【特別企画】
【1997年新春特別企画】
山田久美夫氏インタビュー
「1997年、デジタルカメラは100万画素の世界になる」
●デジタルカメラの補助記憶装置戦争に決着はつくか?
編:「デジタルカメラの構成部品の中で、補助記憶装置というのは、複数の規格製品が混在して隠れた標準化競争となっています。現行製品でも、差し替え可能な小型メモリとして、スマートメディア、コンパクトフラッシュ、ミニチュアカードがあります。ほかに、iomegaがCOMDEXで参考出展した小型の磁気ディスクもあります。このあたりはどうなるでしょうか。」
山:「今挙げたものの他にMDもあります。僕はわりと単純に考えていて、スマートメディアなんかは、現状でも容量が2MBまでしかない。もうすぐ4MBで、秋に8MBと言われています。30万画素クラスならば、この8MBでそうとう枚数が撮れます。100枚くらいは楽に撮れるんじゃないでしょうか。では100万画素を越えた場合にどうなるか、となると非常に厳しいですね。そうすると、現状で15MBの製品があり、容量に将来性があるものと考えるとコンパクトフラッシュかなぁ、と。」
編:「コンパクトフラッシュは20MBのものも開発中で、近い将来に100MBや300MBも可能だとメーカーは言ってますね。」
山:「ただ、最大のネックがあるんですね。それは、そうしたメモリ媒体の場合、最終的に保管をどうするか、という問題。そのままとっておけるの?、というね。パソコンに転送できない人はどうするのか。ここが最大のネックになると思うんですよ。プリントした後にも、元データを残したという需要は絶対にあると思うんですよね。そのときに、では最終的に何でデータを残すの?という話になる。そうしたときに、MDというのはありなんではないかと。要するに、メディアが安くて、ある程度の容量が見込めるという意味で。」
編:「つまり、ビデオテープの感覚ですね。」
山:「そうそう。例えばMD1枚で2,000枚撮れれば、そのまま最終記録媒体として保存できるわけです。そういう意味でMDカメラはありかな、と。それで、他の小型メモリの媒体というのは、MDに記録するまでの一時的な記憶装置として使うことも考えられます。携帯時はこの小型メモリで撮っておいて、最終的にMDに記録するとかね。」
編:「ほかに、MDも小型メモリ群もそうですが、デスクトップパソコンとの接続性はまだまだですよね。小型メモリと接続するためのPCカードスロットがデスクトップ環境に普及しているわけではないですし。」
山:「勝手に思っているのは、USBインターフェースが普及してくれば、キーボードにPCカードスロットがつくと思ってるんですよ。」
編:「そうなるべきですよね。」
山:「それから、IrDAを採用するメーカーが今年は増えるでしょうね。IrDAも新しい規格では、かなり高速なデータ転送ができますから。このIrDAと大量にメモリを積んだデジタルカメラがあっていいと思います。今のデジタルカメラには防塵防滴性がないという面がありますが、これで可動部や開閉部がなくなれば実現できます。パソコンのデータ転送のインターフェースに、シリアルケーブル接続だけ、というのは少なくなるでしょうね。」
('97/1/6)
[Reported by PC Watch編集部]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
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