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デモも披露、最高53.6kbps

ロックウェル、K56Plus技術のサポート体制を発表
―会場で56kbps接続をデモ―

記者会見会場
'97/1/24 記者会見開催


 ロックウェル・インターナショナル・ジャパン株式会社(以下ロックウェル)は1月24日、K56Plus技術の日本市場におけるサポート体制を整備したことを発表。この記者会見にはマイクロコム株式会社、アセンドコミュニケーションズジャパン株式会社(以下アセンド)も出席し、ロックウェルのK56Plus技術をサポートしたルータ用のモデムカードや集合モデムの製品出荷時期について発表した。

●K56Plus技術とは
K56Plusの接続図
 アナログ回線で56kbpsを実現するK56Plus技術では、これまで接続クライアントとNTT、NTTとインターネットプロバイダ間のふたつのパスがアナログ接続になっていたのを、NTTとインターネットプロバイダ間をデジタル回線(INS1500)を利用してその間をデジタルのままデータを転送する。従来アナログのパスがふたつだったものをひとつに減らすことにより、アナログでは限界と言われていた33.6kbpsを超える、56kbpsの転送レートを実現する。U.S.Robotics社の提唱するx2 Technologyも、この原理は同じだ。
 また、WWWを中心としたインターネットの利用では、クライアント(ユーザー)側では送信データより受信データのほうがはるかに多いため、下り56kbps、上り30kbpsという非対称な転送レートになっている。

●国内でK56Plusチップセットを採用するメーカー
 記者会見でロックウェルは、ここ2週間程度の交渉で、プロバイダー25社、通信機器メーカー15社が同社のK56Plus技術のサポートを決めたことを明らかにした。通信機器メーカーのうち、クライアントモデムではマイクロコム、サン電子、TDK、シャープ、日本電気、富士通、松下などがK56Plusチップセットを採用。また、サーバーモデムではアセンドコミュニケーションズ、日本シスコシステムズ、マイクロコムが採用する。ロックウェルでは、今後の交渉により、この数はさらに増える見込みであるとしている。

●アセンドの採用により、USRのx2より優位な立場に
 なお、アセンドは本誌の取材に対し、U.S.Robotics社のDSPチップを採用したx2 Technologyには対応しないことが決定していることを明らかにした。ロックウェルのK56Plusを採用した機器と、U.S.Robotics社のx2 Technologyを採用した機器では、アナログのパスをひとつ減らして高速化するという根本原理は同じではあるが、相互接続性が保証されていない。そのため、プロバイダーのサーバーシステムで圧倒的なシェアを誇るアセンドがロックウェルのK56Plusのみを採用することにより、クライアント用モデムのインストールベースでも勝るロックウェルのK56Plus技術はx2 Technologyに対して、スタート前から優位な立場にあるといってよいだろう。

●56kbpsモデム標準化の見通し
 またロックウェル社は、今後の標準化についての説明も合わせて行なった。同社では'96年末に米AT&T社の関連会社である米Lucent Technologies社と、互いの56kbps技術の相互接続性を保証することで合意、両社はK56flexというプロトコルを採用する。56kbpsモデムの標準化については、US/カナダの標準規格を決めるTIAでは制定の目標を'97年8月としており、国際標準規格を決めるITUでは、早くても標準化制定は'98年半ばになる予定であるという。このように標準化には時間がかかるため、ロックウェル社では「K56flexをインダストリアルの標準にしたい」という表現で、かつてのV.FCのように、K56flexプロトコルを標準化制定までの事実上の標準にする狙いを明らかにした。

●K56Plusモデムチップ搭載のコンシューマー用モデムの発売は夏以後の見込み
 アセンドは、K56Plusモデムチップを採用したMAXシリーズ用のモデムカードを'97年第2四半期には本格出荷する予定であることを発表。マイクロコムも、集合モデム用のK56Plusモデムチップ搭載製品を'97年第2四半期に出荷予定であることを発表した。
 気になるコンシューマー製品の発売時期については、ロックウェルによると、K56Plusチップセットはプロトタイプから3ヶ月で量産体制を引くことが可能であり、コンシューマー向けの製品が店頭に並ぶのは、早ければ夏ごろになる見通しであるという。また、価格については、これまでのモデム同様に、発売当初は高くても、しばらくすれば1万円台まで下がるだろうという。

●28.8kbps、33.6kbpsからのアップグレードはハード交換になる
 ロックウェル社のチップを採用した28.8/33.6kbpsモデムからのアップグレードは、ソフトウェアアップグレードはできず、チップセットなどのハード交換の必要があることも質疑応答で明らかになった。この点、U.S.Robotics社のx2 TechnologyではDSPチップを採用しているため、56kbpsへのアップグレードはソフトウェアで可能としており、これは、U.S.Robotics社のx2 Technologyのアドバンテージといえるだろう。
 またロックウェルは、標準化制定後、K56flexプロトコル対応モデムからはソフトウェアでアップグレードする予定であるとしている。しかし、かつてのV.FCモデムのときに結局買い替えたユーザーが多かったように、標準化前の製品を買う場合は、買い換えはいちおう覚悟しておいたほうがよいだろう。

●K56Plusモデムのデモンストレーションでは最高53.6kbps
 記者会見終了後、ロックウェルはK56Plusチップセットを搭載したモデムでの接続デモを披露した。AdobeのホームページにあるPDFファイルをftp転送したところ、最高6.7KB/secという結果が出た。デモ中の転送レートは4.0~6.7KB/secの幅があり、V.42bisの圧縮プロトコルも入っていることを考えても、これまでのモデムでは出なかった数値であることは間違いない。ちなみに28.8kbpsモデムでのftpは、2.8~3.0KB/sec程度なので、最高値では、その倍以上のパフォーマンスが出ていることになる。
 発表ばかりが先行してなかなか実物が出てこない56kbpsモデムについては、ほんとうに宣伝通りのパフォーマンスが出るかが話題になっていただけに、このデモにより、これまでのモデムをはるかに超えるパフォーマンスが出ることを示したことの意味は大きい。

□ロックウェル・インターナショナル・ジャパン(株)ホームページ
http://www.tokyo.rockwell.com/jp/index-j.html
□米Rockwell社のホームページ
http://www.rockwell.com/

('97/1/24)

[Reported by hiroe@impress.co.jp]


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