米アップルコンピュータ社は16日、同社の1996年度第4四半期の業績および1996年度(1995年10月~1996年9月)の業績を発表した。
1996年度の米アップル社は、純売上高は前年度比11%減の98億3,300万ドルにとどまった。損益決算についても95年度は4億2,400万ドルの純益を計上しているのに対し、96年度は8億1,600万ドルの純損失となった。この損失について同社では、96年度第2四半期に計上された在庫評価減による税引き後償却額の3億8,800万ドル、通期のリストラクチャリング費用の1億1,300万ドル、過去の比率に基づく見込みを約1億2,600万ドル上回った税引後保証および関連費用によるものである、と説明している。
同社の発表によれば96年度決算発表について、米アップル社CEOのアメリオ会長は、「96年度は第3四半期および第4四半期と連続で純売上高を拡大し、財務強化を達成したことで、97年度第2四半期末までに、持続可能な収益力を確保できると確信している」と97年度には収益を確保する見通しであることを強調、「問題は“アップルが生き残れるか”ということではない。むしろ、“アップルはいかに、インターネットとマルチメディアに象徴されるデジタル時代に主導権を握っていくか”が問題だ。強力な経営陣、品質向上への妥協なき取り組み、業界の革新者としての情熱を込めたコミットメントにより、これを達成していくつもりである」とコメントしている。
“アップルが生き残れるか”という表現に、米アップル社の危機感の大きさが感じられるが、アメリオ会長のコメントにあるように、同時に発表された第4四半期の業績では、収益は前年同期より6億8,200万ドル減となっているが、第3四半期より1億4,200万ドル上回っている。また、経費削減などのリストラ効果などにより、今年度の赤字がこの程度で収まったことは、むしろ意外なことと業界では受けとめられている。この第4四半期の業績発表を受けて株式市場も敏感に反応、当日16日のNasdaq終値でアップルの株価は25ドル75セントと50セント上がっている。アメリオ会長のコメント通り、インターネットとマルチメディアの時代を迎えて、マイクロソフト社のWindowsプラットホームに比較してどれだけのアドバンテージをユーザーに示せるかが、今後の鍵となるだろう。
前年度に比べて売上は減ったものの、体制を立て直した感のある米アップル社に比べ、国内市場は安泰だ。17日のアップルコンピュータ社の発表によると、同社の96年度の業績は、総売上高2,180億円で前年比18%アップ、総出荷台数も893,000台と前年度の75万2,000台を約19%上回った。
同社では、売上が順調に伸びている原因として、「パソコン市場の拡大にともなう新規購入者層の拡大が業績の伸びのおもな原因である」と分析している。なお、96年度に発売された同社の初心者向けの機種としては、PCIとDIMMを搭載したPerformaシリーズ、ノートのエントリー機種PowerBook 190などがある。
□米アップル社のニュースリリース(英文)
http://product.info.apple.com/pr/press.releases/1997/Q1/961016.pr.rel.q496.html
□アップル社ニュースリリース
http://www.apple.co.jp/about/news/961017fy96aj.html
('96/10/17)
[Reported by hiroe@impress.co.jp]