【イベント】

COMDEX Fall'96 レポート

後藤弘茂のCOMDEXリアルタイムレポート
(その4)

'96/11/20 取材

 【第三日目】

●S3ではシステムロジックとグラフィックスチップの一体化製品を展示

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 米S3社のブースでは、2世代目の3DグラフィックスアクセラレータチップDRAM版の「ViRGE/DX」とSDRAM/SGRAM版の「ViRGE/GX」を展示。3Dパフォーマンスを大幅に向上させたという。これまでと同様に、DRAM版と高級メモリ版の2路線で行くが、「EDO DRAMのパフォーマンスが大幅に向上したたため、ViRGE/DXとSDRAMを85MHzで駆動するViRGE/GXの性能差はそれほど大きくない」という。  また同社ではグラフィックスアクセラレータのシステムロジックのうち、メモリコントローラとCPU-PCIブリッジチップをワンチップ化した「Plato/PX」も展示していた。システムチップセットとグラフィックスチップを使った場合のコストは約65ドル。これを、30ドルのPlato/PXに置き換えることで、低コスト化を図ることが可能になる。また、UMA構成をサポートするために、メモリの統合も可能で、さらにコストを下げることができる。「UMA構成ではシステムパフォーマンスが10%程度下がるが、グラフィックスチップとシステムロジックを一体化したことによるグラフィックス性能の向上がそれを相殺する」という。同社では、この新しいソリューションにより、UMA構成がポピュラーになると予測する。

 さらに、同社によると価格と同様に大きいのが、Plato/PXによるマザーボードの小型化の効果だという。「Microsoftの発表したNetPCでは、匡体が密閉された小型の箱になる。そのため、マザーボードを小型化する必要が出てくる。だから、当社ではPlato/PXをNetPC用として推進する」という。
 

●PhilipsがメディアプロセッサTriMediaをデモ

TriMedia
デモを行ったTriMedia評価用ボード

 米Philips Semiconductors社は、マルチメディア処理を汎用に行う次世代DSPであるメディアプロセッサの一種、「TriMedia」を展示した。担当者によると、「TriMediaはチップのサンプルが10日前に完成した」という。別室でデモを見せてもらったのだが、たった10日間で、すでにMPEG2の動画が22~25フレーム/秒で動いていた。「チューンすれば、30フレーム/秒もゆけると思う。MPEG2専用デコーダが不要になる」という。TriMediaは、このほかに3Dグラフィックス、ウェイブテーブルシンセサイザなど、各種マルチメディア処理をワンチップでこなす。デモではMPEG4のデコードもやってみせた。「MPEG4はまだ規格が固まっていない。しかし、TriMediaでは専用デコーダチップと異なりソフトによって対応するので、規格が決まるごとに対応を進めることが可能」と語っていた。
 なお、Philipsによると、Apple ComputerがすでにTriMediaをMacintoshの主要機種に標準搭載することを決めており、来年にはパソコンやセットトップボックスなどで採用発表が相次ぐ予定だという。
 

●Appleは533MHz PowerMacintoshを展示

Exponential X704Exponential X704
 米Apple Computer社は、米Exponential Technology社の開発した動作周波数533MHzという驚異的に高速なPowerPC互換MPU「Exponential X704」を搭載したPowerPC試作機を展示した。このMPUは、独自技術により,MPUコアをそっくり高速なバイポーラプロセスで製造している。「来年には製品が登場する。ただし、当面はかなりハイエンドユーザーにターゲットを絞り込む」という。
 

●AMDの次世代MPU「K6」はPentium Proを凌駕

AMDAMD
 米AMD社は、COMDEXで限られた顧客や報道関係者に対して、同社の次世代MPU「K6」(コード名)のデモを行った。サンプル段階のK6は200MHzで動作。同社ではこの新チップを搭載したシステムを、200MHzのPentium Pro搭載のほぼ同構成のシステムと並べ、Windows NT 4.0を使って比較デモを行った。3Dグラフィックスのレンダリングとオフィスアプリケーションのデモを行ったのだが、グラフィックス処理だけでなくオフィスアプリにおいてもK6の方がやや高速という結果が出た。

 K6はAMDが同じx86互換MPUメーカの米NexGen社を買収、「Nx686」というコード名で開発していた次世代チップを、同社の技術と融合させることで誕生した。Nx686は、昨年中盤の時点ですでにサンプルが動いており、K6ではこのNx686の整数演算コアと外付けだった浮動小数点演算コアをほぼそのまま利用、さらにNx686が備えていたMMXコアをIntelの命令セットと互換性を持たせる形に変更、そこにK5のバスユニットをK6用に最適化して融合させて完成した。

 Nx686は独自のバス形式で、2次キャッシュ用バスがメインバスから独立していた。しかし、AMDではPentiumとピン互換にすることで、膨大なPentium用マザーボードで利用できるようにするため、あえてPentium互換のバスに変更した。この場合、2次キャッシュへのアクセスとメインメモリへのアクセスが同じバスで行われるため、バスの性能が落ちる。そのため、同社では32KBづつの命令キャッシュとデータキャッシュを搭載することでこれをカバーしている。

 また、同社ではデコーダユニットと分岐予測を強化。x86命令を内部RISC風命令に変換する時の命令発行効率を高めた。Pentium Proと比べて、命令発行効率は高くなっているはずという。
 K6は880万トランジスタを集積。ただし、5層メタルレイヤの0.35ミクロンプロセスで製造することでダイサイズはわずか162平方mmに押さえ込まれている。したがって、生産性が高く、コストも安くできるという。量産開始は、早くも来年3月から行う予定だ。

 また、同社はK5の高性能版「AMD-K5-PR166」も発表。これをPentium 166MHzと比較するデモも行っていた。このほか、同社のブースでは、ここに来て増え始めたK5採用メーカーの製品が並べられていた。

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('96/11/21)

[Reported by 後藤 弘茂]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp