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おことわり:都合により、今週は「物欲道修行記」の連載をお休みさせていただき、スタパ齋藤氏の製品レビューをお届けします。(編集部)
スタパ齋藤

スタパ齋藤

松下の
ヘヴィーデューティーノート試用レポート

標準価格 Pentium 133MHzモデル:498,000円
     Pentium 100MHzモデル:398,000円
連絡先:松下電器産業(株)Panacomテクノセンター
Tel.0120-15-8756

 


●やたらヘヴィーデューティーなノートPC登場

PronoteFG  Let's NoteでおなじみのPanasonicこと松下電器産業株式会社が発売した、俺が踏んでも壊れないと言われている話題のヘビーデューティーノートパソコンのPronoteFGをいじくってみたので、それをレポートする。

 PronoteFGのラインナップはふたつ、主な内容は以下のとおり。
機種名(型番) CPU 内蔵メモリ(最大) HDD容量
CF-25EGC4AAJ Pentium133MHz 16メガ(48メガ) 1.35ギガ
CF-25CG82AAJ Pentium100MHz 8メガ(40メガ) 840メガ

 また、両モデルに共通したスペックは以下のとおり。
標準的重量3.5kg、10.4インチTFTカラー液晶(ウィンドウズ95使用時には800×600ドット表示まで可能)搭載、3モードFDD内蔵(取り外し可能/オプションで6倍速のCD-ROMドライブパックと交換可能)、16ビット(44.1KHz)ステレオサウンド再生可能(内蔵スピーカーはモノラル)、90キーのOADG準拠キーボード装備、ポインティングデバイスとしてフラットパッド搭載、Type2 PCカードスット3基装備(Type3×1枚+Type2×1枚としても使用可能/3基のうちひとつはZVポート対応)、インターフェースとしてDsub25ピンパラレルコネクタとDsub9ピンのシルアルコネクタとDsub15ピンのディスプレイコネクタとDIN6ピンのキーボード兼マウス端子とミニジャックのオーディオ端子と115200bpsの赤外線通信ポート(IrDA)などを装備し、バッテリーにNi-MH(ニッケルメタルハイドライド/本機での駆動時間1.5~2時間)を装備している。

 また、チップセットにはインテルのMobileTriton(430MX)、グラフィックチップにChips&TechnologiesのCT65550(VRAMは1メガのEDO-RAM)、サウンドチップとしてESS ES1788が採用されているとのこと。なお、2次キャッシュはない。

 以上のスペックを読んでいただけるとおわかりのように、こういった細かいことまで知りたいという方は、~装備とか~搭載とかギガとかメガとかいう俺の一気書きな感じの記述よりもむしろ、松下電器産業株式会社のホームページを見たりカタログを請求していただいたほうが簡潔にまとめられているので混乱しないというわけだ。

 で、このノートPCの見どころ(!?)と言えば、やはりその頑丈さだ。ウワサに聞く“ヘヴィーデューティーさ”はホントなのか!? その辺のところを中心に試していきたい。
なお、俺が試したのは133MHzのモデルだ。
 

●デッカクてカタいLet's Note、って感じ

HDDの回りはゲル状の緩衝材でガードされている。 ゲル状の緩衝材は、グミキャンディをさらにやわらかくした感じ。
キーボード部の下には1枚の板があり、基盤側への水漏れを防ぐ。ウーロン茶1缶をキーボード部にかけてみたところ(糖分のあるジュースなどはダメ)。 キーボード部のアップ。ウーロン茶のしずくでびしょびしょだが、PronoteFGは元気に作動している。
スタパ氏以上に邪悪な考えが浮かんだ編集部では、メーカー保証の70cmを超える高さから、電源を入れたままで落下実験を行なった。PronoteFGはこの後も問題なく作動。しかし、この撮影以前にも何度も落として遊んでいたためか、PCMCIAインターフェース部のカバーが少し外れやすくなってしまった。なお、落下部分には、Pronoteではなく、貸ビルの床を守るために絨毯を敷いてテストした。
いかにも金属製という光沢を放つPronoteFG。 頑丈そうな黒の艶消しボディに挑発されて、正拳突きも2度ばかり試す。拳を痛めただけで、PronoteFGは無事。

 まずコレを手にした感じは「硬い」というもの。黒い艶消しボディはアルミかなにかなのだろうか、筐体の外側はほとんど金属(一部プラスティックやゴムの部分がある)なので、そんじょそこらのノートパソコンのようなヤワさは一切ない。

 で、どのくらい硬いかといえば、体重0.1トンの俺がこのマシンの上に乗っかってもビクともしない硬さだ。ただ、フタを閉めた状態で、悪意を持ってフタの中央部分につま先で立ったりすると壊れるのかもしれない。これは怖いのでやらなかったが……。ともかく、拳でガンガン叩こうが足げににしようが落とそうが、全然へっちゃらの強靭な筐体だ。

 それから、使用時にもヘヴィーデューティーさを感じた。驚いたのが液晶がプラスティック板のフィルタが付いているところ。通常、液晶部分というのは指で押したりすると虹色に色が変わってキレイだが、これをやるとマシン所有者の心が痛むということになっている。が、このマシンは液晶表面に直接指を触れることができなくなっている。このフィルタは防滴だそうで、屋外でのやや乱暴な使用にも耐えられるのだそうだ。また、キーボードやフラットパッドも他のマシンのものより強靭な感じで、両者とも強く押そうが叩こうがどうということはない。

 ずいぶん打たれ強いパソコンだなあと思うと同時に俺の内側に邪悪な考えが浮かんだので、マシン稼働中でディスクが回転しているときに地上30センチ程度の高さから落としてみた。が、何ともない。これは、筐体が頑丈なことと、内蔵されたHDDが特殊な緩衝材で包まれているからヘーキなのだ。このHDDを包んでいるこの緩衝材は、お菓子のグミのような、いや、耳たぶのような、いやいや、コンニャクのような、いや、ともかく、非常に柔らかい素材なので、HDDに伝わる衝撃を十分吸収してくれている感じだ。

 この他、コネクタ部分などはゴム(柔らかい樹脂!?)でカバーされていて、防水設計になっているようだ。同時に、内部の基板は外界からほとんど遮断されているため、ホコリにもすこぶる強いらしい。マジな話、風やホコリや湿度の影響があるアウトドアの使用にはもってこいのノートPCだと言える。

 どうだろう、感触としてはヘヴィーデューティーなLet's Noteという感じだろうか。CPUパワーもありチップ類にもスグレモノが使われているので快適な速さで使える。

●船田戦闘機氏いわく

 この原稿を書いていたら、真夜中なのに知人の船田戦闘機氏が突如訪れ、PronoteFGをいじくってこう言っていた。

「あっコレ触りたかったんだよね~。ナニこれ、金属じゃんマジかよ~取っ手まで金属だね。キーボードすげえ頑丈だね。普通強く押したらミシミシとか言うよね。へえ、液晶も丈夫な構造じゃん。外側のデザインとかワルノリ気味じゃないこれってジェリカンみたいだよねでも意味あるかあるなでも誰が使うんだよって感じだけど使うか工事現場とか長期出張とかで。うそ~コレ何バッテリ~? うそ~何だよこのグミみたいなの。HDDなんだコレ。すごいねコレ。コレあれだよね満員電車の中で座れないときとか縦にして座れますな。水に浮けばもうパーフェクトかもね。いいじゃんこれ。でも俺買わないけどね。もっと小さければね。でもけっこう速いよね。でもちょっと高いよね。で、それさあ、ウェブに載る原稿なんでしょ。これ原稿料ってどういうふうに計算すんの? あと最近俺『自由な仕事と稼げるパソコン』という本を書いたんだけどアスキーから1400円で出てるんだけどインプレスでは紹介してくれないすかねえ。会社辞めようとしてる人の手助けになる本でまあアレだよSOHOがテーマなんだよね」

 とのこと。確かに、強靭は強靭で細かいところまで本格的に考えられているのだが、普通の人には向かない、いわばユニークなマシンだ。

 ひとつ思うのは、今までノートパソコンと言えば「持ち歩ける」ということばかりに主眼が置かれていたということだ。しかし、このマシンの登場が「持ち歩けるだけではダメ」という、誰もが知っていた事実を明らかにしてくれたようにも思う。

 例えば俺は携帯目的に日本DECのHiNoteUltra IIを購入したのだが、あのマシンは持ち歩く気にならない。というのも、持ち歩くのはまったく苦にならないのだが、マシンの作りが繊細なのだ。つまり落としたら壊しちゃいそうってコト。理屈の上では持ち歩きに便利ではあるのだが、実際持ち歩くにはそれなりに神経質になる必要があるのだ。だって40ウン万円もするモノを落として壊しちゃったら悲しいし。

 PronoteFGは、ある意味HiNoteUltraの対極にあるマシンだ。“持ち歩けるサイズ”で、“持ち歩くのに向く強さ”がある。現代のパソコン市場においては「やり過ぎなマシン」かもしれないが、モバイルコンピューティングの大きな問題点と解決策を同時に見せてくれたマシンでもある。


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□【10/11】松下、70cmからの落下に耐えるノートパソコンを発表
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[Reported by スタパ齋藤]


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