今回はCOMPUTEX TAIPEIの会場で見つけたいろいろな製品や様子のトピックスをお伝えしよう。
【インクジェットFAX】 |
一般的に普通紙出力のFAXというとレーザー方式になるけれども、それでは製造コストが高くなるため、なかなかパーソナル用には採用されていない。ならば、パソコン用の安いインクジェットプリンタを内蔵してしまえ、ということでできたのがコレらしい。形状は普通のFAXと変わらず、スキャンと出力の解像度は300dpi。価格は日本円でおよそ5万円近辺とのこと。
AverMediaは、おそらく世界初と思われるパラレルポート接続のリアルタイムMPEG1エンコーダー「Aver MPEG Wizard」をデモ。MPEGのリアルタイムエンコーダーと言えば、普通はISAやPCIバスを使ったパソコン内蔵用のボードを思い浮かべるけれども、これはパラレルポート接続の外づけタイプ。もちろんノートパソコンでの利用も可能だ。デモを見た限りでは、画質もそこそこよく、352×240ドットで30フレーム/秒の取り込みができる。音声についてもパソコン側のサウンド機能を利用することで記録が可能。
年末に出荷を開始し、価格は500ドル程度の見込み。手軽なMPEGエンコーダーとして期待できそうだ。
【Aver MPEG Wizard パネル】 | 【Aver MPEG Wizard】 | 【Aver MPEG Wizard デモ】 |
【Ultra ATAカード】 |
HDDのインターフェイスとして一般的に利用されているIDEも機能拡張と高速化がすすみ、最近ではUltra ATAという33MB/秒の高速データ転送が可能な規格も登場してきた。現状ではIntelやVIAなどの最新チップセットを搭載したパソコンでないと利用できないインターフェイスだが、PROMISEはチップセットに関係なくUltra ATAを利用できるPCIバス接続のカードを開発、COMPUTEXの会場でデモした。製品名は「ULTRA33/ULTRA ATA/IDE ACCELERATOR」。
パソコンの既存のIDE機能を無効にし、このカードを接続すればUltra ATAに対応した高速なHDDで高いパフォーマンスを引き出せるという。一つの手軽なアップグレードパスとして注目したい製品だ。
【ノートパソコン P6000】 |
【NetPC】 |
ASUSといえば、日本ではPC/AT互換機ユーザーにもっともよく知られた人気マザーボードメーカー。COMPUTEXではASUSは最新マザーボードやビデオカードをズラリ並べ、もちろん注目度は高い。しかし、このブースでもっとも驚かされたのは、最新マザーボードなどではなく、ASUSブランドのノートパソコンとNetPCがあったこと。
今まではマザーボードを中心に、ビデオカードやSCSIインターフェイスカードといったパソコンのパーツを供給していたASUSが、突然独自ブランドの完成体のパソコン製品を出展。担当者いわく、「競争が激しくてパーツだけやってても儲からないから」だとか。
そのノートパソコン「P6000」はハイスペックなもので、MMO形状のMMX Pentium 233MHzに対応し、DVD-ROMドライブ、13.3インチTFT液晶(解像度XGA)などを搭載。出荷時期や価格などは正式には未定とはいうものの、おそらく日本円では50~60万円くらいになるという。日本語化なども検討しているそうだ。
NetPCの方は、TX97-NというNLX形式のマザーボードを使用し、MMX Pentium 200MHz、16MBメモリ、ATI 3DRAGE LTビデオチップ、サウンド、LANインターフェイスを搭載(ほとんどHDDがないだけのパソコンとも言える)。これも正式には価格や出荷時期は未定。
うまくすると、ASUSブランドのパソコンが大量に出回ることになるのかも知れない。
CCDカメラを使ったテレビ会議システムのなんと多かったことか。どれもほとんど中身は同じで、VDOPhoneやInternetPhone、CUSeeMeといった既存のテレビ会議ソフトと、パラレルポート接続のCCDカメラのセットという構成。あまりの多さに、逆に関心が薄れてしまったほど。ちょっと変わったところでは、LeadTekのNetEyeのようにモデムとCCDを完全にセットトップボックス型にまとめ、パソコンを使わずTVに接続して使うスタンドアロンの製品もあった。Leadtekの担当者は「自分でも祖母との連絡用に使っているんだ」と言い、滞在先のホテル近くにあるパソコンショップでも実際に販売されているのを見かけた。台湾ではどういうわけかTV会議が大流行り中のようだ。
【PROTON NC】 | 【PROTON NC】 |
【NetPC】 | 【C3 GVC】 |
また、Oracleのパフォーマンスで話題のNCはPROTON、ACCTONが出展していた程度で、ほかは見つけることができなかった。NCに近いものとして、UNIXのX端末のような仕組みで動作するWindows Terminalもあるけれども、これもWYSEが展示していた程度で、しかもブースは閑古鳥が鳴く状態。NetPCはASUSとMITACがサンプルを展示、IntelがPentium IIベースのNetPCを展示したことで少し目を引いた程度。いずれにしても、あまり会場での注目度は高くなかったような印象を受けた。企業向けソリューションの展示となると、COMPUTEX TAIPEIの性格にはそもそも合わないという面もあるのだろうが。
('97/6/6)
[Reported by fumitake@impress.co.jp]