【イベント】

COMDEX Fall'96 レポート

山田久美夫のCOMDEXデジタルフォトレポート(その3)

カシオのWindows CEマシン「CASSIOPEIA」と
「QV Digital」の絶妙な関係

'96/11/20 取材

 【第三日目】

Cassiopeia Cassiopeia
内蔵メモリ専用機にとって、メモリがフルになったときの携帯用ダウンロードマシンがあることは、なによりも心強い。さすがに4階調のグレースケールでは、画像のごく大まかな確認しかできないが、カメラの液晶上で確認できるので、これでも十分なケースは意外に多そうだ。なお、サムネール一覧画面はやや変更をうけて登場するようだ。
CASSIOPEIA&QV QV300
カシオのWindows CEマシン「CASSIOPEIA」と「QV Digital」を接続しているところ。QVからの画像のダウンロードや「CASSIOPEIA」側の画像をQV経由でテレビモニターに映す機能などがある。意外といえば意外だが、当たり前といえば当たり前。逆に、ビジュアル・メモとしての性格が強いQVシリーズらしいシステムといえる。 今回が事実上の初お目見えとなる「QV-300」。どうもQV-30からのイメージが強いので、いまいちパッとしない感じもあるが、2.5インチTFT液晶はやはり見やすく、2焦点化によるカバーエリアの拡大は大きなメリット。画質はまだ未知数だが、QV-100から大幅な改良をうけた形跡はないが、当然リファインされていることだろう。
QV300 QV300
デジタルカメラに対する関心度はかなり高いが、まだ開花するに至っていない。しかしまあ、アメリカで見るQV-300はさほど大きく見えない。みんな、体が大きいものね……。 箱積みされた「CASSIOPEIA」(上段)と「QV-300」(中段)、「QV-100」(下段)。QVのパッケージが大きいのは、転送キットなどをすべて同梱しているため。アメリカでは接続キットつきがスタンダードで、その分価格も高めになっている。

 カシオブースは今回、ふたつの大きな目玉がある。ひとつは、いわずと知れたWindows CEマシン「CASSIOPEIA」。そして、もう一つは「QV-300」がラインナップに加わったデジタルカメラシリーズ「QV Digital」だ。

 今回のCOMDEXでも最大級の話題作である「CASSIOPEIA」。実はモバイル系に目がない私としては、日本語が走らなくても、すぐにでも使いたいマシンだ(アメリカではCOMDEX初日に発売され、ラスベガスではすでに品切れで入手不可能という話だったが、最終日には市内のCOMP USAに並んでいた)。

 しかも、「CASSIOPEIA」には、付属ソフトとして「QV LINQ for Windows CE」なるソフトが付属している。これはなにかというと、3ピンの専用ケーブルで「QV Digital Camera」を接続すると、その画像をダウンロードしたり、表示することができる。もちろん、それをメールソフトで通信することだって可能だ(もっとも、メールソフトの関係で、データファイルを一度uuencodeし、それをテキスト扱いで転送することになるが……)。さらにQV-100などを介して、「CASSIOPEIA」にある画像ファイルをテレビモニターに映すこともできるという、なかなかスグレモノのソフトウエアだ。

 もちろん、「CASSIOPEIA」はバックライトつきとはいえ、LCDは4階調のグレースケール表示なので、画像を表示させたところで、あまり大きな意味はない。しかし、QVのような内蔵メモリ専用機にとって、それをある程度本格的に使うとなると、メモリがフルになったときのダウンロードマシンが不可欠になる。しかも、それだけのためにわざわざサブノートパソコンを持ち歩くのも億劫な話だ(私はそのために、リブレットを買ったけれど……)。それなら、いっそ、本格的に使えるWindows CEマシンで、デジタルカメラと連携できれば、それに越したことはない。それを実現してくれたのが、今回の「CASSIOPEIA」というわけだ。

 もっとも、「CASSIOPEIA」はA-11タイプでもRAMは4MBしかないので、そこに保存するのは無理があるが、別途PCカードを用意しておけば、そちらにダウンロードすればいいわけだ。しかも、ブースで聞いたところ、「将来的にはいろいろなメーカーのデジタルカメラに積極的に対応してゆきたい」というから、これはもう、願ってもない話。380gで単3型2本で稼働するわけだし、インターネットもE-MAILも見られるし、ワードやエクセルもあるし、スケジューラー機能やWin95との連携機能も充実しているので、超多機能PDAとしても持ち歩ける。あとはIrDAのバージョンが1.1対応になり、日本語が走れば完璧だ(もっとも、あのキーボードで原稿を打つのはきついけど、「原稿、遅れます」というメールくらいなら、楽に打てる!?)。

 Windows CEマシンとデジタルカメラ。この組み合わせは、「カラーザウルス」ほどの面白味はないかも知れないけれど、実用的な携帯情報機器としては、結構期待できそうな雰囲気だ。あとは、カメラの方のクォリティーがもうワンランク向上してくれれば、このカシオシステムはなかなか便利なものとなりそうだ。

 なお、同ブースでの説明では、この「QV LINQ for Windows CE」は、まだ完璧な最終版ではないため、当初はバンドルされないようだが、アメリカでは年内にWebからダウンロードで配布できるようにしたいと語っていた。

 また、会場には「QV-300」の姿も見られた。基本的には2焦点タイプの「QV-30」の上級モデルという位置づけで、ボディーサイズも大きく、2.5インチ液晶を採用している点も同等だ。日本では結構大きい感じがするこの筐体だが、ここアメリカでは体の大きな人が多いせいか、さほど大きく感じられないから不思議。こうしてみると、さすがにアメリカ市場からの声が反映されたモデルなんだなあ~という感じがする。もっとも、QVシリーズのメインはこちらでもやはり「QV-100」であることに変わりはないようだが……。

COMDEX Fall'96レポートインデックスへ戻る

('96/11/21)

[Reported by 山田 久美夫]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp