトンシステムズ)

 U.S.ロボティクス、ビクター、住友電工、ソリトンシステムほか、いくつかのブースでADSLモデムやADSLルータが参考出展されていた。ADSLとは、Asynchronous Digital Subscriber Lineの略で、原理的には、電話に用いられているメタルの2芯ケーブルは4kHz以下の可聴領域だけが用いられているが、これよりはるかに高い伝送能力を持っている点に着目、0~4KHzまでの領域を電話にあて、30KHz~1MHzまでの高周波帯域を使ってデジタル信号を伝送するもの。音声帯域を使用しないため、音声電話と高速通信を同時に従来の加入電話回線で行なえるのも特長として挙げられる。
 一般の加入電話回線を使用して高速のデータ通信が可能で、既存のインフラを活かせるためここ数年注目されている技術だ。ADSLでは上りと下りのデータ伝送速度を非対称とすることで、下りで最高9.2Mbps(ADSL2規格、メタル線が2~4km)の伝送が可能とされている。ただし、実際にはメタル線の距離や品質などさまざまな条件により伝送速度の上限が左右される。
 NTTのADSLの実証実験が5月30日に報道陣に公開されるなど、国内でも実験は始まっているが、伝送品質の保証がむずかしい、交換局からの距離が制限されるためすべての加入回線でサービスを提供するのが難しいなどの問題があり、導入することを決めたキャリアはまだない。

 展示されていた製品はいずれもイントラネット用で、NTTなどのキャリアがサービスを開始してくれない限り、個人ユーザーにはあまり利用するチャンスのない技術だ。しかし、NTTは最近ADSLに前向きな発言をするなどの動きがあり、光ファイバーまでのつなぎの技術として採用される可能性もある。キャリアの今後の対応が注目されるところだ。

U.S.ロボティクスで展示されていたADSLモデム。同社のアクセスサーバー用のADSLカードとADSLモデム2台で20万円。伝送速度は、上り2Mbps/下り8Mbps(米国での検証実験による)。 ビクターのブースでMPEG2リアルタイムエンコーダシステムの展示に使われていたAware社のADSLモデム。世界初の最適速度自動選択ADSL装置(Rate Adaptive ADSL)だという。伝送速度は上り768Kbps/下り8Mbpsで、32kbpsごとに自動速度選択する。扱いはソネット株式会社(Tel.03-3623-3901)。 住友電工のMega Bit Gear構内システムのADSLモデム。伝送速度は伝送距離2.7kmまでで上り640kbps/下り6Mbps、4.1kmまでで上り176kbps/下り6Mbps。 ソリトンシステムズのADSL IPルータ「Soliton2000」。価格は未定だが、20万前後になる見込み。出荷は7月下旬~8月ごろを予定している。複数のプロバイダーへの接続が可能で、伝送速度は上り1.08Mbps/下り2.5Mbps。なお、同社では近く、最高で下り6Mbpsまでをサポートした「Soliton6000」を発表する予定。


■IEEE1394準拠のカード「AHA-8940 1394 FireWire-to-PCI Host Adapter」 (アダプテック)

AHA-8940 AHA-8940   アダプテックでは、IEEE1394準拠のPCIカードを出展。最大データ転送速度は200Mbps。現在のところOEM出荷のみだが、IEEE1394の認知度が上がって需要が高まれば、一般に販売する予定だという。一般売りの価格、時期などは未定。
 ブース担当者によると、秋口には、AHA-8940をバンドルしたスキャナやプリンタ、AHA-8940を組み込んだPC本体などが出てくるだろう、とのこと。規格が決まってからなかなか製品が出てこなかったが、ようやくパソコン向けIEEE1394搭載デバイスが今年後半には店頭に並ぶようだ。

□「AHA-8940 1394 FireWire-to-PCI Host Adapter」製品情報(英文)
http://www.adaptec.com/serialio/8940summary.html


バスフィッシュ型NT用グラフィックカード(株式会社アスキー・ネットワーク・テクノロジー、参考出品)

なかなか凝っている「MEGA3」のパッケージ。 「MEGA3」ボード。アスキーNTの受付で聞いたら、「担当部署が半分趣味で作ったもので、製品化などはぜんぜん決まっていません」という。50枚こっきりの出荷という可能性もありそう?

 アスキーNTのブースで参考出品されていたWindows NT用の2D/3Dグラフィックカード「MEGA3」。魚の形にカットされたボードが目をひく(Bass型。たいやき型じゃないよ!との注意書きがあった)。基板のカットは国内ではやってくれるところがなかったため、中国で製造しているとのこと。ただし手作業になるので、とりあえず50枚を2カ月後くらいに出荷する予定という、超レアものだ。価格は未定だが、5万円程度を想定しているという。50枚を出荷したあとは、「普通の形で作るかもしれないし、また違うデザインで作るかも」とのことで、とりあえず50枚を出荷することしか決まっていないようだ。しかし50枚のために、ちゃんとパッケージまでデザインしてしまうあたり、凝り性なアスキーらしい。
 ドライバはWindows NT 3.51/4.0に対応しているが、壁に貼ってある紙には、「ひみつ」として、Windows 95、PCIバス搭載98でも動く(ただし保証外)とある。「ひみつ」はそれだけではなく、クロック(ボード右端)は挿してあるだけなので、換装もできると書いてあった。
 性能面だが、IBM VGAレジスタ互換、VESA SVGAサポート。6MBのSGRAMを搭載しており、1,280×1,024ドットで65,536色表示が可能。2Dでは世界最高機能(ただし3Dはエントリレベル)とのことで、ベンチマークやおもなグラフィックアクセラレータとの仕様比較も掲げてあったので、抜粋して以下に掲載する。

  アスキーNT
MEGA3
Matrox
MGA2
S3
Vision968
Memory Band Width 64 64 64
Memory Type SGRAM VRAM VRAM
Video Function ×
3D Function ×
WinBench96(*) 32 21 26
(*)CPUはPentium 133、256 Cacheで計測

◎連絡先:アスキー・ネットワーク・テクノロジー株式会社
     Tel.03-5350-0340

□アスキー・ネットワーク・テクノロジー株式会社ホームページ
http://www.ant.co.jp/


初のMacintosh用ATMアダプタ(丸紅エレクトロニクス、参考出品)

ATM adapter  PC/AT互換機用のATMアダプタはすでにいくつも出ているが、Macintosh用はこれが初の製品だという。丸紅はMacintoshを以前から扱っており、印刷所、出力センターなど、おもにMacintoshが利用されている企業でのATM導入のソリューションとして扱っていくという。iXMICRO社製で、価格および出荷時期は未定。


ボディカラーが5色揃った4ポートハブ(株式会社マク二カ)

Color HUB  株式会社マクニカのブースでは、ボディカラーが5色揃った10BASE-Tの4ポートハブを展示していた。標準価格は9,800円。ポートはPC接続用の4ポートとカスケード接続用の1ポートを装備(カスケードポート使用時はポート1は使用できない)、カスケード接続は4段まで可能だ。自宅で好きな色のハブを置くのもいいし、ポートは少ないが企業などで色分けして使ってもよさそうだ。

◎連絡先:株式会社マクニカ Tel.045-939-6155



('97/6/6)


[Reported by hiroe@impress.co.jp]


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