●マイクロソフトらしからぬ地味な演出のビル・ゲイツの基調講演
【ビル・ゲイツの基調講演/ MPEGムービー 6.1MB】 |
今回の基調講演はビル・ゲイツがビジョンを語るのではなく、COMPUTERWORLD誌のGary Beachが読者に変わってビル・ゲイツに質問を浴びせるという、一問一答形式であった。例年、マイクロソフトの基調講演は、きちんと編集されたビデオ、整理されたスライド、そして会場を沸かせる演出と、中身の濃淡はともかく一応見るものを飽きさせない工夫に飛んだものであったが、今年はとにかく地味。ビデオもNTによる大規模トランザクション処理の現場を紹介しただけで終わり、少々期待外れだった。
質問の内容も、パーソナルというよりはNTなどの業務向けが主で、マイクロソフトが今一番攻めたい領域が、エンタープライズであるということがひしひしと感じられる。NT 5.0に関しては、β版を秋にリリース、来年の全般には製品を出荷する予定。また、NT 5.0には、Active Directoryと呼ばれるディレクトリサービスが付き、それには公開鍵に基づくセキュリティ機能もあるとのことだ。
JavaやNCに関しては従来の主張を繰り返し、NCはPCとの互換性はもとより、NC間での互換性もないので「Not Compatible」の略だとの「いつものネタ」で少しだけ場内を沸かした。
結局、IE 4.0などのパーソナル環境の未来や、ActiveXやDCOMのセキュリティなどマイクロソフトにとって痛いところに関しては、何の質問も出ず、ビルゲイツが答えに窮する場面もない迫力に欠けた公開Q&Aで終わった。
ただ、Q&Aの中で、NTにはマイクロソフトの開発費の半分を投じると発言もあり、マイクロソフトはインターネット、イントラネットを含む、基幹業務分野でのNTのシェアを伸ばすことに今力点を置いているということだけははっきりとわかる基調講演であった。
なお、基調講演の全文がMicrosoftのホームページ上で公開されているので、詳細を知りたい人はこちらを参照してもらいたい。
□COMDEX/Springのホームページ
http://www.comdex.com/comdex/owa/event_home?v_event_id=26
□基調講演の全文
http://www.microsoft.com/BillGates/speeches/WindowsWorld'97/winworld.htm
[Reported by ken@impress.co.jp]