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プロカメラマン山田久美夫の


九州松下 「COOLSHOT」 ミニレポート

- 太陽の下で軽快に撮ろう! COOL“ちょっと”-


COOL SHOT COOL SHOT  2月に発表された九州松下の「COOLSHOT」の製品版がようやく入手できた。先にベータ版が届いていたのだが、製品版で画質向上が図られたため、あえてベータ版レポートを省き、製品版でのレポートをお届けしよう!


花  本機は薄型で縦型デザインの小型軽量機で、ファインダーは光学式がメインの35万画素・補色系CCDモデルだ。もちろん、いまやPiconaやCOOLSHOT2といった液晶付きの超小型モデルが登場しているので、目立ってコンパクトには見えないかもしれないが、実物を手にしてみると、その薄さにはやはり驚く。縦方向は同じ縦型のPiconaよりも長いが、より軽量なこともあって胸ポケットに入れておいても、ほとんど気にならないレベルになっている(もちろん、高さがあるから、胸ポケットから顔を覗かせるけどね)。



壁  発表時のものに比較すると、細部はかなり改良されている。とくに、操作系の改良は結構なレイアウト変更がなされているなど、発表段階まで来たモデルから、比較的短期間によくこれだけ改良したなあ~というのが正直な感想だ。もちろん、発表時に比較すると誤操作をする可能性はかなり減っている。

 操作感は比較的良好だ。とくに、Piconaで気になったシャッターボタンの位置が、もっとも自然なレンズ下にあり、通常通りに人差し指で押せる点は好ましい。また、ピント合わせも、3段切り替え式になっているが、誤動作を防ぐために、突起が付加されている点も親切だ(発表時にはなかった)。とくに本機の場合、液晶モニターがオプションで、大きくて高価なことから、光学ファインダーでの使用がメインになるため、この配慮はうれしい。



日差し  モードは機能表示用の液晶にアイコンで表示されるが、これがやや分かりにくく、慣れないとどのモードなのか想像が付きにくい点は結構気になった。

 ファインダーはポップアップ式の光学式がメイン。見やすさはまずまずといったところで、実用性からいえば十分だがもう少し枠が見やすく、クリアなものを望みたい。

 また、今回はオプションの液晶モニターも時折装着して使ってみたが、さすがに高価なだけあって、TFT式液晶もなかなか見やすく好感が持てた。また、別電源になっているので、液晶が使えなくなっても、本体は正常に作動するので、撮影はきちんとできる点もいい。しかし、一緒に持ち歩くにはやはり大きすぎるし、液晶部が本体に当たって、液晶の周囲に擦りキズが付きやすいのも気になる(液晶表示部ではないのがせめてもの救いだけど……)。



廊下その1  使用感はなかなか軽快。とにかく、画像の記録時間が約1秒弱と短く(現時点のデジカメでは最速)、気軽にスナップできる点がいい。実際に子供のスナップなどを撮るには実に便利で、2MBのコンパクトフラッシュカード1枚(ファインモードで24枚)があっという間に無くなるほど。これは液晶ファインダー機と違って、撮影後にいちいち液晶を見ないため、逆に撮ることに集中できることもあるし、どんな風に写っているかという不安感もあって、やたら枚数を撮ってしまうわけだ(もっとも、ほぼ同時期に記録速度が遅い「COOLSHOT2」を並行して使っていたこともあるが……)。

 電源は単4形4本。今回はアルカリ(金パナ)を使ったが、結構テレビ再生をして楽しんでしまったので、撮影枚数としては100枚程度にとどまった。しかし、テレビ再生をしなければ、軽くこの数倍は持ちそうなので、通常は電池の消耗をさほど気にせずに使えることだろう。



壁その2  さて、もっとも気になる写りだが、これには若干の疑問符がある。まず、製品版はベータ版モデルに比べ、ハイライトの白飛びがかなり少なくなっている。これは大いに歓迎すべき傾向だと思う。なにしろ、白飛びしてしまったら、データが全くないわけだから、あとで画像処理しようにも、処置のしようがないわけだ。

 しかし、今回もっとも気になったのは、色の再現性といえる。まず、晴天下で撮影したカットを見ると、クラス最良レベルとはいえないものの、補色系CCDを採用したモデルとしては、比較的きれいな色再現をする。子供の肌色もなかなか自然だ。また、左の写真のように完全なタングステン光での撮影でも、なかなか自然な色再現をしている。



廊下その2  だが、曇天や蛍光灯下でのカットを見ると、クリアさが無く、かなり濁った印象を受ける。これは気になるレベルだ。そこで液晶モニターを装着して撮影してみると、光源によってカラーバランスが段階的に変わるのが確認できた。つまり本機は、オートホワイトバランスなのだが、それがリニアではなく、いくつかの光源でのカラーバランスが登録されていて、それをカメラが感知して“切り替える”方式のようだ。そのため、予め用意されている光源環境に適合しないシーンでは、それに近いカラーバランスが適用されるため、多くの他機種のように曇天や蛍光灯下などでは、的確な補正がおこなわれていないことが、液晶モニターの表示結果から予想される。もちろん、本機はベースが液晶ナシでの仕様なので、ホワイトバランスがきちんと補正されたかどうか確認のしよがないし、スイッチをONしてすぐにスナップ撮影したときなどに、色が不安定になるのを防ぐのが目的のようだ。しかし、結果を見ると、必ずしも色再現が芳しくないカットもあり、このあたりはぜひとも改良して欲しいところだ。もっとも、晴れた日やタングステン光下などでは、きれいな発色をするので、条件を選んで撮れば問題はないのかもしれないが……。

 また、条件によって、色ムラのようなノイズが見られるケースもあり、このあたりも気になる。



高架道路  ポケッタブルサイズで携帯性も良く、4,9800円と安価で、しかもPCMCIAカードアダプター付き。また、本体のみでビデオ出力ができるので、テレビ画面で画像を楽しんだり、簡易動画カメラとしても使えそうな点。さらに、記録速度が速く軽快に撮影できるうえ、電池の持ちがいい点も大いに魅力的だ。しかし、写りに関してはまだ改良の余地がある点は残念。また、専用の一体型液晶モニターが高価なのも気になる。

 まあ、ワンパターンといわれそうだが、恒例の“SHOT”付きモデル同様本機もあえて、スタイルと使い勝手がCOOLだけど、画質がいまひとつな“COOLちょっと”と命名させていただきたい。ガンバレ九州松下!




【サンプル画像】

●晴天時(昼光下)で撮影

ビルその2

ビルその1

プランタ

子どもその1

【480×640pixel】 【480×640pixel】 【480×640pixel】 【480×640pixel】





●曇天などの悪条件下で撮影

車

子供

【曇天】 【ミックス光】
(蛍光灯+タングステン光)


子供

夜景

【曇天】 【夜景】




□九州松下株式会社のホームページ
http://media.mei.co.jp:8002/
□ニュースリリース
http://media.mei.co.jp:8002/saga/japanese/camera.htm

□関連記事
【2/14】松下、厚さ21mm、約140gの超小型デジタルスチルカメラCOOLSHOTを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970214/matu.htm
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■注意■

('97/4/17)

[Reported by 山田 久美夫 ]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp