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俺が思うに、人間が生まれながらにして持つ欲求は三つあり、それぞれ日光浴・海水浴・森林浴だと思えるとかって新年早々くだらないことばかり考えている俺でありごめんなさい。で、まあ、よく言われる人間の欲求とは関係ないのだが、俺の場合、どうしてもスタンプやハンコの類に対する物欲を禁じ得ない。
例えば文房具店に行くとどうしても新しいシャチハタの名字のハンコが欲しくなってしまい、さらに“極秘”とか“領収済”とか“COPY”とか“ORIGINAL”とか“DRAFT”とかいう業務用スタンプも欲しくなってしまい、最終的には主に女子学生向けに売られているクマさんスタンプとかお花模様スタンプとかハートマークスタンプなどまで欲しくなってしまうのだ。それから、これと同じように、シールの類も欲しくなってしまう。俺のスタンプやシールに対する物欲は、科学が進歩した現代においても説明不可能だと言われているので、「なぜ欲しいのか」についての解説は割愛せざるを得ない。ともかく、いいトシしながらいつでもスタンプやシールが欲しくなっちゃう俺なのである。
で、いつかはこのとめどなく溢れでてくるシール・スタンプ欲に終止符を打つべく、カシオQV-10用シールプリンタやカシオカラーネームランド+パソコン接続キットなどをいろいろ試し(PC Watchバックナンバー参照)、随分な散財をした挙げ句、結局は三菱の昇華型プリンタ「ぱそらぼ」を購入し、パソコンに撮り込める画像なら何でもシールにできる状態に至り、無事シールへの物欲を完結させることができた。
スタンプ欲の方は、最初はシャチハタのネームスタンプや特殊用途向けXスタンパーで満たしていたのも束の間、すぐにオリジナルスタンプへの欲望が目覚めてしまい、俺は自作スタンプへの道を歩み始めたのであった。あ、なんか見出しの“人間の三大欲求”とは全然まったく完全に違った内容になってしまってすいません。
次に試したのが、カシオのネームランドのスタンプキットだ。カシオのネームランドはラベルライターだが、このキットを使うとラベルのかわりにスタンプを作れる。具体的には、ネームランドでスタンプ用のラベル(というかテープ)に内容を印刷し、それをスタンプキットに装着して、スタンプ化するというもの。ネームランドで作れるラベルなら何でもスタンプ化できる。ネームランドのパソコン接続キットを使えば、パソコンで作った文字や図案をそのままスタンプにできるようになる。が、スタンプとしての性能というか印字精度は、前述のたいこバンよりかなり劣った。
どちらの製品も、俺にとってはいまひとつ物足りないスタンプ作成装置であった。たいこバンではなかなかシッカリしたスタンプを作れるが、書体や図案が限られてオリジナリティーにやや欠ける。ネームランドならパソコンで作った画像などをスタンプ化できるが、スタンプそのものの精細度がどうもナンなのだ。くわッ!! 両方とも購入したのに両方とも満足できないとは!! ズシャアァァ!! ズギャアァァァッ!! と苦悩していたところへ真打登場。ブラザー工業株式会社のP-touchスタンプクリエーターSC-200PCだ。俺はこの製品を使い、俺のスタンプ欲を完全に満たすことができた。
スタンプクリエーターは1995年に作られた世界初のスタンドアロンタイプの電子式スタンプ作成機、なのだそうだ。本体のキーボードで文字を入力・編集し、専用スタンプを挿すと、数十秒でその内容のスタンプができあがる。しくみは、特殊なコーティングがなされたインクパッドの表面をサーマルヘッドで熱溶解してスタンプ化するもので、インク内蔵型のシルクスクリーン印刷のような感じのスタンプができる。だが、当初これは英語モデルだけしかなく、作れるスタンプも英文字のスタンプだけだった。
しかし昨年新たに発売されたSC-200PCは、パソコンと接続できるようになり、プリンタ感覚で使えるようになった。なので、パソコン上で扱えるグラフィックや文字なら全てスタンプにすることができる。つまり、パソコンを使って自由自在にオリジナルスタンプが作れちゃうとてもイカシた装置なのだコレは。ハッキリ言って、これはオリジナルスタンプ作成装置の決定版である。
それから、SC-200PC用のスタンプのサイズは3種類で、サイズ10がスタンプ面30×9mm、サイズ30がスタンプ面70×9mm、サイズ40がスタンプ面70×27mm(各サイズに黒・赤・青の3種類のインク色が用意されている)。
で、パソコンとSC-200PCを接続し、パソコンにソフトをインストールし、パソコンでスタンプをデザインし、SC-200PCにスタンプを挿して印刷(スタンプ作成)すると、オリジナルスタンプができる。出来上がったスタンプは2000回押せるインク内蔵スタンプだ(インクの補充はできない)。
SC-200PCを使ってのスタンプ作りの具体的な手順は以下のとおり。
1.パソコン上でスタンプをデザインする
Windowsなら本体付属のエディタを使い、Macintoshなら適当なグラフィックソフトを使ってスタンプの内容(ビットマップデータ)を作る(データの縦横の大きさは使うスタンプに合わせ、DPI値は180dpiにする)。
2.SC-200PCをインターフェースモードにする。
SC-200PC本体のキーボードで[CODE]+[I/F]を押し、パソコンからのデータ受信待機状態にする。
3.SC-200PCに未使用のスタンプを挿入する。
スタンプを挿入すればスタンプが刷られ、ラベル装着用カセットを挿せばスタンプの試し刷り(これはスタンプの背面に貼るラベルにもなる)ができる。
4.スタンプが完成して喜ぶ
5.できたスタンプをとりあえず押しまくってさらに喜ぶ
6.できたスタンプを会社や学校に持って行って見せびらかす
7.1~6の手順を繰り返してスタンプ野郎と化す
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この装置を使うと、例えばこのようなスタンプをジャカスカ作れる。ここでは、元になったビットマップ画像と、それで作ったスタンプをメモ用紙にペタッと押したものを載せておく。
けっこう細かい文字や図案までハッキリスタンプ化できている。例えば1ドット分の線をスタンプ化しても、ちゃんと再現してくれるのには驚く。他社のスタンプ作成装置では、ここまで精細なスタンプは作ることができないし、また、無理やり作ろうとすると滲んだり潰れたりしてしまう。ブラザー工業株式会社の技術者の努力とこだわりがうかがわれるところだ。
で、この装置、税別で54,800円する。それから、スタンプはサイズ10(30×9mm)が1,000円、サイズ30(70×9mm)が1,500円、サイズ40(70×27mm)が1,800円する。例えば「いちばん大きいスタンプを2つばかり作ろうかな~」と言ってこの装置に手を出すと、本体(サイズ30のスタンプがひとつ付属する)+サイズ30のスタンプひとつで、ななななんとスタンプいっこ28,300円(税別)のコストがかかってしまって悲惨だ。だが、「オリジナルスタンプを作って作ってつくりまくるゼ~ッ」という人がこの装置に手を出すと、スタンプいっこのコストは限りなくスタンプいっこの価格に近付くのでかなりオトクですよ奥さんと言えそうだ。
だって、印鑑専門店とかでスタンプ作ってもらうといっこ数千円から数万円するし、デザインも平々凡々あるいはダサイのしかできないし、時間もかかるのである。だから例えば企業やオフィスなどでスタンプを作ったり、スタンプマニアの俺が使うには、この装置はかなり良いのではないだろうか、と。
それから、商売にも使えると思う。商売というのはつまり、スタンプ自体を作って売る商売だ。ハッキリ言って、SC-200PCで作れるスタンプはそんじょそこらのゴム印よりずっと高精度というかスタンプとしてのデキがいい。まあビットマップ画像を元にしたインク内蔵・補充不能型の2000回しか押せない(というか2000回も押せる)スタンプだから、社印とか実印なんかにはならないが、それ以外の用途を考えたら実に需要が高いような気がする。
まあ商売云々の話はさておき、そんなコトまでマジメに考えてしまうような優れた製品なのだコレは。ぜひ皆さんもコレを購入して連日連夜オリジナルスタンプを作って楽しんでいただきたい。
[Text by スタパ齋藤]