【イベント】

【COMDEX/Spring '97レポート】

山田久美夫の COMDEX Springデジタルフォトレポート

'97/6/2~5 開催(現地時間)
開催地:アトランタ

会場 会場 会場

 毎年恒例の“春コム”こと、「COMDEX Spring '97」。今年は同時期にCOMPTEX台北やらPC World Expoなどが重なることもあって、大物はナシ!といわれていたが、ことデジタルフォト関係については、結構楽しめるものとなっている。
 今回のCOMDEXでは、ついに正式発表された「Nikon・COOLPIX300」はもちろん、京セラ、リコーなどが発表直後の新製品を公開するなど、それなりに活発な動きを見せている。とはいえ、今回はCESが同時開催されているにも関わらず、ソニーも東芝もブースを構えていないので、「DSC-F2」の姿もないし、1月のCESで公開された東芝のCMOSカメラも見られないという、なんとも不思議な状況になっていることも確かだが。



●斬新なインターフェースで大注目のFlashPix対応ソフト
「MetaTools・Kai's Photo Soap」


Metatools  個人的に今回のショーでもっとも興味を持ったのは、デジタルカメラではなく、画像処理ソフトだった。なにしろ、'96年に発表されたデジタル画像の最新フォーマットである「FlashPix」を採用したソフトウエアが続々登場しているからだ。
 このFlashPixは、Kodak、Live Picture、HP、Microsoftなどが中心メンバーとなって開発された、新世代の標準画像フォーマット。最大の特徴は、画像データが階層構造になっており、オリジナルとその1/4、そのまた1/4という具合にさまざまな解像度のデータがあらかじめ用意されており、状況に応じて必要な解像度のデータだけを適時利用できるというスグレモノ。そのため、画像処理を行なうときも、モニター表示に必要な軽い解像度のデータだけで処理できるので、巨大な写真データでも瞬時に処理ができるという特徴がある。

 会場ではいくつかのブースで対応ソフトの姿を見ることができたが、そのなかで、もっともショッキングだったのがKai's Power Gooなどで有名な「MetaTools」が発表した「Kai's Photo Soap」だった(あとから気付いたけど、”Photo Soap”って発音によっては”PhotoShop”に聞こえるんですよね……)。
 このソフトは49.95ドルという低価格ソフトながら、通常の画像処理に必要な機能は十分すぎるほど備えており、しかも、インターフェイスが実にユニーク。写真で分かるように、モニター上をキャンバス付きの仮想デスクトップ(アトリエ?)に見立てた、いわゆる“Kai's”風。操作も実に人間的で、処理したい写真をセレクトするときも一覧表示の中から、キャンバス上にドラッグ&ドロップするだけでOKだし、処理したい写真をデスクトップに何枚もポンとおいておける(ちゃんと影付きでプリントがおいてある感じに見える)のがユニーク。  ツール類もPhotoshopのようにペンやブラシの機能を備えたカーソルではなく、ペンやブラシそのものをマウスで掴んで処理するので、実に感覚的な処理ができる。もちろん、処理に失敗したら、消しゴムで消せば元に戻るので部分的なUndoも容易にできる。
 また、色や階調の補正も写真のようなスライドバー式で、シャドーやハイライトなど特定の階調を処理したいときは(オーディオマニアには昔懐かしい?)グラフィックイコライザー風なので、実に分かりやすい。  もちろん、テキスト合成などもドラッグ&ドロップで自由自在だし、文字の色も先のグライコであとからいくらでも変えられる。また、カレンダーやポストカード用データも満載だ。

Photo Soap Photo Soap Photo Soap Photo Soap

 会場での人気もかなり高く、1時間くらいデモを見ていても、まったく飽きないほど、実に楽しく、そして猛烈に高速な処理ができるのがメリット。画像処理ソフトも最近はかなり親しみやすくなったとはいえ、ここまで日常感覚で扱えるソフトは珍しい。しかも、約50ドルとお手頃なだけに、もしかすると今後のパーソナル向けフォトレタッチソフトのスタンダードになる可能性が高い! また、この価格で1枚のCDにWindows用(MMX対応)とMac用の両方が収められているのも凄い。もちろん、私もその場で即購入してしまった!

 また、MetaToolsの隣には、FlashPixの開発元であるLive Pictureのブースがあり、'96年から発売されているFlashPix対応の人気ソフト「Live Picture」のデモを展開。AdobeのPhotoDeluxeと比較しながら、優位性を強くアピールしていた。

□MetaTools社のKai's Photo Soap製品情報ページ(英文)
http://www.metatools.com/soap/




●人気上昇中の80万画素・399ドル!の
超低価格CMOSカメラ「Vivicam3000」


 日本国内ではほとんど話題に上っていないが、'97年2月のPMAレポートでも紹介した、Vivitar社の399ドルの80万画素CMOS素子採用デジタルカメラ「Vivitar・Vivicam3000」が、ここアメリカではすでに販売されている。なにしろ、液晶モニターこそ無いものの、80万画素・CMOSセンサー・PCMCIAカード……と時代のトレンドを広く網羅していながらも、価格はたったの399ドル! というのは、かなり強烈。実は私も、すでに売ってるとは思わなかったのだが、こちらでは結構な人気を獲得しているという。

Vivitar社ブース Vivicam3000 Vivicam3000

 実写していないので確かなことはいえないが、会場でモニター上での画像を見る限り、80万画素という数字から連想するレベルの画質ではないし、色や階調の再現力もまだまだ物足りない感じがする。これは単純に、高画素でも比較的低価格化がしやすいといわれているCMOSセンサーを採用しているからというだけではないと思うが……(CMOSチップは話題の東芝製ではないとのこと)。ちなみに、画像の圧縮方式もJPEGではなく、より画質面で有利な特殊な方式を採用しているという。このVivitar社は、現在日本企業の傘下にあるので、この系列の製品が国内に登場する可能性もあるが、いくら低価格でも日本人が求めているデジタルカメラ像とは異なる面が多い(軽いけど大きいし、液晶もないし、造りもイマイチだし)。しかし、この延長上には、結構魅力的な世界がありそうな気もする……。とにかく、同社の今後の展開が注目される。

□Vivitar社ホームページ(英文)
http://www.vivitarcorp.com/
□Vivicam 2000/3000製品情報(英文)
http://www.vivitarcorp.com/pdf/VC3ss.pdf




●ついに正式発表された
「ニコン・COOLPIX300」


COOLPIX300 ニコンブース COOLPIX300

 日本国内では'96年の秋以来、まったくと言っていいほど姿を見せなかった「COOLPIX300」がようやく発表されたが、海外のイベントではすでにニコンブースのメインとなっている。本機はタッチパネル式の液晶付きモデルで、超薄型で、しかも画像にメモを加えたり、音声録音もOKというなかなか魅力的なもの。価格も699ドルとまずまずのレベルで、ブースでの人気は結構高かった。幅広サイズのボディも私の手には余るけど、アメリカ人が持つとちょうどいいサイズ。
 もちろん、基本的にはビジュアルメモという意味合いが強いモデルだが、携帯性は比較的いいし、絵作りも素直なので、パーソナル向けにも便利そうだ。残念ながら内蔵メモリ専用機だが、撮影枚数もノーマルモード(640×480ドット)で132枚と十分だし、シリアル転送のほか、SCSI転送もOKなのがうれしい。かなりの個性派モデルで、万人向けではないけれど、なかなか魅力的な存在として、注目される。




●比較サンプル画像まで公開した
「京セラ・DR-350」


YASHICA KC-600 京セラブース 比較サンプル

 京セラブースでは、アメリカで“YASHICA”ブランドで販売される「DR-350」(米でのモデル名 YASHICA KC-600)が展示されており、自由に触れることができた。なかでも注目されたのは、他社モデルとの実写比較サンプル。このようなサンプルは、日本ではほとんどお目にかかれないし、なによりも「DR-350」の実写画像がオフィシャルに公開されたのは初めて。サンプルを見る限り、ビジネスショーで展示されていたものよりも遥かに画質が向上しており、ビックリしてしまった(失礼!)。サンプルの撮影条件の設定があるにせよ、完全に無補正のデータでこのレベルなら、結構期待できそうだ。




●DC-3のカラーモデルに
人気が集中したリコーブース


DC-3カラーモデル  アメリカでも、高い人気を誇るリコーのDCシリーズ。今回はニューモデル「DC-3」を発表し、それと同時にビジネスショーで公開した同機のカラーモデルを展示していた。とにかく、保守的な一方で、個性的なモデルを好む国民性だけに、このカラーモデルの人気はかなりのもの。まだ初日なのでどのモデルが人気なのか分からないが、ブースの人の話では日本で人気が高かったメタリック系とはやや違っているという。参考出品とはいえ、DC-3そのものが認知される前にカラーモデルの方が印象が強くなってしまった感もあり、限定でもいいからぜひとも商品化しなければ収まらないだろうなあ~と思ってしまった。




●USB対応デジタル会議カメラも出品し
デジタルカメラ一色だったコダック


コダックブース スキャナー 会議用カメラ

 コダックは今回、先頃発表したUSBインターフェース採用の会議用カメラや、おそらく今回初登場のペーパーポート型スキャナーを出品。DC120やDC25とともに、デジタルイメージングのコダックというスタイルを強く印象づける展示・デモを行なっていたのが印象的。とくに、デジタルカメラへの力の入れようはかなりなもので、DC120なども高画質でしかも、999ドルというプライスを前面にアピール。




●カメラとスキャナーでDimageシリーズ展開したミノルタ
MP-EG1人形まで登場し、MPEGカメラをアピールする日立


 ミノルタは今回、ビジネスショーで参考出品したフィルムスキャナー「Dimage Scan Dual」を出品。デジタルカメラのDimageVとともにデジタルイメージングへの対応を強くアピールしていた。
 また、MPEGで気を吐く日立は今回、中に人が入った「MP-EG1」人形(?)まで使ってMPEGカメラをアピール。このあたりのパフォーマンスはいかにもアメリカのショーらしい!

Dimage Scan Dual ミノルタブース MP-EG1着ぐるみ 日立ブース




●超コンパクトなプリント&フィルムスキャナー「Genius・QuickPhoto」


QuickPhoto QuickPhoto QuickPhoto

 最後に超ユニークなスキャナーをひとつ。これまでスキャナーというと家庭用としては巨大過ぎるフラットベッド式が主流で、パーソナルで気軽に写真をスキャンするのに適当なモデルがなかなか見当たらなかった。だが今回発見したのがコレ。「Genius・QuickPhoto」は、4×6インチサイズのプリントはもちろん、スライドフィルムまでもスキャンできるという超コンパクトなプリント&フィルムスキャナー。解像度は200×400dpiと低めだが、実にコンパクトだし、一見CD-ROMドライブに見えるスタイルもユニーク。トレーに挟んでスキャンするタイプなので、上にものを載せることもできそう。これなら自宅にパソコンの横にあっても邪魔にならないし、結構便利そう。価格は自社ブランドなら199ドル、ぜひとも日本国内で販売して欲しい! 

('97/6/3)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp