【イベント】

プロカメラマン 山田久美夫が見た

「Adobe Photoshop 4.0J」プレスコンファレンスレポート
in SEYBOLD SEMINARS TOKYO 96

 画像処理ソフトの定番である「Adobe Photoshop 4.0J」が、先日の「SEYBOLD SEMINARS TOKYO 96」で正式発表された。今回のバージョンアップは2年ぶりで、Ver.3.0(現在は3.0.5)から一気に4.0へとジャンプアップした。それだけに、内容的にも実に充実しており、現在、画像処理ソフトに求められている機能をきちんと盛り込んだ、時代に即した新バージョンとなっている点が注目される。

 今回のプレス発表は「SEYBOLD SEMINARS TOKYO 96」が開催されている東京ビッグサイト内のホールで行われたが、事前申し込みが殺到し、1,000人収容できるホールが満杯となったため、急きょ、発表会を2回開催するという措置がとられた。実際に、夕方から開かれた二回目の発表会でも、会場は8割方埋まっており、その関心の高さは驚くべきものがある。


●プロ用ツールを広範囲のさまざまな人へ

 発表会ではまず、ヘビーユーザーへのインタビューがビデオで紹介され、ユーザーサイドから見た「4.0J」の姿がユーザーの言葉で紹介された。さらに、従来からのユーザーへのアンケート結果などによる分析が紹介され、Photoshopというソフトが、その道のスペシャリストはもちろんのこと、スペシャリストではない人たちにも広く使われているという実状を明示。その結果として、今回の「4.0J」は、スペシャリストのためのプロ用ツールだったものを、より広範囲のさまざまな人たちに使えるようなソフトへと進化させたこと点を強調した。

 さらに、ユーザーインターフェースやグラフィックエンジンの統合をはじめとした、同社製品間の統合を目指したソフトの第一弾であること。処理工程を記録して自動再生処理できる「アクション」、そのアクションを指定のフォルダーのファイルすべてに自動的にかけることができる「バッチ」の採用により、生産性が飛躍的に向上すること。画像の調整や変形をレイヤーという、一種の仮想処理(実画像を処理せずに処理結果をモニター表示する)させることで、事実上の無限のアンドゥを実現し、最後に一括処理することで画質の低下を防ぐことができる新機能を搭載したことなどを、デモとともに紹介した。

●インターネットや著作権への配慮も

 さらに、インターネットへの対応に関しても、強くアピール。同社はインターネットをパブリッシング・メディアと考え、ネット上で問題になる著作権管理に対応するため、「電子すかし」機能を搭載。これはDigimarc社の「ImageMarc」というソフトを利用し、画像ファイル内に著作権情報を明記した作者のID番号を埋め込み、著作権が存在することをファイル名とともに画面上に表示することができるもの。作者がそのIDを同社に登録しておけば、ユーザーは同社のWeb上で著作権者について参照することができる仕組みになっている。もちろん、Photoshop 4.0上で、画面の一部だけをカット&ペーストして利用しても、その情報はきちんと踏襲される。

 機能的にみても、先のアクションやバッチの採用はもちろんのこと、プログレッシブJPEG、PNG、PFD(アクロバットファイル)での保存もサポートするなど、かなりインターネットを意識した展開がなされているのが印象的だった。また、サポート面でも、簡単にAdobeのホームページにアクセスできる機能もあり、Photoshopに関する最新の情報が得られるような機能もあるという。

●Windows NT4.0、MMX、マルチプロセッサーにも対応

 また、PhotoshopというとMacintoshというイメージが強い人も多いが、発表会ではきちんとWindowsでのデモも行われた。しかもOSは、発売目前のWindows NT 4.0であり、英語版ながらもすでにNT 4.0上きちんと動作することを明示。さらに、Photoshop 4.0JではMacintoshやWindowsのマルチプロセッサー環境でも動作も保証。来年登場するMMX環境にもプラグインで対応することを明らかにするなど、プラットフォームを問わず、最新のOS環境に対応している点も強調していた。

●日本語版「4.0J」発売は年内

 これまで「Photoshop」は英語版は先行し、日本語版の発売は数カ月後というパターンがあったが、今回は日本語版である「4.0J」を、早くも年内に発売するという。しかも、これまで遅れがちだった現ユーザーへのアップグレードも同時に行う予定という。さらに将来は、アップグレードユーザーを優先し、製品の発売よりも一歩先に製品が届くような環境を構築したいと語っていた。

 また、同発表会では「ページメーカー 6.5」の簡単なデモも同時に行われ、フレームでの編集、レイヤーの採用、インターネット対応のHTMLやPDF形式での保存などができる点をアピールしていた。


 筆者にとってPhotoshopは、完璧な必須ソフトになっており、画像処理用に活用している我がMacintoshでは、常時起動している”常駐ソフト”となっている。それだけに、今回の4.0Jへのバージョンアップは相当に興味深い存在だ。基本機能の向上はもとより、より簡便でスピーディーな処理を可能にした新バージョンだけに、その内容については、別途レポートしたい。

□アドビシステムズ(株)のホームページ
http://www.adobe.co.jp/index.html
□Adobe Photoshop 4.0J製品情報
http://www.adobe.co.jp/product/photoshop/photoshop4.html
□SEYBOLD SEMINARS TOKYO 96のホームページ
http://www.sbexpos.co.jp/seybold.htm

[Reported by 山田 久美夫]

【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp