【業界動向】

売り上げも利益も伸びている
今年も大型店を積極展開

ソフマップ、資本参加、出荷停止などの噂を完全否定


 先々週から、大手小売り業者のソフマップに対して、「メーカーから出荷が止められている」「給与の遅配が起こっている」「卸売り業者が資本参加する」などの噂が業界内に広く流れています。

 編集部では、その真偽をたしかめるために、インタビューを行ないました。インタビューは4日に、東京秋葉原のソフマップ本社で行なわれ、社長室広報部の伴野部長から回答をいただきました。


■事実無根である
PC Watch(以下PCW):御社に対して、“複数のメーカーが出荷を停止している”、“資金繰りにつまり、卸売り業者が資本参加する”などの噂が強く流れています。編集部にも出版、広告、流通などばらばらのルートから同様な情報が寄せられているので、その真偽を伺いにきました。

ソフマップ 社長室広報部 伴野部長(以下ソフマップ):
 うちにも、先週からいろいろな情報が入っています。ほとんどは幼稚な内容で、“従業員の給与が遅配している”とかそういうたぐいですね。従業員が千人を越えるような会社で、そんなことをしたらたいへんなことで、簡単に事実確認ができることなんですけどね。

PCW:売り上げ不振で他社から資本が入るという噂もありますが

ソフマップ:聞いています。まったくありえないことですね。今日も、自宅に3人から電話をもらって、ソフトハウス、ハードメーカー……、そんなところまで、まるで業界中に誰かが一斉にFAXを送ったんじゃないかというぐらい、まんべんなく伝わっていますね。

PCW:今回の噂については、嘘であり、完全に否定されるということですね。たとえば、記事の見出しとして“事実無根と強硬に否定”という見出しをつけてもよろしいんですね?

ソフマップ:全然、かまわないですよ。

PCW:メーカーからの出荷停止ということは全くない。他の資本がソフマップさんにはいるということは当面、計画もないと。

ソフマップ:全然ないです。社長室のすぐそばにおりますので、そういう話があれば必ず入ってきます。出荷停止についていえば、実際に店頭に全部並んでますから。

■売り上げも利益も伸びている
PCW:去年の夏ぐらいからいろいろな会社が倒れたことや、年末商戦が思ったよりよくなかったという情報から、今回のような話が出てきたと思うんですが、最近の業績についてストレートなところをお話いただけませんか。

ソフマップ:たとえば、'96年末については、どこもそうだと思いますが、'95年末のWindows 95のときにくらべれば少し落ちてます。
 ただ、通年でいうと、'95年は1,009億の売り上げに対して、'96年は1,250億の売り上げがあります。うちは、2月末の締めですから今年の分はまだ確定ではありませんが。

PCW:売り上げが伸びているということですが、他店で聞いても利幅が確保できないという話がありますが、利益はどうでしょう。

ソフマップ:経常利益は昨年の50%アップの見込みです。まだ最終的ではありませんが、今の予測でいうとそれぐらい。

PCW:では、利幅はキープできていると。

ソフマップ:そうですね。目標はもっとたかいですけど。

PCW:いま、本体だけだとつらいと聞くのですが、それは本当ですか?

ソフマップ:それは事実でしょう。本体の利幅は4~5%ぐらいなので、厳しいです。利幅でいえば周辺機器になりますね。これはどこでも一緒でしょう。あと、我々が得意とする中古があります。

■中古は活況、3割近い
PCW:中古がいいというのはちょっと意外なんですけど、具体的には

ソフマップ:売上高の全体でいうと3割ぐらいですね。2割の後半から3割というところでしょう。中古っていうのは、意外と見えないんですね。中古ってデータもなにもないですから。

PCW:実績からしても活況だと?

ソフマップ:屋台骨ですから。

■インターネット通販は月5,000万の売り上げ
PCW:さきほど、ちょっとインターネットの話がでましたが

ソフマップ:うちの場合は、インターネットについても他の大型店とはちがって、営業が力をつけていますので、いいですよ。

PCW:具体的には?

ソフマップ:インターネット通販で月5,000万ぐらいの規模です。

PCW:それは大きいですね。

ソフマップ:エレクトロニックコマースについていえば、自分たちの力でどんどん進めていかなければと思っています。結局、他と手を組んでも進まないですからね。

■今後は大型店中心の展開
PCW:話は変わるのですが、秋葉原などでいくつかショップを閉めていらっしゃいますよね。

ソフマップ:'96年からGIGA STOREという大型店を積極的に出展する方向で基本的には考えています。いつまでも採算の合わない店舗に対しては撤退して、採算の合うところだけ存続していく。ある意味、スクラップ・アンド・ビルトですね。

PCW:具体的にはどのような展開ですか?

