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写真左:新製品Macintosh PowerBook 1400
アップルコンピュータ株式会社は11月5日、発表会を開催、米Apple社CEOのアメリオ氏およびアップルコンピュータの志賀社長の記者会見と、新製品Macintosh PowerBook 1400の発表を行った。従来の同社の記者会見では新しい技術やOSについての紹介や新製品のアドバンテージについてが主で社内問題や財務についてはあまり触れない傾向があった。しかし今回の記者会見では日米の経営責任者からアップル社の財務や今後の経営方針などについての率直な話があり、こうした点でも「アップルの変革」を感じさせた。
【アメリオ氏会見】
アメリオ氏はまず、米Apple社の90年以後の業績グラフを示し、96年第2四半期に落ち込んだ業績が第3~第4四半期にかけて上昇し、同社の経営が持ち直したことを強調した。また、96年は財務の立て直しの年であったとして、97年には事業や部門の統廃合を行い、98年から成長を続けるという今後の展望を述べた。今後の経営方針としては、収益の確保を第一に、品質の向上、技術革新に力を注いでいくという。また、同社は96年度第4四半期では連結決算で黒字に転じたが、それに大きく貢献した日本市場を重視、今後はまず新技術や高性能な製品を求める日本市場に革新的な製品を投入する方針であるという。具体的には、アップルとIBMで共同開発しているサブノート機を97年には市場に投入できる見込みで、このノート機はまず日本市場のみに投入、その反応を見て各国での販売を考えるという方針を明らかにした。IBMがMac OSのライセンス取得以来、ユーザーの間で期待の高まっていたIBM製のMac OS搭載サブノート、“ThinkMac(ユーザーによって、すでにこういう愛称がつけられている)”について、記者会見でアップルが言及したのはこれが初めて。開発が順調に進んでいることを伺わせる。
アメリオ氏はまた、インターネットとマルチメディアというふたつのメガトレンドが同社の今後の技術革新のテーマとなっていくと述べた。現在は「ブラウザ戦争」といわれているが、この次には「Knowledge Management」の時代が来る、それに向けてAppleは、「V-Twin」と「Hot Sauce」を97年に発表する予定であるという。「V-Twin」はコンテントベースのサーチエンジン、「Hot Sauce」はディスカバリーソフトと説明されたが、膨大なインターネット上のコンテンツを関連づけ・体系化するためのソフトウェア。情報を“見る(ブラウズする)”段階から、“使いこなす”段階へ、インターネットが進んでいくのに対応したソフトウェアだ。
Be OSを買い取るというような噂もある次期OSについては、アメリオ氏は非常に率直にCoplandにおける失敗を認め、今後は年に2回、3回と新しいソフトウェアをリリースしていくことにより、コンポーネントソフトへシフトしていく方針を明らかにした。次期OSについては、97年1月に行われるMacWorld Expoで新機能などの仕様を発表したいと述べた。また同社では、数の上でWintel陣営へ対抗するためにも、OSのライセンスの供与をはじめとする他メーカーやデベロッパ、リセラーとの連係をさらに強めていくとのことで、97年春には発表されると思われるCHARPマシンをめぐる同社の今後の動きも注目される。
【志賀氏会見】
日本のアップルコンピュータの97年事業方針について、代表取締役社長の志賀氏より説明があった。まず、96年度の業績が好調に推移した原因として、Windows 95の上陸による一大キャンペーンにより、日本におけるパソコン市場が拡大し、その流れの中でApple Macintoshコンピュータが再認識されたことを挙げた。97年は、プラットフォーム販売からソリューション販売への転換をめざし、販売台数110万台、売上2,580億円を目標とする。
また、今後の国内製品について、マルチOS対応サーバ製品が来週発表予定であること、米ですでに発表されているマルチプロセッサのPowerMacintoshもまもなくリリース予定であることを明らかにした。ソフトウェアでは、音声認識・手書きなどによる入力をサポートする方針であり、97年にはペン入力に対応したMacintoshと、音声認識ソフトウェアをリリースする予定とのことだ。
【新製品Macintosh PowerBook 1400シリーズ】
すでに米国で21日に発表されたPowerBook 1400シリーズが日本でも発表となった。日本市場では米国で発表された4モデルのうち、CDのない1モデルを除いた3モデルがリリースされる。価格はオープンプライスで、出荷は1400cs/117および1400c/117は11月22日より、1400c/133は97年1月中旬以後の予定。
1400シリーズの主な特徴としては、すべてのモデルに11.3インチの液晶を搭載、SVGA(800×600ドット)表示をサポートしたことと、脱着可能なドライブモジュールを採用したこと、CD-ROMドライブを標準搭載したことが挙げられる。FDドライブもドライブモジュールとなっており、CD-ROMドライブと差し替えて使用することができる。また、1400では新しくディスプレイの背面部が交換可能なパネルになっている。黒と透明の2種類のBookCoverパネルが標準で付属しており、透明パネルにはユーザーの好みにあったシートを差し替えることで、外観もパーソナライズすることができる。
重量はFDD装着時3.0kg、CD装着時3.14kg。サイズ(W×D×H)は、292×229×51mm。PCMCIAスロットはType2×2またはType3×1。DSTN液晶搭載の普及モデル、1400cs/117ではTDK製の33.6kbpsモデムが標準で付属。OSは漢字Talk 7.5.3プリインストール、「Apple Internet スタータキット」や「Apple Remote Access」などのソフトウェアが付属している。
●Macintosh PowerBook 1400シリーズの主な仕様
□アップルコンピュータ(株)のホームページ(11月5日よりリニューアル)
http://www.apple.co.jp/
□Macintosh PowerBook 1400プレスリリース
http://www.apple.co.jp/product/961105PB1400.html
【関連記事】
□アップル、日米の96年度業績を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/961017/apple.htm
□米Apple、CD内蔵、SVGA液晶搭載の新PowerBook 1400シリーズを発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/961022/pb1400.htm
('96/11/1)
[Reported by hiroe@impress.co.jp]