日本オラクル株式会社主催の「オラクルオープンワールド 1997」が、16日、東京ビッグサイトで開幕した。
米Oracle社会長兼CEO ローレンス・エリスンによる基調講演は東3ホールで行われ、満員の盛況だった。盛大なスモークとともに登場したエリスンは、「コンピュータの誕生以来、16年おきに大きなパラダイムシフトが起こる。前回はPCの登場であったが、今回はNCの登場である」とし、「NCであれば、1台のサーバーと5クライアントのシステムで5千ドル以下で導入可能である」と導入コストの低さを強調した。また、「NCは操作が簡単で、管理コストも低廉である」との主張も繰り返した。
また、「NCのシステムは、オープンな標準規格に準拠したシステムであり、ひとつの会社、ひとりの個人に所有されたシステムではない」と暗にマイクロソフトのシステムを非難し、「マイクロソフトは、NetPC、Windows CE、Windows Terminal、Web TVと4つの異なるNCをもっており、最大のNCのメーカーである」と皮肉ってみせた。
引き続き、ステージ上でNCとNCサーバーを手ずからセッティングし、Webブラウンジング、動画つきメール送受信、Windows NTのターミナルエミュレーションによるWindowsアプリケーションの実行(正確にはNC側はユーザーインタフェースのみ)などをデモンストレーションした。株価が表示されたページを見ながら、「おや、アップルの株価が下がってますね。買い時かね」と笑いを誘うなど、軽妙で熱心なデモンストレーションだったが、長時間に渡ったため途中で退席する聴衆も目立った。
講演では「ほとんどのPCはNCクライアントソフトを走らせることができ、UNIXとWindows NTサーバーはNCサーバーソフトを走らせることができる」、「インテル用のNCクライアントは、MMX対応Pentiumに対応しており、ハードウェアの性能を生かすことができる」などの発言もあり、従来のPCをNCクライアントとして使う方向が強く感じられた。
また、家庭でのNCの使用のデモの際に、従来のスマートカード(メモリカード)以外に、システムとアプリケーションの一部をCD-ROMの形で提供していた。これは、従来のNCのアーキテクチャーから一歩踏み出した、新しい試みであり、PCとの関係の変化とともに、NC戦略が変化しつつあることが感じられた。
なお、引き続き行われた記者会見の席で、今後のNC戦略につき「当面は、通信コストのかからないLANをターゲットして企業市場をねらう。2,000年には年間1億台のNCが売られ、PCは大きな影響を受けるだろう」と自信を見せた。日本市場については、同席した日本オラクルの佐野社長が「現在30社のパートナーを得ており、6月までにこれを50社に増やすとともに、大企業、官公庁などを対象に導入を始める。そのころまでには日本語化も完了する」と述べた。
なお、展示会場では、約千台(オラクルによる)のNCが展示されており、これほど多くのNCが実働しているのは初めてである。かなり大きなNC体験コーナーも設けられており、インストールされたいたNetscape Navigatorによるブラウジングは快適な速度で動作していた。このコーナーも含めて実働しているNCのほとんどが船井電機の製品であった。
なお、オラクルオープンワールドは17日まで開催される。
□日本オラクル株式会社のホームページ
http://www.oracle.co.jp/
□オラクル・オープンワールド 1997のホームページ
http://www.oracle.co.jp/oow/jp97/index.html
('97/4/16)
[Reported by date@impress.co.jp]