ソフマップ:'96年は新しい店が6店舗、リニューアルが3店舗です。新しい6店舗のうち、神戸、横浜、仙台、大宮がGIGA STOREです。今年、新潟にもGIGA STOREを出し、3月下旬には町田にもGIGA STOREを出します。会社がヤバい状態だったら、こんな積極的な店舗展開はできませんよ。

PCW:すでに開店されたところについての状況はどうですか?

ソフマップ:予想通りですね。ただ、新潟などについては思ったよりもインターネットやパソコンが浸透していないというのはあります。

PCW:首都圏の方がいいと

ソフマップ:神戸、横浜はほぼ首都圏的な動きですね。神戸なんか一太郎7が出たときには、あの辺一体の4割ぐらいのシェアが取れました。

PCW:それは大阪ではなく、神戸一帯でということですか?

ソフマップ:そうです。

PCW:大型店舗にシフトされるというお話ですが、秋葉原や日本橋のような小型店舗は整理して統合するということですか?

ソフマップ:そうしたいのですが、(大きなフロアの取れる)ビルがないので、しょうがないかなというところはあります。仮に100坪もないようなところだと、とてもではないが厳しいですね。

PCW:100坪がひとつのラインですか?

ソフマップ:我々としては、店を作るラインは300坪です。

PCW:では、これから出てくるソフマップは、ほとんど大きいところだと

ソフマップ:小さいところは、まず出しません。

PCW:場所は地方が中心ですか?

ソフマップ:基本的には100万都市ですね。赤を出してまで、市場を先読みして店を出すつもりはありません。

■GIGA STOREと秋葉原・日本橋は異なる市場だ
PCW:GIGA STOREはどちらかといういえば、初心者向けの店づくりですね。昔のソフマップさんのイメージは、割とマニアックなイメージだったんですけど、それは変わりつつあるということですね。シカゴ店の開店以降、そういう印象はあったのですが。

ソフマップ:我々が悩みつつあるのは、おそらくパワーユーザーの方にはそういう風に感じられるところがあると思うんですよ。ただ、パソコンの市場というものがだんだん初心者の方へ移っているので、そのへんでどういう色を出していくのか、いつまでもマニア層を追っていていいのかという一方で、初心者層もそれなりの手間をかけなければならない。どちらも捨てられない。いま、非常に中途半端な時期ですね。
 ただ、完全にマニアの店にすると、マニアしか相手にしてくれなくなる。初心者は入っていけない。ですからジャンクなどは扱うのは難しくなる。GIGA STOREはかなり初心者向けですね。
 GIGA STOREと秋葉原や日本橋とは違うと思うんですよ。秋葉原にファミリーユーザーがパソコンを買いに来るかというと、あまりないですよ。

PCW:ないですか? 比率は落ちると思いますけど。

ソフマップ:マニアか、パソコンをよくわかってらっしゃる方、当然、初心者の方もいらっしゃいますが、比率からいえば低いですね。昔に比べれば増えましたけれど。

PCW:売り上げの中では、秋葉原、日本橋とGIGA STOREとの比率ってどれぐらいですか

ソフマップ:売り上げでいえば、約7割ぐらいいっちゃいますね。店舗数でいうと、全部で35店舗あるうちで、秋葉原に14店舗、日本橋が10店舗ですね。毎日秋葉原に通っていて、会社から帰るときに見ると、ソフマップの袋を持っているお客さまは多いんですよ。うれしいですよね。お客さんの声っていうは大事にしなければいけないと思ってます。

PCW:なにもジャンクを売れというのではなくて、なにかちょっとピリッとしたスピリッツがあらわれているところが、ひとつのコーナーでいいからあるとうれしいんですけどね。それが表に出過ぎちゃって、全部が香辛料になると大きなお店を支え切れないというのもわかるのですが。
 今回のような噂が出たときに、マニア層はソフマップに足を運ばなくなっちゃてるんで、“そういえば、最近行ってないよね、だめなのかー”と相づちが打てちゃうんですね。

ソフマップ:そのへんは考えなくちゃいけないと思っています。数人の方から同じことを言われるっていうことは、その裏には何千何万の人が同じことを感じていることだと思いますから。


[Reported by date@impress.co.jp]


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