【特別企画】
【1997年新春特別企画】
山田久美夫氏インタビュー
「1997年、デジタルカメラは100万画素の世界になる」
●デジタルカメラに足りないもの
編:「銀塩カメラと違って、デジタルカメラはバッテリーの問題もありますね。」
山:「結局、液晶モニターをファインダーとして使うかどうかというところにかかってくるらしいです。ただ、技術者に聞いてみると、実は液晶ディスプレイそのものはそれほど電力を食ってないんですよ。CCDを連続で動作させて画像を取り込んでいるからなんです。それと、内部のCPUの電圧が6Vと高いせいもある。これは、今年中にも3Vや1.5Vのものが結構出てくるでしょうから、これを採用すれば乾電池1本とか2本になるかも知れない。」
編:「今の乾電池4本というのは重たいし、大きいですよね。」
山:「乾電池4本だとカメラのデザインも決まっちゃうんですよね。それと、家電系メーカーが採用している充電池は規格がバラバラでしょ。あれは問題ですよね。いつ使うかもわからない携帯機器なんですから、外出先でバッテリーが切れたというとき、代替えが入手できない状況になるので困ります。」
編:「撮影画像の紙への出力環境、バッテリー、防塵防滴といった問題のほかに、デジタルカメラに足りないものってなんでしょう。」
山:「デザイン。と言っても、格好いいというのと使いやすいものというのは違います。格好いい奴は付き合ってろくなことがない..とはいいずらいけどね。外観のいいやつってだいたいなんか問題あるんですよ。見てくれで騙される..騙されるという表現は悪いけど、そういうカメラがあってもいいと思うんですよ。アイドルといっしょで夢を与える部分がありますから。ただ、もっと実用的な、日常的に使うものとしてのデザインというのがあっていいかな、という気はします。」
編:「それは、使いやすさという部分を含めて、今の銀塩のカメラと同じようなデザインになっていくということですね。」
山:「そうなるでしょうね。例えば、なんのかんの言ってもコダックDC20っていいんですよね。小さくて胸ポケットに入るし、凹凸がないから気にならない。軽いし、持ちやすくて、自然にシャッターボタンが指に届く。なんてことを考えると、カメラの150年の歴史で洗練されてきたわけですから、それを踏襲するというのは悪いことじゃないな、と。」
編:「オリンパスのC-400Lなどはコンパクトカメラのデザインそのままですよね。」
山:「例えばカシオQV-10AとC-400Lの違いは、説明書を1回読んで使えるようになるか、全然読まないで使えるかなんですよ。たぶんQVは1回読めば覚えるんですよ。でも、世の中説明書読まない人がほとんどですから、C-400Lの方がありかな、という気はしますね。」
編:「なるほど。では、最後に一言お願いします。」
山:「デジタルカメラはまだまだ進歩するでしょうし、まだまだ始まったばっかりだという感じなんで、これがブームで終わらないでほしい、というのがいちばんですよね。」
編:「ありがとうございました。」
('97/1/6)
[Reported by PC Watch編集部]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
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