【特別企画】
【1997年新春特別企画】
山田久美夫氏インタビュー
「1997年、デジタルカメラは100万画素の世界になる」
●100万画素クラスの製品が普及価格帯に
編:「まず、おおざっぱに言って1997年はデジタルカメラの世界はどうなっていくと思われますか。」
山:「デジタルカメラは大幅に変わります。がらっと変わる。」
編:「具体的にはどのように。」
山:「まず、昨年製品を出してきたメーカーと新規参入メーカーを含めて1月から3月まで新製品が続々投入され、一度混戦となるでしょう。そして、その頃か、もしくはもう少し後になって、現状よりも1ランク上の画素数のCCDを搭載した製品が普及クラス帯の製品として出てきます。」
編:「それは100万画素クラスの製品ということですね。」
山:「そうです。いわゆるメガピクセルとも言われているものですね。おそらく、時期的には早ければ春、遅くとも秋には出てくるんじゃないかと見ています。ただ、現状でも100万画素クラスのCCDを部品として製造しているメーカーは世界でも数社と限られていますから、大量生産が必要な普及価格帯の製品としては、それほどたくさんは出てこないと思います。また、オリンパスのC-800Lのように、ビデオ用CCDを流用した形での80万画素クラスの製品ならば、早いうちにいろいろ出てくる可能性があります。」
編:「値段が気になるところですが、今ある100万画素クラスの製品はどれくらいなのでしょうか。」
山:「現状だと、100万画素や150万画素クラスのデジタルカメラはプロ用という位置づけで、それが安くて60~70万円。擬似的な方式によって100万画素を達成しているモデルでも、30万円を越えるぐらいですね。」
編:「では、新しく出てくるという100万画素クラスの製品というのはどれくらいの値段になると予想されますか。」
山:「製品としては、おそらくパーソナル用途もあるでしょうが、半分業務用途になると思うんですね。それで、業務用ということで会社が購入しやすい値段ということで19万8,000円という線がありますね。こうした見方が一つ。もう一つは、実売価格で9万9,800円とかね。つまり、定価が12万8,000というレベル。このレベルになると、確実にパーソナル用として売れていくことになります。そして100万や130万画素クラスの製品が将来的には5万円台で買えるようになり、主流になっていくと思います。おそらく、2000年がターニングポイントになるんじゃないかと思ってます。」
編:「100万画素ともなると、個人の環境ではその撮影データの取り扱いも難しくなるでしょうし、現状の30万画素レベルの製品とは必然的に住み分けが起こってきそうですね。」
山:「現状では30万画素クラスの製品が主流で、多機能なものとかいろいろ出ていますが、基本的にはメモ、またはパソコンに入力するだけ、つまりモニタで楽しむだけであればそのクラスで充分です。ただ、その先として、プリンタで紙に出力するということになると、それでは充分な画質を得られないわけです。データの取り扱いに関しては、100万画素クラスといってもそれほど重くはないんですよね。130万画素でほぼ4MBくらいの画像データになると思いますが、私の経験で言えば、Macintoshでは12MBのメモリを積んでいれば画像編集する環境として動きます。」
編:「それは1枚や2枚の画像編集ということですよね。10枚同時にといったことは難しいのでは。」
山:「それは厳しいですね。ただ、大量に撮るメモという形ではなくて、ある程度決められたシーンで撮影する一般的なカメラの使い方を想定すれば、1枚や2枚単位での編集もそんなに悪くはないでしょう。しかも、最近は32MBを積んだ環境とか当たり前ですよね。そうすると、結構動いちゃうのかなという気がしますね。」
編:「30万画素と100万画素クラスとでは、どちらが市場では主流になるのでしょうね。」
山:「それが一番見えないところ。100万画素の製品の値段が下がってくると、30万画素クラスの製品も下げざるを得ないわけですね。つまり、5万円以下でどう戦うかという世界になってくるんですよ。そして、6万円くらいで3倍ズームであったり、MDを記憶メディアに搭載して音楽も聴けるような多機能なものも出てくるでしょう。30万画素クラスがどう展開していくかでだいぶ違ってくるでしょうね。」
編:「30万画素クラスが低価格化、多機能化していくということですが、新しい100万画素クラスのものは、純粋にカメラとして画質や性能を追求されていく方向になるのでしょうか。」
山:「実はそこから先というのが、ものすごい微妙な話で、同じ130万画素なら性能は同じかというとそんなことはないわけです。例えば、CCDにはフィルタというものがありますが、この処理に関する方法によっても、同じ画素数でもこんなに違うの?というくらい画質が違ってきてしまうんですね。」
編:「同じ100万画素でも、そうした方式や機能の差でまたいろんなクラスの製品が出てくることになるわけですね。」
山:「CCDのフィルタの件のほかにも、カメラとしての機能の違いは当然出てきますからね。例えば、レンズで言えば単焦点のものとズームありのもの、明るいもの、暗いもの。ピントがAFのものもあれば、固定焦点のものもある。そう考えると、あとは無限にバリエーションがあるわけです。」
('97/1/6)
[Reported by PC Watch編集部]
ウォッチ編集部内PC Watch担当
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